文字通りの神ゲー
まったく時間通りじゃないんだよね、すみません
カラオケ行ってました
「死ぬと日本に帰れる可能性がある。」
「「「…は?」」」
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夜ごはんの後、再び食堂に集合した俺らは、薄い灯りの中もう食事の置かれていないテーブルを囲む。今朝のことがあるので、相部屋の木下を説得して夜抜け出すのに凄く苦労した。同室で一緒に来た陽昇と白南風はともかく、アリスはいったいどうやってルームメイトを説得したんだ、その辺大雑把な人なのか?
「まず聞きたいんだが、俺たち4人が固まってていいのか?」
「いいのか、っていうのはどういう意味?」
「クラスをまとめられる人が一箇所に固まってていいの?って意味だよ、京ちゃん。」
「いいよ〜、そのくらい。」
童顔金髪の少女はそう呟くと、脚を組み、肘を机にたてて、にっこりとそう呟いた。その仕草からは、普段の子供っぽさを感じないどころか、高校生とすら思えない。いや、やっぱり厨二病の女子中学生に見えてきた。
「どうせパーティーで分けようが分けまいが何も変わんないって〜。あの生徒会長がどうせ全員分の面倒を見てクラスまとめてくれるよきっと。」
「俺はあいつに任せんのがどうなんだ、って聞いてんだ。」
「あ〜、赤峰くんは結構頭堅いところあるからね〜。」
「あはは…、頭が堅いというか、思想が右よりというか、」
「こっ、こら、陽昇。あんまりアリスの前でそういう話は」
「別にいいよ〜。人の考えなんてその人の自由だし。そんなことより鳥塚くん、本題は?」
「あー、そうだな。ただ、今からいうことは荒唐無稽というか、ただの推測に過ぎないというか、あくまでも相当ありえないよりの話ではあるんだが、」
ツスぅーー、ハァーーー。深呼吸で一息ついて切り出す。
「死ぬと日本に帰れる可能性がある。」
「「「…は?」」」
少しだけ時間が経過しまして。
「要するに鳥塚くんの話をまとめると、
・この世界は神が創ったゲームである。それを裏付ける根拠が3つある。
・1つ目はアビリティを獲得して「Lv.1で」転移したこと。
もし本当に魔王討伐の即戦力として転移したなら、Lv.50〜で転移するはず。
神でも個人のスペックに干渉できないなら、そもそもチートを貰えてない。
可能性として考えられるのは、神様が俺たちに求めているのは
魔王討伐という結果ではなく、そこに至るまでの過程だ、という説。
・2つ目は日本語が通じること。
創作でありがちなのは、言語を理解する能力はデフォルトで与えられてる、
という設定だが、そんな能力は【才能の名刺】に書かれてないし
純粋な日本語ならともかく、漢文や英語などに由来を持つ言葉を使っても
問題なくコミュニケーションが成り立つのは不自然であり、俺たちのいた
世界から言語を輸入したとしか考えられない。
・3つ目は、この世界に日本の高校生が他にいないこと。
俺たちは日本で7回目の失踪事件の被害者だ、なのにここに日本人はいない
ここと同じように危機に陥ってる世界があと6個あるなんてバカげている
ここと同じ世界、だけどこことは違う世界に飛ばされている可能性が高い
・この世界が神が創ったゲームだという仮定において、死亡時にゲームオーバーではなく強制ログアウトになる可能性が僅かに存在する。
…ということね。1つ目はともかく、2つ目は相当飛躍している気がするけど。」
「まぁ、もしそれで日本に帰って来れるんなら、誰かしら戻ってきてニュースになってそうだし。」
「もし戻って来れるとしても、五体満足に戻れるとは限りらないですしね。大怪我を負って息絶えて、その状態で日本に戻れても怪我が治ってなかったらそのまま日本で死体になるだけです。」
「ぐう、確かに。アリスの指摘したことについては俺も思うとこあったけど、そっか、そういう問題もあるのか。」
「神様なんだからそのくらいの融通は利かせてほしいけどね。」
「ま〜、結局これに関しては検証のしようがないし、死んだら死ぬと思って気を緩めずにいるのがいいんじゃない?」
「クラスのみんなにはどう説明する?」
「ん〜、しなくていいんじゃないかな。話したら気休めにはなるだろうけど、調子乗ってる人も多いし、むしろ気は休めないほうがいいまであるんじゃない?」
「まあ結局やることは変わらないですしね。もし神様が本当に自分の創ったゲームをプレイしてもらうために私たちを召喚したのだとしても、やっぱり推定ゲームクリアの条件である魔王を倒さなければならないわけですし。」
「いや、魔王は他のパーティーに任せよう。ゲームなら大抵サブクエがある、そのサブクエをガン無視して魔王討伐一直線みたいな、RTAみたいなことをしても神様に帰してもらえないかもしれないし、なんなら特定のサブクエを回収してないと魔王を倒すことすらできない可能性だってある。」
「なるほど!いいこと言うじゃん鳥塚くーん。じゃあやっぱりあのウサギは殺しておいたほうがいいってことだね。あんなに分かりやすいサイドクエストもないもんね。」
「い、いや、あれは流石に倒す必要ないと思うぞ。あいつは強すぎる。エンドコンテンツ並みに強いからな。あれはストーリー上の倒す必要のある敵では絶対にない。」
あのウサギはなんでこんなに恨みを買ってるんだ!?確かにムカつく敵ではあったけど、確かにアリスの母親に化けた時は正気を疑ったけど、ここまでか?ここまでのことなのか、それは。
こん、と咳を一つしてアリスが切り出す。
「気を取り直して。今の鳥塚くんの推測から、私たち《ラビット・アサルト》はこの世界がゲームであると仮定し、それを前提として行動する。そしてこの話を他パーティーに共有しない。魔王討伐それ自体ではなく、それに付随するこの世界の調査や課題解決を目的として活動する。この方針に不満がある人は?」
ガラス越しの月光が照らす少女は挙手を促す、されど応える者は一人もいない。
ネタバレすると、
この世界で死んでも死にません。主人公くんの推測通り、日本に帰還します。その際、陽昇ちゃんが言っていたような事態にはなりません。
ただ、それはあくまで「この世界に転移してきた者」の話であり、元からこの世界にいた人たちは普通に死にます。
……一部例外を除いて




