●キャラクター解説 獣の魔将 ウルログ●
※ネタバレを含みます。
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ザンツ親衛隊六選将の一人にして、参謀として大いに暗躍した魔将。
六選将の大半がランダナグマの戦力にならない流れの中で、一人くらい
ちゃんとザンツのサポートをこなす魔将がいてもいいと思い、こういう
忠実な優等生キャラを出しました。ザンツ相手に苦労が多いジロムとも
仲良くできる人物ですが、正直な話「ご都合キャラになるかも」という
懸念は常に付きまといました。
実際、ザンツの侵攻が始まって以降の彼は都合よく働いていた印象で、
くせ者揃いの六選将の中ではかなり没個性になるかなとも思いました。
転機になったのは、ガルデン防衛戦の渦中でノンドが放った言葉です。
それがこれ。
「あなたは、魔王ザンツと同じ船に乗れているんですか?」
ビザレに協力する「寄せ集め部隊」を描く中で捻り出した台詞ですが、
これが意図せず魔将ウルログという男を浮き彫りにしてくれました。
確かに、ウルログという男はご都合キャラそのものです。しかしそれは
果たして誰にとっての都合なのか。メタ的な意味ではなく、もしかして
ザンツにとって「都合のいい存在」だったのでは…とも考えられます。
最初から最後まで、ウルログは昔とほぼ同じ立ち位置のままでザンツに
仕えていました。彼はグレモローサと違い、百年間ずっと死んでいた。
時代の変遷を実感できず、浅い知識としてしか理解できなかった。
いかに知将と呼ばれようと、彼には歳月を凌駕する柔軟性がなかった。
結局、彼は変われなかった。機会はあったはずなのに、それを逸した。
人と魔人の和合の歴史も、理解するには程遠い概念でしかなかった。
だからこそ、寄せ集め部隊に対して大いに後れを取る結果に繋がった。
こちらも勢いでしたが、ピルバスが言った「時代遅れインテリ」という
形容はかなり当たっていました。
命令されたからガルデンを襲撃したウルログと、ルクトやメリフィスを
信じて自分の意思で集まったノンドたち。ガルデン防衛戦の混沌の中、
ここの対比でウルログというキャラに思い入れを持つ事ができました。
指摘された通り、彼は900体もの魔蟲人を連れた独りぼっちです。
そんな彼が、理解し難い奇妙な連帯感で集う半端者たちに敗北を喫し、
惨めで孤独な最期を迎える。決して「好きな」キャラではないものの、
ただのご都合キャラに終わらず描写し切れたと思っています。
思いがけないキャラ同士が化学反応を起こし、予想外の奥行きを生む。
こんな事が意図を超えて起こるからこそ、創作は楽しいと思えます。




