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1-8 風と日差し

「ど、どうしようシュウ…!」

「どうしようもなにも、上手く隠し通すしかないかなぁ。嘘をついてるのは嫌だけど、あの二人まで巻き込む訳にも行かないしね」


 放課後。結局我が家にて開かれる勉強会に備え、急いで帰宅しないといけなかった。なぜか?


「ノアの説得に手間取ったら、二人共にバレちゃうよ。ただでさえ勘のいい二人なんだし」

「ノアもノアではしゃぎそうだもんね」


 ノアのことはあんまり大袈裟に考えていなかったけど、よくよく考えればこれはれっきとした違法行為。バレてしまったアヤはもう仕方ないとして、これ以上誰かを巻き込むのはもしものときに大変なことになってしまう。ノアをどこに隠そうか、頭の中でぐるぐる考えながら、家までのあぜ道を走る。隣には、帰宅場所が同じになったアヤがついてきている。


「ちょっとシュウもっと早く走らなきゃ」

「僕はアヤほど早くないんだってば」

「もう、ほらいくよ!」


 アヤはもう待てないとばかりに、僕の手を掴んで走り出す。少し汗ばむ陽射しの中、いつもより早く過ぎ去る緑色の景色に、なんとなく心地よさを感じていた。


「シュウ、緊張感が全然ないよ。ほんとに隠す気あるの?」

「ごめんごめん。なんか今楽しくって」

「何が楽し…」


 いいかけて、自分の右手に目を向ける。しっかりと繋がれた二つの手を見て、みるみるうちに顔が紅く染まっていく。夕暮れのせいにするには、まだ日は傾いていなかった。


「もう!先帰ってるから!」

「はぁい。ノアと仲良くね?」

「うるさい!」


 猛烈な勢いで僕をおいて走り出した。置き去りにした割に、チラチラとこちらを振り返ってちゃんと来ているかを確認している。その健気な姿に、思わず笑みがこぼれる。


「さあ、早く帰ろう。この平穏を失う訳にはいかないからね」


遠く前を走る背中を追って、僕も脚を踏み出した。





「ふむ、そうかい。そういうことならボクは少し引っ込んでいることにしよう」


 意外なことに、ノアはすんなりと隠れることを受け入れてくれた。多少なりとも抵抗すると思ったのに。


「ボクは聞き分けの良い女だからね。…まあ実のところ、君達の気まぐれと善意でボクは生きているわけだ。今ボクの存在が外にバレると君達もボクももれなくサヨウナラ、なんだろ?」

「そんな状況でも駄々をこねるほど馬鹿じゃあないさ。音だけでも聞かせてくれると嬉しいな。未来、いやここじゃ現代か。の少年少女の会話は気になるからね」


 そういうと、ピロンッ、という音とともにノアが見えなくなった。白い4桁の数字が動く真っ暗な画面になり、声も聞こえなくなった。またスリープモード?になったのだろうか。ノアの入った板を部屋の見えない所にまで隠し、振り返ったところで玄関から声がした。


「シュウ!来たでー!」


 どうやら間一髪間に合ったらしい。

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