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その少女は異世界で中華の兵法を使ってなんとかする。  作者:
第12話 殺士編=兵士に死力を尽くさせる
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その3(全3回) 孔明灯は飛んでいく

 話は少しさかのぼる。


 ハナ皇姫とクリーは、自爆兵器の「工場」から再び部屋に戻されて監禁された。手錠はつけられたままだ。


「どうしたら、いいと思う?」


 さすがのハナ皇姫も、不安な顔をしている。


 今にも泣きだしそうだ。


「とにかく救援を呼ぶといいと思う」


 クリーは、クールに言った。


「まあ、そうなんだけど……。方法とかあるの?」


「うん。わが一族に伝わる話だけど――」


 クリーは、こんな話をした。


 ものすごく昔のこと。かつてミン族の故郷の地が、3つの国に分かれて争っていたとき、(シュウ)国に天才軍師の諸葛孔明(ジューゴーコンミン)が現れた。


 諸葛孔明(ジューゴーコンミン)は、城を包囲されて困ったとき、“孔明灯(こんみんでん)”を飛ばして、応援を求める。かくしてコンミンは、危機を脱した。


 孔明灯(こんみんでん)は、大きな紙袋の口のところにロウソクなどの燃料をぶらさげて作る。燃料に火をつけると、その熱で紙袋の中の空気が暖まり、紙袋が上昇するというしくみだ。


「これを作って、夜、そこの小窓から飛ばせば救難信号になる。わが一族では今でも使っているから、作り方も分かる」


「そうなんだ」


 ハナ皇姫の表情は明るい。希望が見えたからだろう。


「でも、見張りとかに見つかるんじゃない?」


「うん。だから、相手の動きをさぐってから、作成する」


 かくして2人は、見張りがどういった感じで自分たちのことを見張るのか、そのパターンをさぐることにした。


 それと並行して、2日目に騒ぎ、3日目にへこみ、4日目にあきらめたように見せかけるという手順ふんで、相手をかんちがいさせ、材料をせしめるという段取りも決めた。


 その結果、見張りは食事を差し入れるときくらいしか、室内を(のぞ)かないことが分かった。「どうせ逃げられない」とタカをくくっているらしく、あとは近くの待機室で居眠りとかしているみたいだ。


 あと、遺書を書くと言ってあざむき、材料を手に入れることにも成功したことは、すでに紹介したとおりだ。


 幸いにして老人たちが2人のことを「ただの女の子」と思って油断したから、成功したのだろう。まさか15歳の少女――クリーが天才軍師だとは、普通ならだれも思わない。


「まず便箋(びんせん)をはりあわせ、大きな紙袋を作る」


 ハナ皇姫とクリーは便箋帳の便箋をバラバラにして、はりあわせていった。はりつけた紙は、毛布の下に隠すなどして見つからないように工夫する。


「それから紙袋の口のところを補強する」


 2人は見張りの目を盗みながら、便箋用紙を巻いて棒を作ると、それを輪にして紙袋の口のところに張り付けた。


「口のところに燃料をぶらさげるための部品を作る」


 2人はブラジャーをはずす。


 もちろん2人とも手錠をつけられているので、ハナ皇姫のブラはクリーがはずし、クリーのブラはハナ皇姫がはずすことになる。


「女子どうしだから恥ずかしがらないでいいのに、クリーったら真っ赤になってカワイイよね。うふっ」


「……と、とりあえず、これからワイヤーをとる」


 クリーは照れを隠すように下を向き、作業を続けた。


 ブラジャーからワイヤーを抜き取ると、それを紙袋の口のところに取りつける。上から見ると紙袋の口が○になっているわけだが、そこに×の形になるようにワイヤーを張りつけた。


「あとは燃料をつけたら、できあがり」


 クリーは、服を破って布きれをつくると、それにランプの油を染みこませた。十分に染みたところで、×の真ん中にグルグル巻きにして結びつける。


 これで完成。


 あとは夜になるのを待ち、改めて布切れに燃料を染みこませた。そのうえで小窓の鉄格子(てつごうし)の間から紙袋を折りたたんだ状態で外に出す。


 そこで落とさないように注意しながら紙袋を広げ、燃料にランプの火をつけた。


 2人で鉄格子の間から手を出したまま紙袋をしばらく支えていると、中の空気が暖まり、浮力が出てくる。2人がそっと手を離すと、紙袋は煌々(こうこう)と光を発しながら、夜空に上昇していった。


 この“孔明灯(こんみんでん)”が救難信号となり、ハナ皇姫とクリー、そして多くの臣民が救われたわけだ。


 ハナ皇姫は、青い目をした武器商人――ビゼン・アルスタットのトラックに同乗して帝都に戻っているとき、この話を武器商人に教えた。


「それは、なかなかの奇策でございましたね」


「でしょ!」


 ハナ皇姫は、自慢げに言う。


「で、あのときの紙風船を大きくしたら、人間も空を飛べるんじゃないかしら?」


「なるほど!」 


 武器商人の青い目も輝く。


「――それは、おもしろいアイデアでございますね!」


 さすがは遠く西の彼方から、わざわざ東の(はし)まで冒険してきた商人だけのことはある。チャレンジ精神にあふれ、まるで子どものような好奇心にもあふれている。


 だから、ハナ皇姫とも気があい、その「お抱え商人」になっているのかもしれない。


 ちなみに、かつて三国時代の天才軍師・諸葛孔明(ジューゴーコンミン)も、若いとき、大きな灯籠(とうろう)をつくり、その中に100本のロウソクを入れて燃やすことによって、熱気球のようにして空を飛んだという伝説もある。


 このことをクリーたちミン族の人間が知っているかどうかは不明だ。


 ◆ ◆ ◆


 ちょうど、そのころ、西部の海港都市・ゴトーの沖合いには、帝国の連合艦隊が停泊していた。


「右舷に船影っ!」


 マスト上にいた見張員(みはりいん)が叫んだ。


 その声は、伝声管(でんせいかん)を通じて、艦橋(ブリッジ)に届く。


 提督が望遠鏡で右舷を見ると、小型ボート3隻が猛スピードで向かってきていた。


「高速艇!?」


 このままでは連合艦隊とぶつかる。


 しかし、小型ボートは減速も、方向転換もしない。


「警戒っ!」


 提督が急いで指示を出すが、間にあわない。


 その瞬間、3隻の小型ボートは、それぞれ3隻の軍艦にぶつかり、大爆発した。


 爆薬でも積んでいたのだろうか。小型ボートの爆発は、尋常(じんじょう)なものではなかった。


 激突された軍艦では、艦上の水兵たちが吹き飛ばされ、大参事だ。


 爆発の衝撃は船体に穴をあけ、装甲に亀裂を走らせた。とめどなく浸水していく。火災もおきた。


 ――沈没はまぬがれない。


全文訳『孫ぴん兵法』殺士


 孫子は言いました。

 爵位と給与の体系を明らかにして~

~兵士は必死になります。賞罰を明らかに~

~兵士は必死になります。~を立て~

~必ず考察してから実行することで、兵士は必死になります~

~必死~。おさえて従わせることで、兵士は必死になります~

~することで、兵士は必死になります。~して~伝~

~勉の喜び~。場合によっては、州~に必死になります~

~の親しみ~。場合によっては、祖先の墳墓~に必死になります~

~の憎しみ~。場合によっては、飲食~に必死になります~

~所の安全~。場合によっては、疾~に必死になります~

~病の間~。場合によっては、~に必死になります~


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