40話 草原エリアですの!
第2拠点を完成させてから数日。
森の開拓と道の整備を再開したわたくしたちは、チャンドラが言っていたゴリゴリとかいう魔物や山に棲むドラゴンの陰に怯えつつ、ついに本日、森を抜けることに成功した。
「出ましたわ! 上空から見えていた草原エリアですの!」
「うわあ、広いねえ……」
「湖もあるわねえ。ここからだと泉が遠いから広い水場は助かるわあ」
「ああ、それに……」
森を抜けたわたくしたちが目にした光景は、広い草原の奥に鎮座する、巨大な山だった。
「あそこに、ドラゴンが棲んでるんだよな……?」
「ええ、チャンドラの話が本当なら、ですが」
あれからもチャンドラは時折わたくしたちの元に遊びに来ては、気まぐれに道の整備を手伝ったり、わたくしたちが知らなかった森に生える美味しいフルーツを見つけて採ってきてくれたりしていた。
今は自分の棲家に帰っているが、もしかしたらまたその内遊びに来るかもしれない。
「この草原エリアには魔物がいるのかしら」
「どうだろうな。小動物や小型の昆虫系の魔物はいると思うが、デカいやつは目立って格好の的になっちまう」
山の麓に広がる草原エリアは、わたくしのひざくらいの高さの植物がたくさん生えていて、所々岩だったり木だったりが点在している。
草原の東側には大きな湖が広がり、湖から流れる小川が山や森に向かって何本か伸びている。
「とりあえず周囲の安全が確認出来たら、湖に行ってみるか」
「美味しいお魚が獲れるかもしれませんわ」
「ワニとか、いるかも……」
「ワニはいなくていいですわ」
―― ――
「いましたわね、ワニ」
「ああ、まさか草の中に隠れた沼地があるとはな……」
「ちょっとルートを整備しないと湖には行けないわねえ」
背の高い草が多く生えているせいで気が付かなかったが、湖に近づけば近づくほど地面がぬかるんでいて、いわゆる湿地帯のようになっていた。
小川の近くには泥が溜まった沼地もあり、大きなワニのような魔物が頭を出して獲物が来るのを待ち構えていた。
「北東側の湖畔が砂浜のようになっているから、ぐるっと遠回りしていけば行けなくはないが……」
「将来的には桟橋のようなものを整備して湖まで行けるようにしたいですわね」
今は東側にある湖から離れて西側の草原を探索している。
この辺りは生えている植物も背の低いものが多く、小屋を建てて本拠地とするなら湖の傍よりもこっちのほうが適しているかもしれない。
「まあ、なんにせよ今日明日で小屋は立てられないからな。森の中に放置してある伐採した木材とかを運ばないといけないし、そもそもちゃんとした小屋を建てるならちゃんとした人材も必要だ」
「人材、ですの?」
「ああ。オレの拠点づくりは傭兵として野営をすることが多かった時期に学んだ簡易的なものだ。大きくて丈夫な家を建てるなら、ドワーフ族なんかの大工職人がいないとだな」
「ドワーフ族……」
ドワーフ族は、背は低いが身体が頑丈で力のある亜人だ。
その割に繊細な作業が得意で、武器や防具、金細工なんかの職人や、大工職人をしている人が多い。
「それじゃあ、ドワーフ族が島に漂着したら小屋の建築をお願いいたしましょう」
「はっはっは! そんなに都合よく島に流れ着いたらドワーフ族も大変だろうよ」
とにかく、目標にしていた草原エリアへの到達に成功したわたくしたちは、しばらくは森の第2拠点を使いつつ、草原エリアの探索を進めることにしたのであった。
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