37話 アルラウネ族ですわ!
「煙の匂い、ヘビ、うまそう」
「な、なんだコイツは……」
わたくしたちの拠点に現れた緑色の少女は、焚き火の端で焼いているジャングルバイパーの肉に興味津々だ。
「緑色の肌……もしかしてゴブリンですの?」
「いや、ゴブリンはここまで見た目が人に近くない」
「それに、ゴブリンにはメスの個体はいないわよお」
女の子の見た目は、全身の肌が緑色、髪の毛も緑色だけど、肌よりも少し青みがかっている。いわゆるエメラルドグリーンの綺麗な髪だ。
髪は女の子の腰にかかるくらいの長さがあり、毛量が多くて全体的にもっさあとしていて、所々に花のつぼみのようなものが付いている。
「植物系の魔物……いや、亜人……?」
「いや、植物系の魔物にルーツがある亜人は存在しないはずだが……」
「もしかして、新発見ですの? マージンス島の原住民ですわ!」
カタコトだけどわたくしたちと同じ言葉を話している。
この子は無人島と言われていたマージンス島に昔から住んでいる原住民かもしれない。
「ヘビ、焦げる」
「おっと、あぶねえあぶねえ……」
女の子に気を取られて、串焼きにしていたジャングルバイパーが焼き上がったことに気が付かなかった。
「じー…………」
「……く、食うか? ヘビ」
「……!!」
ミロスが女の子にジャングルバイパーの串焼きを渡すと、人狼族のミロスを警戒することもなく、キラキラとした嬉しそうな表情で串を受け取った。
「はぐ、はぐ、はぐ……あちち」
「熱いから、ふーふーして冷ましながら食うんだ」
「ふー、ふー……はぐはぐ……うまい!」
「そうかそうか」
「あらあら、まるでお父さんねえ」
「う、うるせえよ」
茶化すマヨルカに悪態をつきつつも、優しい表情でジャングルバイパーを食べる女の子を眺めているミロス。
何故だか、ちょっと……胸がモヤモヤしますわ。
―― ――
「うまかった」
「それは良かったですわ」
ジャングルバイパーの串焼きを食べ終えた女の子に水を飲ませると、彼女は焚き火を囲うように座るわたくしたちの真似をしてその場にしゃがみ込んだ。
「えっと、わたくしたちは少し前からこの島に住んでいる人間ですの……あ、こっちのもふもふしたのは人狼族のミロスですわ」
「なんだもふもふしたのって……」
大人しく話を聞く女の子にわたくしたちの自己紹介をする。
「それで、あなたのお名前を教えてもらってもいいかしらあ?」
「チャンドラ」
「チャンドラちゃんですのね」
「ドラチャン違う。チャンドラ」
「え……? あははっ! わかりました。チャンドラですのね」
「そう。お前、アーシア」
「そうですわ。わたくしはアーシアですの」
言葉は通じるけど、なんだか独特の感性をしている気がする。
この子は亜人の一種なんだろうか。
「チャンドラ、君は何者だ?」
「なにもの?」
「うーん……人としての種族、いや、一族、か……?」
ミロスがチャンドラへの聞き方に悩んでいる。
確かに、今までわたくしたちみたいな他の種族に出会ったことのない彼女に『あなたは何者?』と質問しても答える方も難しいかもしれない。
「チャンドラは、アルラウネ」
「アルラウネ、族?」
「そう。仲間みんな、アルラウネ」
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