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正月料理 一

 餅を全て搗き終わると、今度はお昼ご飯の準備をする。とは言ってもある程度のものは深夜に作ってしまっているけれど。

 今から作るのは鯛飯とタコの和え物とタコの唐揚げ、そして雑煮である。

 タコは事前に下処理を済ませている。塩でしっかり揉んでぬめりを落としてきれいに洗い、粉木こぎで叩く。そして色が変わるまで茹でていく。マダコは弾力がある。そのまま食べるには硬すぎるため生食には向いていない。そのため叩いて茹でて柔らかくする必要があるのだ。

 鯛も前もって内臓を取っておいた。普通に腹を裂いて内臓を取ってしまうと皮が縮まり、見栄えが悪くなってしまう。特段味に影響するわけではないけれど、慶事なので見栄えは大事にしたい。そのため、隠し包丁を仕込んで見栄えよく仕上げた。

 まず、頭を右側に向けて置く。魚は頭を左側に向けて皿に盛り付けるのが一般的である。だからその裏から内臓を取る。

 まず鱗をかいてえらに包丁を入れてえらを取る。次に胸びれから腹にかけて、おおよそ肛門辺りまで切って開いていく。そこから内臓を引きずり出して血合いに切り込みを入れて洗い流す。こうして下処理をすることで表は綺麗に仕上がる。

「嘉穂、仮眠取らなくて大丈夫なのか? 多少なら遅くなっても問題ない」

「お気遣い有難うございます。でも私は大丈夫ですよ」

 私は鬼神様が気を遣ってくれたことが嬉しくて笑ってそう返事をした。

 まずは鯛飯の準備から。まずは米を洗う。とりあえず四合分。下処理された鯛に塩を振って皮に焦げ目がつくまでグリルで焼いていく。中まで火を通す必要はない。最後にご飯と一緒に炊き上げる際に火は通る。

鯛を焼いている間に和え物、唐揚げを作っていく。和え物はとても簡単。小さめの一口大に切ったタコの頭を水で戻したワカメを酢味噌で和える。完成。あ、せっかくだし薄く切った玉ねぎも入れよう。急遽、薄く切った玉ねぎを水にさらす。五分程経過したら水気をしっかり切って追加する。

 唐揚げは足を一口大に切り分けてジップロックに入れる。そこに酒、醤油、卸した生姜を加えてよく揉み込んでおく。

 鯛の両面に焼き色がついたので米と一緒に炊き上げる。今回は水の代わりに昆布と鰹の合わせ出汁に酒と醤油を加えたものを使う。米を炊くのは赤の五色鬼、朱ちゃんに一任する。ほかの五色鬼達は私のそばで待機している。

 さて、次は雑煮の準備をしていく。とは言ってもある程度は準備はしている。あご出汁に醤油とみりんを加えたものに一口大に切ったかまぼこ、人参、鶏肉、干ししいたけ、里芋、ブリが沈んでいる。すでに火は通っている。

 後はカツオ菜だけである。が、カツオ菜は茹ですぎると色が悪くなる。だから食べる前に入れる。

 すぐ入れられるように切っておく。まず、脈と葉を切り分ける。脈と葉は火の入る時間が違う。そのためこうやって分けて、脈から火を通し、その後に葉を加える。まあ、実際そこまでやる必要はないけれど、色は鮮やかであればあるほど良い。それほど手間でもないからやっておく。それが終わったら今日搗いた餅を雑煮に入れて温めていく。そうしているうちに鰹の香りが台所中に広がる。鯛めしが炊けたようである。今から蒸らしの工程に移る。

 唐揚げの油の準備をする。温度は百八十度。菜箸の先を濡らして温度を確認。泡の勢いが出始めた頃にタコを揚げていく。温度を下げないように少しずつ油へ。カラッと美味しそうに仕上がったら、引き上げてキッチンペーパーを敷いたバットに並べる。お、雑煮もいい感じになってきた。

「よし、そろそろ完成します。氷室からおせちを持ってきてください」

 私は五色鬼達にそうお願いをした。五色鬼達は元気よく手を上げると外へ飛び出した。

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