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第41話 偶然…

翌朝、まだ夏休み中だというのに、早く目が覚めた。

ベッドの上でぼんやりと天井を見つめながら、昨日の屋上での出来事を思い返す。


「これからもたくさん話そうね!」

山岸さんのその言葉が、まだ耳の奥に響いている気がした。


夏休みなのに、なぜか学校に行ったような気分になっているのが不思議だった。

普通なら、今日は家でのんびり過ごすはずなのに、胸の中に妙な高揚感がある。


ふとスマホを手に取り、アプリを開く。

山岸さんとのトーク画面を見つめて、何か送ろうかどうか迷う。

でも、特に用事があるわけじゃないし、送るきっかけが見つからない。


「…いや、こんなんじゃ何も進まないだろ。」

自分に言い聞かせるように、勇気を振り絞り、一言だけメッセージを打ち込んだ。


「おはよう。今日は何してる?」


送信ボタンを押した瞬間、心臓がバクバクと音を立て始めた。

既読がつくまでの時間が、異様に長く感じる。


数分後、画面に既読マークがつき、すぐに返信が来た。


「おはよう!今日は楓と買い物に行く予定だ(。◕ˇдˇ◕。)//」


その返信を見て、少しだけほっとした。

なんだかんだで普通の返事が来ると安心する。


「そうなんだ、楽しんでね!」

そう返すと、山岸さんから再びメッセージが来た。


「悠真は今日、何するの?」


予想外の質問に少し戸惑ったが、正直に答えることにした。


「特に予定はないかな。ダラダラしてるかも。」


送った後で、少し素っ気なかったかもしれないと後悔した。

でも、山岸さんからまたすぐに返事が来た。


「そっか!じゃあまた今度遊ぼうね☆」


その一言に、胸が一気に温かくなった。

特別な約束ではないけれど、「また今度」という言葉が心に響いた。


「また今度…絶対に実現させよう。」

そう思いながら、スマホをそっと置き、窓の外を眺めた。


夏休みの残り日数が、急に楽しみになった。

次に会うとき、どんな話をしようか、どんな顔を見せられるだろうか。

そんなことを考えながら、俺の一日は静かに動き出した。


午後になり、家でゴロゴロしていると、スマホが軽く振動した。

画面を確認すると、池田からのメッセージだった。


「おい悠真、今暇か?」


なんだろうと思いながら返信する。


「暇だけど。」


すると、すぐに返事が来た。


「じゃあちょっと付き合え。駅前集合な!」


特に断る理由もないし、暇を持て余していた俺は、適当に支度をして駅前に向かった。


池田は既に待っていて、俺を見るなりニヤリと笑った。


「なんだよ!」

俺が疑心な視線を送ると、池田は意味深に近づいてきた。


「実はな…山岸さんたち、ショッピングモールにいるらしい。」


一瞬、頭が真っ白になった。


「えっ?何でそれ知ってるんだよ?」

驚く俺に、池田は笑いながら説明した。


「山岸さんと小林さんが昨日学校で約束してるのを聞いた!」

どうやら池田はこの状況を楽しんでいるらしい。


「で、どうするんだ?偶然装って会うか?」


池田の提案に、俺は悩んだ。

会いたい気持ちはあるけれど、そんな偶然を装うなんて、バレたら恥ずかしい。


「いや、さすがにそれは…」


そう言いかけたところで、池田が俺の腕を引っ張った。


「細かいことは気にすんな!行くぞ!」


結局、強引な池田に引きずられる形で、ショッピングモールの中に入った。

心臓がドキドキして落ち着かない。


そして、歩きながらふと目に入ったのは、少し離れたカフェの席で笑顔で話している山岸さんと小林さんだった。

山岸さんは今日もかわいらしい服装で、髪をサイドでまとめていて、普段よりも少し大人っぽく見える。


池田が俺の耳元で囁く。

「ほら、いるじゃん。声かけないのか?」


「いや…さすがに今は…」

俺が躊躇していると、山岸さんがこちらに気付いた。


目が合った瞬間、山岸さんの顔が少し驚いたように見えたが、すぐに笑顔になって手を振ってくれた。

「あ、悠真!…と池田君!偶然だね☆」


その声に、池田が小声で「偶然じゃねえけどな」と呟いたが、俺は気にせず山岸さんに近づいた。


「本当に偶然だね。買い物…だっけ?」

できるだけ自然に話しかけると、山岸さんは嬉しそうに頷いた。


「うん、楓と一緒にね!って、LINEで言ったかw」


小林さんもにっこり笑いながら「二人も買い物?」と聞いてくれた。

池田がそれに答えた。


「そうそう!まあ、俺が強引に連れ出したんだけどね。」


山岸さんと小林さんはクスクスと笑っていたが、その笑顔を見ていると、緊張も少し和らいだ気がした。


「良かったら、一緒に回らない?」


山岸さんのその提案に、俺は一瞬息が止まった。

「え、いいの?」


「もちろん!いいよね?楓?」

その言葉に、胸が高鳴るのを抑えながら頷いた。


こうして、俺たちは少しだけ賑やかな夏休みの午後を過ごすことになった。

前は二人で来たんだよな…ふと思い返すと俺は手に変な汗をかいていた。


その後、ショッピングモールを一緒に回ることになった俺たち。

慣れないメンツに最初は少しぎこちない気もしたけれど、山岸さんや小林さんの自然な笑顔を見ていると、すぐにリラックスできた。

池田は相変わらず笑顔で、二人の間を軽くサポートしてくれる感じで、余計なことを言わないようにしてくれた。


「あ!わらびっとだ!!」

山岸さんは手に取った小さなぬいぐるみを見て、嬉しそうに言う。

それを見た俺は、つい笑顔になった。


「本当だ!前にゲームセンターで取ったやつと同じだね!」

思わず言ってしまった一言に、山岸さんが少し顔を赤らめて笑った。


俺は「しまった!」と焦りたぶん顔が真っ赤になっていたと思う。


その後ろで小林さんが笑いながら、「あれれ何だか二人とも照れてる?」と言ってきた。


俺はちょっと恥ずかしくて、慌てて顔をそむけた。

山岸さんも頬を赤らめ下唇をギュッと噛みながら下を向いていたらしいが俺は気付ける余裕がなかった。


しばらくして、みんなでカフェで休憩を取ることになった。

アイスクリームを食べながら、みんなで楽しく話していると、時間があっという間に過ぎていった。

気がつけば夕方になっていて、俺たちは駅に向かって歩き始めていた。


「じゃあ、また今度遊ぼうね!」

山岸さんが手を振りながら言ってくれた。

その言葉に、胸が少し温かくなった。


「うん!今日はありがとう。」

俺は力強く答えた。


その後、各々解散し俺は家に向かった。


次に会うときは、もっと素直に自分の気持ちを伝えられるように。

ってか今までそうだったんだ、変に意識しないで自然にしていればいいだけなんだ。


そう思いながら、夏休みの終わりが近づくのを感じていた。

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