水・風・雷を纏う雲龍
「それで行くんですね? ワタシがどれだけ出来るか分かりません、ですぅ?」
「いいよ……別に。頭の悪いわたしにはこれしか思いつかなかったから」
「ピンクは頭悪くないですぅ」
「優等生なブルーに言われても困るな」
「褒めてくれてありがとうですぅ」
「……褒めてないし、逆にちょっと羨ましくてムカッと来たんだけ……どッ!?」
前方から雷が飛んできたのをすぐさま大木で遮る。
すぐさま、大木は焦げた。
『無駄話してる暇なんて無いでしょ!』
「いや、それがあるんですねぇ」
「ちょっとブルー!」
またまた呆れたように桃奈が叫ぶ。
『……ふん、このですぅですぅ小娘野郎……!』
怒る雲龍怪人に向かって水樹は馬鹿にしたように鼻で笑った。
「んじゃあ、行きますぅ? ピンク?」
「うん……っ!」
『どうせ、ロクでもない技なんでしょ?』
馬鹿にする雲龍怪人は気にせず、まず、桃奈が太い蔦を成長させる。
だが、飛んでくる雷が邪魔をして燃やされてしまう。
「隙が……無い……」
「ワタシがバリア張るですよ!」
そこへ、水樹が正面にバリアを張った。頭上と正面にただいま水の膜が出現している。
『無駄、ね』
しかし、上からの雷が蔦を焼いてしまった。
「……え?」
水樹のバリアが届かなかった部分。
水樹も動揺している。
「え、じゃあどうしますぅ? ドーム防御、しますかぁ?」
「そしたら、わたしの木があいつに届かない」
「ですぅ……」
「さっきの作戦はわたしが先に作らないと水樹は出来ない」
「ですぅ……よねぇ」
『何を話しているか知らないけど、無駄だわ』
勝ち誇ったように雲龍怪人が言い放った。
「……水樹。ごめん、わたし馬鹿だった……」
「大丈夫ですぅ。さっきの作戦、良かったし、あれ、発想は良いと思うんですぅ。けど、ちょっと穴があるんですぅ」
「え……、どこ?」
「うん、まあ防御内で植物作って下さい、ですぅ。簡単なことですよ」
雲龍怪人が何か言いたげな顔をしているのは無視して。
桃奈は、水樹の防御が周囲展開されている中で蔦を成長させる。
「桃奈は、植物を成長させてあいつに届かせてからではないとワタシが水を纏えさせられないと思ったんですぅ? 大丈夫ですよ、ワタシも植物の成長についていかせますぅ!」
その瞬間、成長中の蔦を水樹の発生させた水が覆った。
透明な緑色な綺麗な蔦に変わった──。
突如、水樹は前方の水の防御を解いた。
水と蔦は一緒に伸びながら雲龍怪人へ向かう──。
「うわあ、わたし馬鹿だったかも……こんなのが思いつかないなんて」
桃奈が呆れと感激を含んだ歓声を上げる。
「簡単なことですぅ!」
「そうだったね……」
その蔦は、雲龍怪人に迫り、瞬く間に怪人を簀巻きにした。
このまま怪人を消せばいいだけだが──。
『雷じゃあ効かない……なら』
「……っ!?」
次の瞬間、一陣の鋭い風が吹き抜けて。
蔦を全て見えない刃で引き裂いてしまったのだ。
「な、なんですかこいつはあ!? 相性悪すぎないですぅ!?」
「……落ち着いてっ……」
桃奈が冷や汗をかきながらも、水樹をなだめる。
「わたしの力は必殺を与えられないのかな……なら、水樹に頼むしか無いのかな……」
そう言いながらも強敵に放心したように桃奈は呟いた。
水樹は闘志こそ失っては居ないが半分放心しているようだ。
「妙案が思いつかないですぅ……」
そんな間にも。
雲龍怪人は攻撃を仕掛けてこちらは防御一方で。
雨が、雹が、雷が、風が──強くなってきている気がする。
水樹の作るバリアからはみ出た雨が服に染み込み体力を奪う。
もはや絶望的。
だが二人には。
守るべき者。友達がいる。
守るべきこと。みんなのために。
二人で必死に怪人の追撃を防ぎながら水樹はチラリと空を見上げた。
暗く、灰色に染め上げられた闇から水滴と塊が落ちてくる。
水樹、桃奈、雲龍怪人は水に濡れながらも──。
「……!?」
水樹は何を思ったのかふいに唇を歪めた。
久しぶりの更新でした。本当に申し訳ございません……。
水樹編、もうすぐ完結です!





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