41話 新たな漂着者ですわ!④
「……来ましたわね、ドワーフ」
「ああ、まさかこんな都合良く漂着してくるとはな……」
「本人にとっては幸運でもなんでもないと思いますけれど」
わたくしたちが草原エリアに到達してから数日後。
空を飛んで島の周りを監視していたトゥーイの使い魔、ガーちゃんが浜辺で倒れている人を発見したらしく、わたくしとミロスで確認に向かったところ、まさに数日前に話題に出したドワーフ族の男らしき人が打ち上げられていた。
「……うん、大丈夫だ。気を失ってはいるが、呼吸はしている」
「とりあえず浜の拠点に寝かせましょう。わたくし、食事の用意をしておきますわ」
彼が倒れていた浜辺の近くには壊れた木船が漂着していた。
前に漂着した船の残骸と比べるとかなり船の形として残っていて、かなり丈夫に作られていたのかもしれない。
「ぬぅ……! お、重いなしかし」
ドワーフ族はずんぐりむっくりというか、身長は低いけど身体はがっしりとしていて力持ちだ。
手先も器用なので、大工や武具職人などの器用さと腕力が必要な仕事をしている人が多い。
「ミロスだって重いですわ」
「いやまあ、それはそうだが……って、アーシアに担がれた経験は無いぞ俺」
「昨日の夜中にちょっと肌寒かったので、ミロスに抱き着いて寝てたら寝返りで潰されましたの」
「それは自業自得だろ」
―― ――
「……うぅ」
「あ、気が付きましたわ」
「おい、大丈夫かアンタ」
「ここは……どこんだ?」
「ここは無人島……いえ、元無人島のマージンス島ですの」
「ヨーロンス大陸じゃあ、ないんだな……?」
ドワーフ族の男が起き上がり、島の周囲を見渡しながら状況を確認するように話しかけてくる。
「ああ。ここはどこの大陸にも属していない孤島だ」
「……オイラ以外に、最近この島に来たドワーフ族はいなかったんだな?」
「あなたが初めてですわ」
「そうか……」
男は少し気落ちしたような表情で海の向こうを見つめる。
「いや、そうだな。まずは助けてくれた礼を言わなければ。オイラはドワーフ族のスコット。アイル王国で大工をしていたんだな」
「やりましたの! 大工ゲットですの!」
「なんだね大工ゲットって」
「こっちの話だ」
「むぐぅ!」
ミロスに後ろから羽交い絞めにされて口を塞がれる。
……ミロスのもふもふはちょっとクセになる獣臭さですの。
「む~! む~! ……すぅ~」
「おいオレの腕を吸うな」
「はっはっは! 仲が良くて羨ましいもんだな!」
「コイツの事は気にするな。それで、スコットはどうしてここへ? もしかして国から流刑に処されたか?」
「ああいや……オイラはな、アイル王国から逃げて来たんだな」
「……なに?」
「む~?」
アイル王国から、逃げて来た?
「む~……ぷはぁっ! スコット、逃げて来たというのはどういうことですの?」
「二人は、アイル王国とギリス王国のケルディス戦争は知っているんだな?」
「ああ。オレたちも当事者だからな」
「わたくしはギリス王国、ミロスはアイル王国にいましたの」
「そうか、それなら話が早いんだな」
スコットは神妙な顔でこちらに向き直り、話を続けた。
「アイル王国、ギリス王国の両国は、ケルディス鉱山の魔石採掘の為、強制的に一部の国民を鉱山で働かせているんだな。まるで奴隷のようにな」
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