↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
わたくしは何も存じません  作者: 綾雅(りょうが)9月は3冊!


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

303/335

303.数日でも長く、あと少しだけ

 正式に儀式として執り行われ、ウテシュ王国の譲位が確定した。王太子テオパルトは、この瞬間から王になる。王族の席に並ぶ双子は、昨夜の騒ぎが嘘のように大人しかった。場を弁えて動く、当たり前のことだが昔の双子を知る貴族は瞠目した。


 厳粛な場でも関係なく騒ぎ、自分達が世界の中心であるかのように振る舞う。ネロとミロが過去に場を乱した記憶を持つ大人は、今回の立派な振る舞いに驚いた。静かに椅子に収まり、兄の雄姿を見つめる。終わって挨拶する兄の後ろに控え、王族らしい穏やかな笑みを湛えて挨拶を受けた。


 近い国から挨拶するのが一般的だが、隣国であるカペル共和国に王族はいない。そのためアードラー王国へ移るが、そちらも侯爵の代理だった。となれば、国境を接していないが距離の近いゼークト王国、離れたロイスナー公国の順番になる。


 第二王子イグナーツは王族として、立派に役目を果たした。国の代表に相応しい挨拶を終え、続くラファエル達に軽く会釈する。


「頑張れよ」


 小声で励まし、にやりと笑ってすれ違った。しっかり頷いたラファエルが挨拶に向かい、きちんとした振る舞いで敬意を示す。双子王子にも軽く目配せし、そつなくこなした。ここからアードラー王国、カペル共和国の使者が新王との挨拶を済ませた。


「これで帰れるのぉ」


 エッカルトがそう呟くと、ラファエルはそうだねと返しながら王族の席を振り返った。初対面の印象が最悪だったのに、いまでは離れがたく思う。それでも互いに王族である以上、一緒に過ごす選択肢はなかった。


 たまに会える程度の関係であっても、何かあれば助ける。ネロとミロはそう決意し、ラファエルも心に誓っていた。


「出発は、そうじゃな……三日後でどうじゃ? すぐでは忙しない」


「そうね。王宮を辞する他の使節団と重なるのは、大変だわ」


 見送りに立つウテシュ王国側を気遣う言葉を選びながら、二人が気にしているのは孫のラファエルだった。エッカルトもクラーラも、可能な範囲で時間を調整している。その気持ちが伝わるから、ラファエルは笑顔でお礼を言った。


「帰りは途中まで送ってもらうのもよかろう。どれ、わしが交渉してこようかの」


「大丈夫なの? あなた」


 送る話を口にして、ダメになったらラファエルが傷つくわ。そんなクラーラの心配に、エッカルトはウィンクして笑った。


「問題ない。これでも外交で名を馳せた男じゃ。それなりに掴んでおる」


 何を……の部分を省いたエッカルトはひょいひょいと軽い足取りで、ウテシュの大臣達の元へ向かう。逃げたそうな数人を捕まえ、交渉を始めた。しばらくして、笑顔で手を振る。交渉成立したようだ。


「相変わらずね」


 苦笑いするクラーラの隣で、ラファエルは誇らしげに胸を張った。


「でも、おじい様は約束を守ってくれる。外交で大事なのはそこでしょう? おばあ様」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  ☆ 新刊 ☆  2026年9月は3冊!!
 icon_new04_new05.gif2026/9/02・・・契約婚ですが可愛い継子を溺愛します (2) (一迅社/一迅社ノベルス) 
 icon_new04_new05.gif2026/9/07・・・要らない悪役令嬢、我が国で引き取りますわ 優秀なご令嬢方を追放だなんて愚かな真似、国を滅ぼしましてよ? (5) (竹書房/バンブーコミックス 異世界BC)
 icon_new04_new05.gif2026/9/10・・・魔王様、溺愛しすぎです!@COMIC (2) (TOブックス/コロナ・コミックス) ※電子のみ

― 新着の感想 ―
 (。゜ω゜) ッ!?(笑)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。