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83話 魔造エルフですの!



「ギリス王国の魔装武器開発部……初めて聞く部署ですわね。通常の武器開発部は確か存在したと記憶していますが」



 将軍だったお父様からもそんな部署の事は聞いたことがない気がする。

それに魔装エルフとは一体……?



「お、そっちの嬢ちゃんはギリス王国出身なのだな? で、こっちの……な、なんじゃお主。全身緑色ではないか! 病気か」



「チャンドラ、病気じゃないよ」



「チャンドラはアルラウネ族という植物系の亜人ですわ。このマージンス島にしかいませんの」



 改めてシュリーにわたくしとチャンドラ、そしてこのマージンス島の紹介をする。

わたくしが将軍家のフォレガンドロス公爵令嬢だと話すと、シュリーはとても驚いていた。



「そうか、お主が公爵の娘か……ケルディス戦争が終わり真っ先に流刑されたと聞いておったが、まさかこのようなところで会えるとはのう」



 元軍属ということで、わたくしのお父様とは知り合いだったのか、どこか懐かしむような表情でわたくしを見つめるシュリー。

見た目はわたくしと変わらないどころか、リアとミアくらい幼く見えるけど、成長してもほとんど容姿が変わらないエルフ族ならシュリーはもう大人なのかもしれない。



「まさかあの鼻たれボウズにこんな可愛らしい娘がいたとはの。まったく、長生きはしてみるもんじゃ」



「鼻たれボウズって……シュリー、今何才なんですの?」



「正確な歳は忘れてもうた。800才以上1000才未満といったところじゃな」



「えっ!? 800!?」



「シュリー、長生きだな」



 長命のエルフ族とはいっても、500才以上の人はほとんど聞いたことがない。

それに800才ともなれば、さすがにここまではきはきと話せたり軍で働いていたりは出来ないと思うのだけれど……



「そういえば、シュリーが先ほど言っていた魔装エルフというのは……」



「ん? ああ、そうじゃな。その辺りの説明がまだじゃったか。そうじゃのう……よし、あれにしよう」



 辺りを見渡していたシュリーが、浜辺に生えたヤシの木になっている実に目を付ける。

一体なにをしようというのだろうか。



「ふたりとも、よーく見ておれよ……発射!」



 バシュッ!!



「ええっ!?」



「うおーすごい! 腕が飛んでったぞ!」



 ヤシの木の上部を狙って右腕を構えたシュリーがなにやら合図を出すと、シュリーの肘から先が弓矢のように発射され、高いところにあるヤシの実を掴んだ。

腕は二の腕部分から伸びるワイヤーのようなものでつながっていて、飛んでいった右手はヤシの実を掴みながらゆっくりと戻ってきた。



「どうじゃ?」



「ど、どうじゃって……え? なんなんですのそれは一体!? 魔法ですの!?」



「腕のびーる魔法か?」



「これが『魔装』じゃ。要するに、魔道具のようなモノで構成されたカラクリの身体というわけじゃな。吾輩の身体の一部は魔装によって置き換えられておるのじゃ」



「シュリー、スーパー機械マンか?」



「そうじゃなあ。3割機械エルフマンという所じゃな」



 シュリーの説明によると、腕以外にも脳や臓器の一部を魔装化しており、そのおかげで通常のエルフ族よりもさらに長命になっているという。



「吾輩のいた部署は、こういった魔装で強化された人間を兵器として転用するための研究、開発を秘密裏に行っていたのじゃ。まあ、戦争が終結した今となっては、こんな実験組織はなかったことにしたいのが王国側の本音じゃろうな。魔装武器開発部は解体されて、所属していた研究員は暗殺されるか、吾輩みたいに一筋縄では倒せない厄介者は島流しにされるか……」



「そんな……」



 まさか、ギリス王国がそんな非人道的なことをしていたなんて……お父様も、さすがにこのことはわたくしに伝えられなかったのでしょう。



「勘違いしないで欲しいのは、吾輩は好きでこの身体を手に入れたこと。そして魔装武器開発は王国直属で運営されており、お主の父上はこのことには最後まで反対していたということ。まあ、だからこそ国から疎まれ、生き残ったお主も追放されることになったのかもしれんがの」



「そうですか……」



 それを聞いて、少しほっとした。

やはりお父様はお父様ですわ。



「シュリー、今の腕びよーんで魚獲ってくれ魚!」



「おお良いぞ。発射!」



「うおー! かっこいいな!」



 チャンドラはシュリーのロケットパンチに夢中だった。





————  ――――



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