第一章:交差する日常 2
こんなグダグダ感満載ですが、最後までお付き合い下さい。
宣言したとおり、亜澄華はちゃちゃっと瀬田+その取り巻き共に勝利した。
毎度の事ながら、やはり亜澄華は無傷で、瀬田率いる『学習能力ない子組』(亜澄華命名)はボロクソにやられたのであった。
と、言うことで帰路である。
六月といえど暗くなるのが遅い今日この頃、時たま遊んでいるご近所の小学生を見かけたりするものだが、今日はなぜか人っ子一人見当たらない。なので、少し寂しい。
(それはさて置き、瀬田は何とかならないものか。意外と粘るから正直しんどくなってきたな・・・・・水織に頼んで黙らすか?でも水織に借りなんて作りたくないしなぁ・・・・・・)
三条亜澄華、悩み多き17歳。
そうこう悩んで歩いている内に、いつもの十字路にたどり着いた。ここまで来れば、家まで10分とかからない。
今夜の夕飯は何かな、とぼんやり考えながら十字路をいつものように左に・・・曲がろうとした。
ドン、という大きな爆発音と共に、横にあった壁が粉々に砕け散った。
「・・・・・・なっ」
状況把握能力が追いつかず、思わずその場で固まる
土煙の中に、人影。背中の竹刀袋に手を伸ばす。土煙が、晴れてきた。
「・・・・は?」
亜澄華は、今度こそ完璧に訳が分からなくなった。
土煙が晴れたそこにいたのは、亜澄華と同い年位の青年だった。ただし、日本人ではない。長く綺麗な銀髪がそれを証明している。右手には黒い、刀。
相手も亜澄華がいることに気づいたらしく、うしろを振り返る。海賊のような眼帯が右目を覆っている。左目は美しいアクアブルー。鼻は高く、口は紅を引いたように紅い。全体が整った芸術的な、顔。全身は真っ黒なロングコートに包んでいる。まさにそこにいるだけで、芸術品であった。
「・・・・・・な」
一方、当の謎の銀髪美青年は、亜澄華がそんなことを思っているとは露知らず、亜澄華がなぜここにいるのか分からない、という顔をした。
と、
「ははっ!!こんなショボイ攻撃で俺をかわせると思ったかぁ、キリエ!!」
十字路の向こうから声がした。青年は忌々しげな舌打ちと共に、亜澄華から視線を切って、十字路の方向に向き直る。
亜澄華もつられて十字路に視線を移す。視線が捕らえたのは、赤。赤い、髪の毛だ。青年と同じく、全身を黒でキメている。
青年が身構える。亜澄華も竹刀袋を強く握る。嫌な予感しか、しない。
十字路から現れた赤い髪の持ち主は、ゆっくりと顔を上げた。
亜澄華の前に立っている青年と同じく、黒い革ジャンに黒い軍用ズボン、黒い手袋に、黒いブーツと、全身を黒で統一している。美形という感じはない。細くつりあがった目に、楽しげに笑っている口。
だが、彼も亜澄華を見ると、なぜ亜澄華がここにいるのか、という顔をした。
「あン?誰だ、そりゃぁ?テメェの知り合いか、キリエ?」
睨むような目で亜澄華を見て、指をさす。
青年は返事をしない。亜澄華も、しない。
「・・・シカトかよ。まぁ、いい。おい、そこの!!」
亜澄華を見ながら呼ぶ赤髪。なぜ自分が呼ばれたか分からず戸惑う亜澄華。
「俺・・・・?」
「そォだ、テメェだ。右腕を見せろ」
意味が分からず、言われたとおりに右腕を見せてみる。違う違う、と赤髪が手を振る。
「袖をまくって見せてみろ、キリエテメェは動いたら殺す」
キリエと呼ばれた青年は微動だにしないが、また舌打ちをした。
「こうか・・・・?」
「殺す」という日常からかけ離れた言葉を聞きつつ、結構冷静に亜澄華は指定されたとおり袖をまくって腕を見せる。すると、赤髪が更に睨むような目つきで亜澄華を見た。
「どぉいう事だ・・?黒印がねぇ。んな馬鹿な」
また意味が分からない。
ふと、目線をキリエに戻すと、キリエの唇が動いた。
(・・・・・・・に・げ・ろ?)
亜澄華が認識している途中で、赤髪が亜澄華の視線に気づいた。
「ナニやってんだ、キリエぇ!!」
「ちっ!!」
協定は瓦礫した。キリエは素早く刀を構えると、
「『焼き尽くせ、魔女狩り』!!」
手品のように紅蓮の炎が出現して、赤髪に突進した。
「回避を『加速』」
赤髪も人間とは思えない速さで、迫りくる炎を回避した。
赤髪に当たり損ねた炎は意思があるが如く、キリエの元に戻ってきて、亜澄華を取り囲んだ。
「うわっ!!」
思わず悲鳴を上げた亜澄華だったが、
(・・・・・・熱くない?)
自分を取り囲んでいる炎が全く熱くない事に気づいた。恐る恐る触ってもみるが、やはり熱くない。それどころか、冷たくも感じた。だがなぜか、手が外に辿り着く様子も無い。
「何だこれ・・・・」
この炎といい、あの赤髪といい、一体さっきから自分の身の周りで何が起こっているのか。考えても答えは出そうにない。それより今は、
(あのキリエってヤツ・・・大丈夫か?)
ここから見えない外の様子が気になった。




