プロローグ 1/2
この前も似たようなこと書いた記憶があるけど、新ネタばっかり書くからメインの原稿が進まないんですよね……。
常に薄暗く、その殆どの大地が荒地で構成されている世界。
何時しか『魔界』と呼ばれるようになった大陸の片隅で、とある儀式が行われようとしていた。
「こうも順調に準備が進むとは……! やはり私には大魔王となる素質があるに違いないな!」
舞台となるのは、殆ど廃墟となった古城の玉座の間。
かつての主が座っていたであろう椅子は退けられて、それが置いてあったはずの場所には黒いインクで禍々しい魔法陣が描かれていた。
「ふふ……。これだけの品を集めるのは、流石に大変だったがな。しかし今日でそれも終わる! さあ仕上げといこう!」
魔法陣の周りには、何かの骨やら宝石やら、雑多な品が色々と並べられている。共通しているのは、その全てが膨大な魔力を帯びているということだけだ。
儀式を行う男は、魔法陣の前に立つと持っていた鎖を強く引っ張る。その鎖は、男の後ろに控えていた女の首輪に繋げられていた。
「あとはお前の血で完成だ……!」
「……っ!」
男は彼女の腕にナイフを突き立てると、鈍く光るゴブレットで滴る血を受け止めて、更に魔法陣へと注いでいった。
「余計な血や死体が混じると厄介だからな。お前は下がっていろ」
無造作に女を押しやると、彼は魔法陣へと向き直り呪文の詠唱を開始した。魔法陣は呼応するかのように光を放ち、その光は徐々に強くなっていった。
「これで、強大な力とやらが私の物に……! 伝説の武器か!? それとも失われた魔法の知識か!?」
遂にその強さは最高潮に達し、部屋は白く塗りつぶされる。
光が収まったとき、魔法陣や並べられた供物は姿を消し、代わりに何者かがそこに存在していた。
◇◇◇
「……?」
気が付いたら廃墟のようなところに立っていた。自分の置かれた状況を確認していると、不意に声を掛けられる。
「お前が……強大な力、なのか?」
強大な力? コイツは何を言ってるんだ? だが俺が疑問を感じている間にも、男は勝手に話を進めていった。
「俄には信じ難いが、まあいい。お前を召喚したのはこの私だ! 私に従え!」
男が叫ぶと同時に、影のようなものが放たれて首に巻き付こうとしてきた。
これは魔術か。ならば問題ない。
認識――解析――習得。3段階を経て――――
「強制解術」
あまり複雑な術ではなかったな。
「私の隷属魔術が!? チッ……強大な力というのは誇張抜きというわけか……!」
相変わらず何を言っているか分からないが、目の前の相手が敵だというのは理解した。この場にはもう1人居るが……まあ、まずは放っておいていいだろう。
「解析」
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□デーモンロード 種族ランクC+
Lv36
・HP 103/103
・筋力 57
・耐久 52
・魔力 115
・抵抗 82
・敏捷 57
□ダークエルフ 種族ランクA
Lv52 状態:隷属下,出血
・HP 46/174
・筋力 167
・耐久 143
・魔力 102
・抵抗 139
・敏捷 177
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倒れている方の能力が思っていたよりも高かった。しかし特に気に掛ける程ではないな。
「力尽くでも従えてやろう! 私の才能の前にひれ伏すがいい!!!」
才能か。確かに魔力の高さは中々のものだと思うが、それ以外が貧弱過ぎる。数値上のスペックはそこのダークエルフの方が圧倒的じゃないか。
何故こんな男の奴隷などやっているのか……。まあ深く考えることもない。なにより魔術による攻撃が目の前まで迫っている。そっちへの対応が最優先だ。
向かって来るのは球状の炎。7発ぐらいなら無防備に受けても平気だと思うが、念のために一応の防御はしておくか。
「ウォーターベール」
目の前に作り出した水の幕が、全ての炎を柔らかく受け止めて消火した。
「なっ!? これも通じぬと言うのか!?」
あの程度の魔術で何を言ってるのやら。それにしても、戦闘の場で悠長に驚いている暇があるのかね? 隙だらけだったから、ついデーモンロードの懐まで近付いてみたりしてしまった。
戦場で遊ぶのも良くはないな。せっかくなので蹴りの1つでも入れていこう。
「ごふぅっ……!?」
「耐久52じゃこんなものか。もう少し防御にも気を使った方が良いぞ? 敏捷57じゃ避けるのにも限界があるだろう」
軽く胸を蹴り抜いただけで、デーモンロードのHPは残り1割を切る。いくらなんでも脆過ぎるだろう。これでは面白くないじゃないか。
「何が目的かは興味もないが、実力不足だったな。過ぎた望みは身を滅ぼすぞ。……このように、な。『ホーリーレイ』」
一筋の白い閃光がデーモンロードの体を貫いた。そこまで高威力の魔術ではないが、この場面に十分な火力は持っている。結果として、デーモンロードは怨み言を残す間もなく消滅した。
「さて、主人の敵討ちをする……というなら、付き合うのも吝かではないが?」
次の行動の一手目として、倒れたままのダークエルフにそう声を掛けた。




