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11話 恵みの雨ですの!



 ポツポツ、ポツ……ポツポツポツポツ……サアアアアア……!



「わっ! 本当に雨が降ってきましたわ」



 朝にミロスが言っていた通り、昼過ぎ頃からシトシトと雨が降ってきた。

この島に来てから初めての雨。まさに天からの恵みだわ。



「降ってくる前になんとか形になって良かったな」



「雨漏りもしていませんの。さすが帆布ですわ」



 浜辺から運んできた船の残骸で簡単な小屋の枠組みのようなものを作り、その上に帆布を被せる。

帆布の上に雨水が溜まって屋根がつぶれないように雨水の逃げ道を作って、その先にろうと状に巻いた大きな葉っぱ、そしてその下に雨水を回収する用のガロン瓶を設置した。



 これで自動的に瓶の中に雨水を溜めることが出来るということだ。

ちなみに作業はほとんどミロスがやってくれた。

あ、でもわたくしも葉っぱを巻いたりしましたわ。



「アーシア、あのリスの魔物の姿が見当たらないが、どこに行ったんだ?」



「リス子なら雨が降ってくる少し前に森に帰っていきましたの」



「ほう、アイツも雨の匂いに気が付いていたようだな。アーシアより優秀だな」



「わたくしだって練習すれば雨の匂いくらい分かるようになりますわ!」



 くんくん、くん……これが雨の匂いですのね。よし、覚えましたわ。



「この溜まった雨水は、そのまま飲めるんですの?」



「まあ、飲めなくはないが……腹を壊す可能性を下げたいなら、一度加熱したほうがいいな」



「でも、どうやって? あの雨水を溜めている瓶だと加熱したら割れてしまいますよね」



「そうだな……浜辺にも加熱できそうな鍋や金属容器などは流れ着いてなかったし、自作の必要もあるか……だがオレはちゃんとした調理器具や食器を作る方法までは知らん」



 ミロスが帆布の天井を見上げながら唸り出す。

ふふ、どうやらここはわたくしの出番のようですわね。



「泥を練って、固めて焼くんですのよ」



「ほう、知っているのかアーシア」



「フェアリーランド漂流記に書いてありましたわ」



 わたくしが子供の頃に愛読していた児童書『フェアリーランド漂流記』では、きめの細かい泥をこねて固め、乾燥させてから手作りの窯で焼いて食器を作っていた。



「岩などで窯を作って、そこで焼けば水を加熱する鍋も作れますわ」



「固めた泥が乾燥するのにはどれくらいかかるんだ?」



「そうですわね、たしかフェアリーランド漂流記では10日くらい……」



 …………。



「10日も水が飲めなかったら死んでしまいますわ!」



「ま、まあ候補の一つには入れておこう」



 ―― ――



「雨、止みませんわね」



「突発の天気雨って感じではなかったからな。明日には上がってると良いんだが」



 昼過ぎから降り始めた雨は夕方になっても止まず、天気も悪くていつもよりも日が暮れるのが早い気がする。



 くきゅ~……



「うう、お腹が空きましたわ……」



「今日は力仕事もやったからな……浜辺で貝くらいは採れるかもしれんが、この雨だと火が使えない」



「な、生で食べて体調を崩すのはもうこりごりですわ……」



 拠点づくりで余った帆布をレインコート代わりに羽織り、雨の降る浜辺を少し散策する。



「アーシア、波が高くなってくるかもしれないからあまり海には近づくなよ」



「分かりましたわ」



 暗くなりつつある浜辺には、背の高いヤシの木と、流れ着いた船の残骸、それから大きなカメ……



「……ん? カメ?」



「グワアアアアアア!!」



 …………。



「ミ、ミ、ミ、ミロスうううう!! でっかいカメがいますわーっ!!」



 わたくしは頼れる人狼族の元傭兵に助けを求めた。



————  ――――



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————  ――――

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