85話 備えあれば憂いなしですの!
「お、おお……! 良質な白の魔石がこんなに沢山!」
シュリーが島に来て、数日たったある日。
東の岩山エリアで白の魔石……魔原石が採掘できることを教えたところ『ぜひ連れて行ってくれ』ということで、スコットと一緒に案内することに。
「まさか、こんな島でこんなにも良い白の魔石が採れるとはのう……ケルディス鉱山から僅かに採れる白の魔石を巡って争っていた吾輩たちは何だったんかのう」
「最初からギリス王国とアイル王国で協力して鉱山を調査しておけば、戦争も起きなかったんだな」
「どの国も自国第一なのは仕方あるまい。数百年前は他にも白の魔石が採れる場所があったんじゃが、後から来た人間どもが魔石の生成期間を無視して採りまくり、生成環境が破壊されてもうた。この場所は大切にしていかないとじゃな」
魔原石は魔道具や魔装武器の研究には必須のもので、マヨルカによると、シュリーはその研究においてギリス王国内では第一人者と言われる位の人物だったらしい。
ケルディス戦争が終結して魔装化兵士の実践投入までは至らなかったが、もしあのまま戦が続いていれば、いずれ今のシェリーのような人間が戦場に現れ、最終的にはギリス王国の勝利で終わっていた可能性が高いとか。
「実は、シェリーにお願いがありまして……こちらの魔原石を活用して島を守るような武器や設備を作って欲しいのです」
「よし任されよう!」
「戦が終わったのに、こういうことをお願いするのは大変心苦しいのですが……って、即答ですのね」
「研究開発は吾輩の生きがいじゃからな。他国の軍艦に責められても決して負けない最強の防衛システムを開発してやるぞ!」
「オイラも手伝うんだな」
「ようし、まずは軍艦砲の追尾撃墜システムと遠距離魚雷爆弾の開発からじゃ! これだけ白の魔石があれば、吾輩の魔装を強化して魚雷の操作を……」
さっそく研究モードに入ってしまったのか、ブツブツと独り言をつぶやきながら魔石の採掘を始めるシュリー。
彼女の開発力とスコットの建築技術で島の防御はかなり強化されるであろう。
……これはわたくしが最近考えている、備えあれば憂いなしプロジェクト第1弾。
万が一にもマージンス島が他国から侵略を受けてしまった際に、返り討ちに出来るように戦力を整えておくこと。
現実が厳しいことを知っているわたくしたちが、新しくできたこの居場所を失わない為に出来る限りの準備をしておこう。
「あとは……そうですわね。魔物使いを、増やしましょうか」
―― ――
「「えっ? お、おれたちがオオルカを使い魔に?」」
「いざという時の為にお願いします! レンとゼンならいけますわ!」
アーシアの備えあれば憂いなしプロジェクト第2弾。
魔物たちとも協力して、みんなで島を守ろう計画。
マージンス島周辺に棲むオオルカたちは、浜辺に打ち上げられていた子供のオオルカを助けてからずいぶんとわたくしたちに懐いてくれている。
しかし、本来は集団で狩りをして時には軍艦すらも破壊する巨大で凶暴な魔物の一種。
特に懐いているレンやゼンたちにも協力してもらって、もし島に敵意のある船が近づいてきた場合には容赦なく実力を発揮してもらう。
「ぎゃお!」
「ぎゃお~?」
「リアとミアは、スイとリョクを使い魔にしてもらいますわ」
「ドラゴン使いか~」
「おとぎ話の主人公みたいで良いわね」
双子のリアとミアには、同じく双子ドラゴンのスイとリョクに乗って、トゥーイとガーちゃんがやってる島のパトロールのお手伝いをしてもらう。
生まれた時から育ててきたスイとリョクは、成長して大きくなってもわたくしたちを襲うことはせず、島の住民に懐いている。
実際に使い魔にするというよりは、仲良くなって簡単な命令が通るような状態になってくれれば御の字ですわね。
「というわけで、本日は魔物使いの先生をお呼びしておりますわ」
「……よ、よろしく」
「「トゥーイじゃねえか」」
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