↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
わたくしは何も存じません  作者: 綾雅(りょうが)9月は3冊!


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

318/337

318.思いを伝える難しさ

 何度も書いては丸め、丸めては書き、ネロとミロは言葉を探した。どの表現なら通じるだろう、不快にさせないだろう。そんなことを考えながら、あれこれと推敲する。しばらくしてラファエルに助けを求めた。


「個人の手紙なんて書いたことない」


「こういうのは違うじゃん」


 違うと見せられたのは、いわゆる「挨拶状」だった。尊称を付けて書き始め、時候の挨拶が続く。途中でどうして手紙を出したか丁寧に書かれ、今後の繁栄を祈って終わった。これでは公式文書に近い。私的な手紙の経験がないため、習った通りに書いてみたらしい。


「あのさ、これとこれは要らないよ」


 ラファエルはペンを借りて、すっと横線で消した。挨拶、尊称、敬語で終わる末尾、繁栄のお祈り。ほとんど線が引かれる。残ったのは、どうして手紙を書いたのか。


「ここに足していこう。イグナーツ王子殿下へ、から始める」


 言いながら、二人に書かせた。手紙を書いた理由も消して構わないが、全否定は間違っているとラファエルは考えた。知らないだけなんだから、覚えればいい。必死で考えたのに、全部線を引かれたら悲しいから。残した部分に付け足して、最後にその部分を消したら……文面が残る。


「うーん、出だしは?」


「こないだ、一緒に過ごしてどうだった? どうして贈り物をしたいと思ったの?」


 質問に質問を返すのは失礼だが、ネロとミロが考えて作った文章ではなければ意味がない。ネロは「こないだはありがとう」から始めた。ミロも「一緒に遊んでくれて楽しかった。また遊ぼう」と記す。互いに覗き込んで、頷いてまたペンを動かした。


 書き直す回数が減り、最後に残った手紙は私的な表現が並ぶ。僅か一枚、半日かけて仕上げた手紙を清書した。綺麗な花柄の便箋は、クラーラが用意させたものだ。その柄も二人で悩んで選んだ。同じ柄の封筒に入れ、封蝋を垂らしてスタンプで紋章を残す。


「出来たっ!」


「手紙って難しいんだな」


 詰めていた息を吐きだし、二人が寝転がった。長椅子でぶつかりながら手足を伸ばす。疲れたと全身で示す二人に、ラファエルがお菓子を手に戻る。すでに書き終えたラファエルの分と合わせて三通、テーブルの上に並んでいた。


「ほら、お疲れ様」


 ラファエルの指が摘まんだ砂糖菓子を、双子の口に押し込む。素直に受け取ったミロと違い、ネロはにやっと笑って指を噛んだ。軽く歯を立てたネロに、ラファエルが大笑いして指を突っ込む。


「ちょ! おま……何すんだよ」


「それは僕が言うこと」


 反撃されたネロが飛び起き、ミロはきょとんとした顔で寝転がったまま。こうしてみたら、顔もあまり似てないかも。抱き着いて仲直りしたラファエルは、双子に贈る思い出の品を決めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  ☆ 新刊 ☆  2026年9月は3冊!!
 icon_new04_new05.gif2026/9/02・・・契約婚ですが可愛い継子を溺愛します (2) (一迅社/一迅社ノベルス) 
 icon_new04_new05.gif2026/9/07・・・要らない悪役令嬢、我が国で引き取りますわ 優秀なご令嬢方を追放だなんて愚かな真似、国を滅ぼしましてよ? (5) (竹書房/バンブーコミックス 異世界BC)
 icon_new04_new05.gif2026/9/10・・・魔王様、溺愛しすぎです!@COMIC (2) (TOブックス/コロナ・コミックス) ※電子のみ

― 新着の感想 ―
楽しそうで何よりですねwほのぼのも良いけどワチャワチャも良いw 文章書くのは難しいですね(汗)私は苦手です(汗)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。