プロローグ
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[王国暦426年8月19日ーードナシオン王宮]
「此度の大戦の勝利によって、建国三百年来の大願であった大陸北部の統一を成し遂げた。諸卿等の戦場での大業、見事であった」
玉座の間に居並ぶ貴族、軍人、行政官たちは一様に跪き頭を垂れる。国王の言葉に続き、側に控える宰相により今回の大戦における論功行賞が順に読み上げられていく。
「最後に、この度の大戦における勲功第一について、陛下より直接お言葉を賜る。名を呼ばれた者は御前に」
一層の静寂がその場を支配する中、皆が固唾を呑んで国王の言葉を待った。
「親衛魔法旅団先鋒大隊第一中隊長アンデル。そなたを此度の大戦における勲功第一とする」
アンデルと呼ばれた男は立ち上がり、歴戦の軍人達が並ぶその間を抜け前へと進み出た。真新しい礼装を纏った若者は、姿勢正しく国王の眼前で跪く。
「アンデル。面を上げよ。
ベルク要塞の戦いにおいて、帝国が新たに据えた兵器を前に戦線が膠着した折、そなたは神の御業の如き魔法を発動せしめ要塞と後方に控える敵軍を諸共に討ち滅ぼし、帝都への道を開いた。
これにより帝国はその首都を失い、長く続いた戦乱は終結を迎えた。
まさに大業である。よってそなたを此度の大戦の勲功第一とする」
国王は自ら立ち上がると侍史から宝剣を受け取り、跪く若者の前へと差し出した。
「国王陛下御自らのお言葉を賜り、恐悦至極に存じます」
若者は恭しく両の手で宝剣を受け取る。
宰相が静かに言葉を継いだ。
「アンデル。此度の功に対し、陛下より報償を賜っている。
戦場で示した力をさらに究め、王国の剣たる魔法の深化に資するため、そなたを王立中央大学に新設される魔法研究所の所長に任ずる。
これに伴い、軍籍を離れることもあわせて申し伝える。
今後も陛下のご期待に応えよ」
「はっ。国王陛下より賜りましたご期待に、必ずや沿えるよう努めてまいります」
若者は実に淡々と、表情を変えず元の場へと戻っていく。彼の右側に居並ぶ貴族諸侯からは冷笑じみた声が囁かれている。一方左側に並ぶ軍人達からは、驚きをもったざわめきが広がる。これは一体、本当に恩賞なのかと。なぜ陛下は軍から英雄をきり離すのかと。
「一同静粛に」
宰相は威厳めいた態度で場を静める。
「これをもって此度の大戦の論功行賞を終了する。なお、こののち場を変えて新たに編入された旧帝国領の取り扱いについて、貴族諸侯と会談を行う」
国王が退席すると、続いて貴族たちがこのあとの領土の会談に向かう為退室していく。あわせて行政官たちも続き玉座の間には軍人が残される。幾人かの将軍を先頭に軍人達も無言で退室していく。多くの者が口をきつく閉じ、ややうつむきながらの移動だった。
初めての物語執筆です。
多くの方の目に留まれば幸いです。




