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1-2 そんな平凡なクラスメイト

「もう、また居眠りして。なんでそれで成績いいのよ」

授業後、僕は幼馴染のお説教を受けていた。

眠気にだけは抗えない、三大欲求のひとつなんだぞ。

仕方ないじゃないか。

「聞いてるの?もう……あんまり反省しないなら起こしに行ってあげないよ?」

「じゃあ僕もアヤにご飯作らないよ?」

「うっ…ずるいよ、なんで私悪くないのに損するのよ…」

「なんや自分ら相変わらず夫婦漫才楽しそうやなぁ。ウチも同棲生活まぜてぇや?」

「同棲じゃない」

「同棲じゃないって!」

「いいハモりや、わかりやすいなぁ」

ケタケタと笑う黒くて長い髪。

「朝起こしにいって、ご飯作りにきて、殆ど同棲やんか。まだ一緒に寝てはないんか?ん?」

「ななななにを言い出すの藍花?!」

今日も灰崎は人をからかうのに余念が無い。

仲良し2人だからというのもあるけど。

「もう雛咲から暮葉に名字変えたらええやん、呼び名変わらんし大丈夫やろ?」

「確かにそうだね」

「ちょっとシュウまで?!」

真っ赤な頬で慌てるアヤ。

まあ、黒いショートヘアを揺らして優しさを振りまく姿は男子諸君に定評がある。らしい。

というかモテる。らしい。

らしいというのは玲二情報だからなんだけど。

「くっ…ふふ…ほんま自分らとおると退屈せんわぁ…」

「玲二といえば、昼に話があるって言ってたんだけど見てない?」

「どこから玲二の話が湧いてきたのよ」

「皆すまない、僕としたことが遅れてしまった」

「うわっ本当に湧いてきた」

「うっとおしいで玲二。なんで学校来てるねん」

「いや僕はここの生徒だ。だが今日も良い罵声だ、ゾクゾクするね」

「素直にきもい……」

変態紳士全開ですね。

「で、何の話?なんか良い話があるって聞いたんだけど」

「玲二の事だからどうせロクな話じゃないでしょ」

「そう言わないでくれ。今日は愁にぴったりな話を持ってきたんだ」

何かと物知りな玲二。ときたま有用な情報をくれる。

まあ基本ただの変態だけど。

「あの村の奥にある山を覚えているか?」

「ああ、あのやたら遠い山やろ?知っとる知っとる。そこの怪談噺なら聞き飽きたで?」

「誰も行ってないみたいだけど、なぜか話だけは出てくるのよね」

「そう、そこだ。誰も近寄らない暗くて危ない山だが、そこにかなり珍しい植物が生えているらしい。それも、薬草から食用まで。中々に興味深くは無いだろうか」

「だからなんやねん…ってああ、確かに愁には良い話やな」

「えシュウ、あの山危ないよ?昔の戦争の兵器とか死体とか埋まってるって噂だし…」

「大丈夫、それはあくまで噂だ。むしろ気になってきた」

「ちょ、自分本気かいな。目キラキラさせて…どんだけ草好きやねん」

「草だと侮らないで、色々と彼らはすごいよ?」

普段人の近寄らない、昔から放置されてる山の植生。

独自の進化を遂げた秘密の植物園。

気にならないわけが無い。

なんてロマンのある話だろう。

「それこそ今日行ってこようかな。アヤ、ご飯は作り置きしとくからたべといてね」

「えっ、うん、分かった…」

「そないに寂しそうな顔せんでも。ちゃんと帰ってくるて」

「ちなみに僕は行かない。君子危うきに近寄らずというだろう?成果を楽しみにしているよ、愁」

来ないんだ。

「まあ愁と山行ったら置いてかれそうやしなぁ。あっ、アヤ、ウチらでガールズトークでもしようや。今日家空いてんねやろ?」

「何話すつもりなのよ…でもまあそうしよっかな。シュウ、気をつけてね?ちゃんと灯りと水筒もっていくんだよ?あといつもの籠と虫除け薬と…」

「大丈夫だって」

ほんと心配性な幼馴染だ。

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