23話 魔物の病気ですの……
「う~ん……」
「チュ、チュウ……」
「リス子は大丈夫なんですの!? リス子は大丈夫なんですの!?」
「落ち着けアーシア」
弱ったリス子を保護し、マヨルカに状態を診てもらう。
見た感じ外傷などは見当たらないから、他の魔物に襲われたというわけではなさそうだけど……
「これは……頬袋が腫れてるわねえ」
「頬袋、ですの?」
「ええ。おそらくなにか硬いものか鋭利なものを食べて口の中を切ってしまい、その傷が化膿して腫れてしまったのねえ」
マヨルカの説明によると、頬袋が腫れただけでは今すぐに死ぬことはないとのこと。
しかし、口が腫れて餌を食べられなくなり、そのせいで栄養失調に陥っている可能性があるという。
ぱっと見た感じ、口の中に木の実を詰め込んでる時と変わらないから気付かなかったわ。
「このまま放っておいたら頬袋の腫れが治る前に餓死してしまうかもしれないな」
「小型の生き物はアタシ達より飢餓に弱いものねえ」
「そ、そんな……」
ああ、今わたくしに回復魔法が使えたら……毎日お祈りと月一の断食は無理ですけど……
「まあまあ、ここはギリス王国軍の元毒薬調合師であるアタシにお任せよお」
「さすが魔女、苦しむ前に毒で安楽死させるのか」
「そんなの嫌ですの!!」
「ち、違うわよお。確かに毒薬調合が専門だけど、普通のお薬だって作れるわあ」
マヨルカがリス子を優しく寝かせ、採取した薬草を入れる布袋を持って立ち上がる。
「ちょっと腫れに効く薬草と食べさせやすい食材を探してくるわねえ。アーシアちゃんも一緒にいく?」
「い、行きますわ!」
リス子、待っててくださいまし……!
必ず助けてあげますわ! マヨルカが!
―― ――
「これはタテバキキョウね。膿を出して炎症を抑える効果があるわあ」
「採取ですの!」
「こっちのツルは……根の部分が食べられるわ。滋養強壮薬にも使われてるわねえ」
「掘りますの!」
マヨルカの案内で森に生えている植物を採取していく。
魔女のマヨルカは毒薬の調合を生業にしていただけあって、薬草に対する知識が豊富だ。
わたくしが島に着いた最初の頃に一人で森を探索していた時は、食べられるかどうかも分からずにスルーしていた植物についてもちゃんと情報を持っている。
「マヨルカは、すごいですわ。わたくし一人だったらリス子を助けることが出来なかったもの……」
「それはたまたま、アタシがそういう方向の専門家だったからよお」
「でも、わたくしにはそんな役に立てるような専門知識は持っていませんわ」
元傭兵のミロスも魔物の知識やサバイバルの経験が豊富で色々とわたくしを助けてくれている。
子供の頃に『フェアリーランド漂流記』を読んでいただけの、あってないようなわたくしのサバイバル知識ではどうにもならない。
「アーシアちゃんは、まだまだ子供じゃないの。これから自分の好きな事を見つけて専門的に学んでいくって時期でしょう? まあ、そんな子を島流しにしたギリス王国のお偉方はちょっとどうかしてると思うけどねえ」
「マヨルカ……」
「でも、これから色々学んでいけば良いのよお。この島にだってアタシやミロスちゃんの知らないことがまだまだたくさんあるはずだもの。アーシアちゃんに助けられる場面も出てくると思うわあ」
「マ、マヨルカ~!」
わたくしは感極まってマヨルカに抱き着いた。
うーん、ミンティローズの良い香り……
「さあアーシアちゃん、まずはリス子ちゃんを助ける為に薬草集め、がんばりましょうねえ」
「分かりましたの!」
リス子、待っててくださいまし。わたくしが美味しい料理とよく効くお薬を作ってあげますの。
「マヨルカ! この球根は食べられますの!?」
「リス子ちゃんがそれを食べたら一瞬で天国行きねえ」
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