第42話 高揚感
家に帰ってシャワーを浴び、リラックスしてベッドに腰掛けた頃、スマホが軽く振動した。
画面を見ると山岸さんからのメッセージが届いていた。
「今日はありがとう!すごく楽しかったよ٩( ''ω'' )و」
思わず笑みがこぼれる。すぐに返信しようと文字を打ち始めた。
「俺も楽しかった。こちらこそありがとう!」
メッセージを送ると、ほとんど間を置かずに返事が返ってきた。
「あ!今度はどこに遊びに行くー?」
突然の直球な言葉に心臓が跳ねた。返事を打つ手が少し震えるけど、自然な感じを装うため深呼吸してから返信した。
「山岸さんは行きたいところある?」
少し間が空いたあと、山岸さんから返信が届いた。
「うーん、水族館とかもいいかも!涼しいし、のんびりできそうだし☆」
山岸さんらしいチョイスに心が和む。
一緒に行ったら楽しいだろうなと思いながら、返信を打つ。
「いいね!じゃあ、水族館にしよう!」
再びすぐに返信が来た。
「わーい(´艸`*)じゃあ、また予定わかったら連絡するね☆」
少し名残惜しさを感じながらも、俺も感謝の気持ちを込めて返信した。
「うん、わかった!」
メッセージを送り終えた後、俺はスマホを胸に置きながら天井を見上げた。
山岸さんとのやりとりを思い出すたびに、心の中に小さな幸せが灯る。
次はどんな時間を一緒に過ごせるだろうか。
そう考えると、夏休みの終わりが少し待ち遠しくなった。
枕に頭を乗せ、今日の出来事を振り返る。
ショッピングモールでの笑顔、次回の水族館を楽しみにしている様子。
「水族館か…」
思わず声に出して呟いたあと、胸の中にある穏やかな高揚感に気づく。
「なんか、夢みたいだな…」
天井を見上げながら、小さく息を吐いた。
それと同時に、少しの不安も胸をよぎる。
もし次に会ったとき、今日みたいにうまく話せなかったらどうしよう。
笑わせられなかったら?退屈させてしまったら?
山岸さんに、もっと喜んでもらいたい。もっと近づきたい。
「次は…もっと自然に話せるように頑張らないと…」
そう自分に言い聞かせる。
部屋の中はすっかり静まり返り、カーテン越しに月の光が差し込んでいる。
瞼を閉じると、山岸さんの笑顔が思い浮かんで、なんだか心が温かくなる。
その夜、夢の中でも俺は山岸さんと話していた。
それが現実なのか夢なのか、気にすることもなく、ただ幸せな気持ちに包まれていた。