【 荒野の末裔(まつえい)「オリオン」として異次元の再誕を果たす 】
──覚えているか、オリジン星群の愚者どもよ。
かつてこの大宇宙の平穏を守るため、
無数の魔導戦艦を一人で薙ぎ払い、星々の盾となって戦った男がいたことを。
男の名はジャスティス・オリジン。
血を流し、骨を折り、栄光のすべてを捧げて故郷を守り抜いた英雄だ。
だが、奴らが男に与えた報酬は、称賛でも栄誉でもなかった。
「強すぎる力は災いを生む」
「権力を狙っている」──
薄汚い嫉妬と恐れに狂った元首たちは、
冤罪の濡れ衣を男に着せ、背後から心臓を貫いた。
冷たい暗黒の宇宙へ投げ捨てられた男の遺体を見下ろし、
奴らはあざ笑ったのだ。
「これで我々の栄華は永遠だ」と。
……だが、奴らは知らなかった。
男の魂は、死によって消滅するどころか、
果てなき輪廻の渦を超えて極東の荒野へと辿り着いたことを。
そして──奇跡は起きた。
男の魂は、12星座を司る絶対神・バースの加護を全身に宿し、
荒野の末裔「オリオン」として異次元の再誕を果たしたのだ。
前世の無念と、神話級の威光を覚醒させたオリオンの進撃は速かった。
群雄が血で血を洗う戦乱の「大宇宙」を、
血を洗い流す怒涛の勢いで瞬く間に統合。
空を覆う風騎兵と星間魔導を率い、
西方の古き魔導帝国銀河群を粉砕した彼は、
前人未踏の極致たる「蒼サザンクロス銀河帝国」を築き上げた。
しかし、オリオンの代では復讐の刃は抜かれなかった。
「ただ滅ぼすだけでは足りぬ。
奴らが積み上げた偽りの平和と栄光が
最高潮に達したその瞬間、
天からすべてを叩き潰さねば意味がない」
オリオンはあえて牙を隠したままその生涯を閉じ、
その壮絶な執念と魂の記憶は、
直系たる孫「シリウス」の精神の深淵へと静かに、確実に継承された。
──そして、現在。
「……目覚めの刻だ、オリジン星群」
漆黒の宇宙空間に浮かぶ超大型旗艦のブリッジで、
若き覇王シリウスが静かに呟く。
その瞳の奥には、祖父オリオンの、
そして古代の英雄ジャスティス・オリジンの
黄金色の神威が爛々(らんらん)と揺らめいていた。
父が遺した意志を継ぎ、
シリウスはさらなる高みへと到達していた。
風を駆るだけの狩猟魔導に限界を感じた彼は、
南方に君臨する千年の龍脈「大アンドロメダ龍華星界」の古法・精霊術を
完全に掌握。
東方の龍脈と風の神威を融合させるという神技を成し遂げ、
全銀河の頂点に君臨する新たなる光輝の超帝国「大サザンクロス星導国」を創世したのだ。
いま、シリウスの背後には、
宇宙の地平を埋め尽くすほどの超光速艦隊が展開している。
風の神威と龍の精霊術を纏った艦船群は、
一隻一隻がかつての魔導帝国を一夜で滅ぼせるほどの威容を誇っていた。
「祖父上の……いや、私の中に眠る
『ジャスティス』の記憶が告げている。
あの星群に眠る者たちは、
英雄を殺した過去を忘れ、今や豚のように肥え太り、ぬくぬくと偽りの平和を貪っているとな」
シリウスは口元に冷徹な笑みを浮かべ、右手を高く掲げた。
「許しは乞わせん。後悔する時間すら与えん。
我らが歩む路こそが、宇宙の絶対正義だ」
振り下ろされた覇王の手。
次の瞬間、宙を灼く圧倒的なエネルギー波とともに、
風と龍を纏う大艦隊が一斉に跳躍を開始した。
行き先は──
かつて英雄を謀殺し、
何も知らずに平和を享受している愚者どもの故郷、オリジン星群。
全銀河を統括する超帝国の総力が、いま、
何の前触れもなく一星群へと襲いかかる。
遅すぎた復讐の幕が、いま鮮血と絶望とともに切って落とされた。
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