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50話 交渉成立ですわ!



「ウッギーウギウギィ!」



「ウッキーウッキキ」



「なんて言ってますの?」



「オレにはまったく分からん」



 完成したカニせんべいを持って再び東の岩山エリアにやって来たわたくしたちは、ハンマーヒヒと会話(?)ができるチャンドラを通じて取引をすることにした。



「しかし、このおせんべいで本当に石材と交換してくれるのかしら……」



「まあ、そこは分からん」



「アーシア嬢ちゃんだったらどうすんだ? 自分の家の周りにある石ころと好きなお菓子を交換してくれって言われたら」



「いくらでも持ってけって言いますわ!」



「まあアーシアならそうなるだろうよ」



 試食用のカニせんべいをハンマーヒヒたちに渡して様子を見る。



「くんくん……ウギッ!?」



 好物のカニの匂いを感じたのか、恐る恐るカニせんべいを齧って食べ始めるハンマーヒヒたち。



「パリ、パリ……ウッギィ!!」



 パリパリパリパリ!



「ものすごい勢いで食べてますわ」



「ウギウッギー!!」



「ウッキーウッキー」



「交渉成立みたいだな」



 カニせんべいを食べたハンマーヒヒのボスがチャンドラと握手をする。

どうやら無事に石材との物々交換の取引が結ばれたようだ。



「カニせんべい一枚と、石材一つですの?」



「このカニせんべいはそんなに低い価値じゃない。石なんていくらでも持って行けって言ってる」



「アーシアと同レベルだな」



「なんだか納得いきませんわ」



 まあでも、これで家の建設に必要な石材を手に入れることができるようになった。

後はスコットに採掘してもらって、草原エリアまで運んで……



「なかなか重労働になりそうですわね」



「採掘作業か? まあ、家を建てるってのは力仕事だからな。だからこそオレ達みたいな獣人やドワーフ族なんかの力のある亜人族がやってることが多いってわけだ」



「適材適所ですのね」



「アーシア、カニせんべい職人」



「わたくしの適職はせんべい職人ですの?」



 こうして、東岩山エリアでのハンマーヒヒたちとの対立も無事に解決し、草原エリアでの本格的な家づくりがスタートしたのであった。



 ―― ――



 ヨーロンス大陸、ケルディス鉱山協同採掘事業・アイル王国支部。



「奴隷の輸送船が消息不明だと?」



「ええ……アージンス大陸から裏ルートで仕入れているもので、表立って捜索することもできず……」



「くそ、奴隷にも輸送費用にも少なくない金を積んでやったというのに……」



「消息不明になったのはどの辺りだ?」



「それが、例の『魔物島』付近の海域で追跡していた使い魔が魔物に襲われて追えなくなってしまったと……」



「……あそこか」



 アイル王国の幹部たちは頭を抱える。

輸送船の捜索を表立ってできない上に、島流しとして利用していた魔物島付近で消息不明となったのであれば、余計に公表することも出来ない。



「……奴隷の輸送を依頼したのは海賊だったな」



「はい、闇の運び屋『ロドス海賊団』です」



「今まで幾度と修羅場を潜り抜けて来た奴らだ。こんなことでダメになるとは信じがたいが……」



「なにせ、あの魔物島ですからね。ギリス王国の将軍の娘を島流しにした軍艦もいまだに帰艦していないと聞いています」



「くそっ……!」



 職人ギルドのドワーフ逃亡、人手不足を補う奴隷の輸送失敗……ケルディス鉱山の採掘計画に、陰りが出始めていた。



————  ――――


これにて1章完結! 次話から2章に入ります!

ここまで読了いただき、ありがとうございます!


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————  ――――

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