グリーディア王
テントから出たフューゼ達はすぐ隣の巨大なテントの前にいた。
「さて、ここからだけども王様に会いたいならば僕に合わせてくれるかな?」
「あぁ、わかったよ。」
そしてテントに入るとすぐにドアがあり、衛兵が1人。
ドアに持っていた槍をかざし道を塞ぐ。
「……クタール博士。約束のお時間はとうに過ぎておりますが。」
「すまないね、今日は献品が多くて時間がかかったんだ。ほら、握手でもどうだい?」
1度服のポケットに手を入れると衛兵に差し出すクタール。
その後手を離し握っていた掌を確認する衛兵。
「……今後はくれぐれもお気をつけ下さい。王様との約束は最重要事項でお願い致します。」
「わかってるよ。いつもありがとう。」
無事王のテント内に入ったフューゼ達。
廊下を歩いていくと光の漏れる部屋が見えた。
「さぁ、着いたよ。入ろうか。」
眩く光る部屋に入ると足を組み王座に座る女が1人と
その隣に立つ女が1人。
グリーディアの王様は女だったのか!
てっきり男かと思ってたぞ……!
「……遅かったなクタール」
王座の女が話しかける。
「すみません遅くなりました。」
「もう何度目ですか。いい加減にしてください」
隣の女もクタールを責める。
「まぁいい。して頼んでいたものは出来たのか?」
「えぇ。もちろん。」
「そこに並んでいるのがそうか?」
フューゼ達を指さす王座の女。
「いえ。まだ連れてきてないですねぇ。」
「何……?ではそやつらは何だ」
「これは王への客だそうで。案内しただけです。
」
「な……!何を勝手なことしてるんですか!」
「まぁ献品は今から連れてきますから話してやってください。」
そう言って立ち去るクタール。
「…………誰だ貴様らは」
「あ、えーとお初にお目にかかります。ヴァンドラ・フューゼです。」
「ヴァンドラ……?」
顔つきが変わるグリーディア王。
「夜王ヴァンドラか?」
「えぇ。そうみたいです。」
明らかに雰囲気が違うな……。魔力の質も変わってるようだ。
世代交代でもしたのか?
「先ほどまでの無礼は詫びよう。して、グリーディアになに用か?」
「あ、単刀直入に言いますと同盟を結びたくて来ました。」
「何……!?」
……ヴァンドラと言えば独立派…。
今まで互いにほぼ干渉はなかったのに対し同盟だと?
「レベッ…王様……」
隣に立つ女が王に小声で話す。
「あの世界有数の独立派ヴァンドラが同盟とは何かがおかしいです。恐らくはボルシエオン帝国に降ったのではないかと……。」
「なるほど。それなら大いにありうる。ボルシエオンはことある事にここにも攻め込もうとしていたな。」
「はい……。それでボルシエオンと関係なくみえるヴァンドラを使って内から崩していく算段かと」
ふん……、ボルシエオン帝国め。ますます気に入らんわ。
「あのー、同盟結んでくれますか?」
「答えはノーだ。さっさと立ち去るがいい堕ちた夜王よ」
「え?ダメですか?あと落ちたって何がです?」
「しつこいな。プライドを失った貴様など蝙蝠程の価値しかないわ。失せろ」
「何のことを言ってるんです?俺はただ……」
フューゼが1歩進もうとした瞬間。
シュバッ!!
足元に矢が刺さる。
グリーディア王は弓先をフューゼに向けている。
「最終警告だ愚かな蝙蝠。去らねば殺す」




