90話 新たな商売ですの!
マージンス島の観光ツアー。
そんな新しい商売を思いついたわたくしは、ロドスたちに計画を説明する。
「ロドスたちはマージンス島に立ち寄ると荷物や食料の補充で数日滞在するでしょう? その際に島を見たいという観光客を連れてきていただいて、観光ツアーを開催。ロドスたちが島を出る時にそのまま一緒にチェックアウト……いかがでしょう」
「なるほどねえ。まあ、1度に1組か2組くらいなら乗せられると思うけどね」
「良い案じゃないですかね姐さん。最近、島に行ってみたいって言う金持ちの物好き顧客が結構いるじゃないすか」
「人手も増えることだし、新たな商売もやってみましょうぜ」
「人運びはあっしらの得意分野ですぜ」
まさかロドスたちも奴隷運搬の経験がこんなところで活きてくるとは思いもしなかっただろう。
人を運ぶという事については変わらないものね。
運ばれる人が自分から依頼してきたか、強制連行なのかの違いはあまりにも大きすぎるけど。
「島の滞在は浜辺に宿を作るか、ロドスたちの船に泊ってもらうとして……島内の観光はどうするんだな?」
「自由行動をさせて魔物やアルラウネ族の住処を荒らすわけにはいきませんし、危険な魔物に襲われてしまうかもしれませんので、島民の案内付きにいたしましょう」
「チャンドラも案内したい」
「アルラウネ族が同行してくれるサービスは面白すぎるな。まあ、食い物をねだられるかもしれないけど」
スコットも浜辺に宿を建てることにやる気を出しているし、チャンドラも興味がありそうだ。
ロドスたちが島に来るのは多くても月に1、2度。
島民も増えて来たし、その際に1組、2組の観光客をもてなすくらいの余裕はあるだろう。
「それじゃあ吾輩は子供達でも魔物に対処できるような武器を開発しておこう。いざとなったら観光客からも身を守れるしのう」
「シュリーは観光客が島民を襲ってくる想定をしているんですの?」
「アタイらが観光で島に連れてくる顧客は信頼のおけるちゃんとしたヤツだけだ。そこまで心配しなくても良いと思うけどね」
「まあ、最悪の事態を常に考えておくのが軍人の仕事だからな」
「ほっほっほ。さすが犬っころ。話が分かるのう」
「オレのことを犬っころと言うのはやめろ」
観光客や島民の安全面に関して、わたくしの気が回らないところはミロスやシュリーたちがカバーしてくれる。
「オオルカたちと海で遊べる体験もやろうぜ!」
「ドラゴンに襲われる体験もやりたいわ!」
「なんで乗るんじゃなくて襲われる体験なの……?」
レンやリアたちも色々と観光プランを考えてくれている。
魔物ふれあい体験はギリス王国でも魔物使いたちがやっていたので、安全面をしっかりとやれば面白いかもしれない。
さすがにオオルカやドラゴンと触れ合えるサービスは珍しいと思うけど。
「なんだか面白い話になってるね。ぜひ自分たちにも協力させてくれ」
「観光客を呼ぶならもう少し衛生面を整えた方が良いわね。私のほうでその辺りの商品を仕入れておくわ」
クリストファーとメリーナもロドスたちと一緒にマージンス島の観光計画をサポートしてくれるみたい。
みんな、良い人たちですわ。
「それにしても、メリーナが増えて良かったですわね、ロドス」
「ん、なんでだい?」
「今まで紅一点だったではありませんか。女性が増えて居心地がよくなったのではありませんか?」
「うーん、女性ねえ……アタイって女性なのかい?」
そう言われるとなんともいえない所ね。
ロドスがこうなったのも主にわたくしのせいだし。
「クリス、ロドス海賊団の新入りにアタイからひとつ忠告だ」
「自分に忠告? メリーナは?」
「アーシアのヤシの実正拳突きには気を付けるんだよ」
「????」
も、もうやりませんわよ……相手が何もしてこなければ。
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