ウェアウルフ村落制圧戦 1/5
今日中に5/5まで更新するです。
「何にせよ、まずは戦力を整えることからだろうな」
一夜が明け、2人の前でそう切り出した。
「どうするのが手っ取り早いと思う?」
「単純に数を揃えるだけでしたら、独立勢力を取り込んでいくことが確実かつ即効性に長けているかと思います」
「それなら私にアテがあるわ。この辺りは支配する魔王が居ない空白地帯なの。手当たり次第に傘下に加えれば、最低限の頭数は揃うんじゃないかしら?」
「……随分と詳しいのですね?」
「前から魔王って存在には興味があったのよね。まあ大半は実力の伴わない有象無象だったのだけれど」
俺の元に付いたのも、その興味故の行動か。
「話を戻すわね。この近くで駒の候補となるのは、『スプリガン』『ウェアウルフ』『アルラウネ』、それに『ラミア』辺りかしら?」
「候補が多いのは良いことだ。しかし、どこからコンタクトを取るのが効率が良いかな?」
「私のオススメはウェアウルフね。搦め手とか苦手な種族だし、話が拗れたりはしないと思うの」
「そうか。ならばウェアウルフ達から交渉を始めることにしよう」
◇◇◇
「この森か」
「前はこの辺に村があったと思うんだけど……」
ルゥナの案内でウェアウルフの村へと向かっていたのだが、最初の予定とは少々のズレが生じていた。
「ラプラス様、こちらに来て頂けますか!」
とりあえず付近の探索をしていたところ、ミストが何か見付けたようだ。
呼ばれた方に行ってみると、次第に並んだ建物が見えてきた。ただし――――
「……廃村だな」
「少し調べてみましたが、完全に無人のようです」
「あらぁ……。申し訳ありません、ラプラス様。私のせいでとんだ無駄足を……」
ルゥナは真面目な表情と口調で頭を下げている。別に叱責のようなことをするつもりは無いが。
「気にするな。お前の責任という訳でもないし、それに……向こうから出て来てくれたようだ」
言い終わると同時、もしくはそれより僅かに早く、葉が繁る樹の中から1本の矢が飛んできた。それはミストによってアッサリと叩き落とされたのだが、軌道を見るに、最初から当てるつもりは無い様子。警告か。
「矢って素手で落とせるものなのね……」
「見切れるだけの“眼”と技の速さがあれば出来るだろう。ミストの敏捷値なら、その気になれば掴めるんじゃないか?」
「敏捷“値”……ねぇ?」
ルゥナは何か言いたげだったが、そうしている内に状況が変わった。連射される矢と、それに乗じて直接向かってくる人影。全て1人で対処するのも簡単だが――――
「私も仕事しないとね」
「あれで不意を突けたとでも?」
――――動こうとしたときには既に終わっていた。
矢を防いだのはルゥナの魔術。目の前の透明な壁がその証だ。
突貫してきた人影の方も、ミストに組み伏せられて無力化が完了している。
「ウェアウルフの諸君、手荒な歓迎、実に感謝する。ところで、そちらの3人は姿を見せてくれないのかね?」
大木の方へ目をやると、少しの間を置いてウェアウルフ達が姿を現した。
組み伏せられている者もそうだが、その見た目は普通の人間と殆ど変わらないな。外見的な特徴は獣の耳と尻尾だけのようだ。
「お前達は何者だ……? 俺達の村に何の用だ?」
「我々は魔王ラプラス軍。戦力を求めてここに来た。代表の者との交渉を求めたい」
「交渉? 強制じゃないのか?」
「ふむ……? それがいいならそうするが?」
「……分かった。長のところまで案内しよう」
聞いていた通り、話はシンプルに進むようだな。罠という可能性もあるが、それならそれで暇潰しに丁度いい。
「おい!? 何を勝手に――――」
「俺の責任で構わない。それに……こっちの方が俺達にとっても……」
ウェアウルフ側も何やら事情がある様子。面白いことになりそうだ。




