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  作者: 梶島
Dream of Butterfly
14/19

プロローグ

たぶん2013か2014らへん(曖昧)

なぜか急に三人称になりますが本当に気にしないでほしいです

挿絵(By みてみん)


「ああ……臭い、のデス」


ふらり、ひらりと。

女は歩く。

真白の肌に振りかかる長い長い髪も真白。

高い位置でひとつに括られたそれは腰にまで届き、また、それによって晒されたうなじも白く、細い。

白い睫毛に縁取られた怜悧な瞳もまた白で、身に纏う装束の黒さがそれらを更に際立たせた。


「『生』の匂い……これは上物の予感デス」


鼻を鳴らして上機嫌になった女は、足取り軽く『どこか』へと向かう。


辺りはひたすらに黒く、ぼやけた黒い霞が空間を満たしていた。

そこに点々と浮かぶ『扉」だけが淡い光と色を放ち、しかしそれ以外はひたすらに黒い。

そんな黒い世界の中で、女の黒い装束は周りに溶け込むようだった。

髪を括っている緋色の髪紐がまるで蝶のように、モノクロの女の頭上で揺れている。

また、腰に提げた長い日本刀の鞘と柄には繊細な金細工が施されており、それだけは色彩を持って漆黒の世界の中で鮮やかに煌めいていた。


「これは正真正銘のお迎えデスねぇ……さて」


歌うように独り言を零す女はひょいと飛びあがると、そのままふわりと浮かんで黒の世界を駆け抜ける。

歩いていたときよりも数倍速いスピードで、黒い靄は切り裂かれていく。

自らが起こした風に目を細めながら、女はぼそりと呟くのだった。



「誰かに盗られてしまう前に、貰ってあげないと、デス」

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