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EVOLVE〜エヴォルブ〜 Season1 ― 原点 ―  作者: 柊梟環
EVOLVE〜エヴォルブ〜 Season1― 原点 ―
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第6章 新しい職場(前編)― アークシステムズ ―

新しい環境、新しい仲間。

そして――信じてくれる人たちとの再会。

過去の痛みを抱えながらも、

環(たまき)は再び一歩を踏み出します。

「信じることは、簡単じゃない。でも、信じないと始まらない。」

そんな言葉に導かれるように、

彼女の新しい物語が、静かに動き出します。

朝の光がガラス窓を透かして、白い壁に柔らかく反射していた。


クロノスとはまったく違う空気。


静かで、温かくて、少しだけ人のぬくもりが混ざっている。


「おはようございます……」


環(たまき)がそっとドアを開けると、すでに凪(なぎ)がパソコンに向かっていた。


「環(たまき)さん! おはようございます!」


笑顔で手を振る凪(なぎ)に、環(たまき)も少し安心して微笑む。


「おはようございます、凪(なぎ)くん。」


奥から足音がして、スーツ姿の男性が現れた。

落ち着いた雰囲気の中に、どこか包み込むような優しさを感じる人――。


「おはよう。久しぶりだね、環(たまき)。」


その声に、環(たまき)ははっとした。


「……大塚(おおつか)さん………。」


「覚えていてくれてうれしいよ。」


柔らかく笑うその仕草が、どこか柊(しゅう)に似ている。

声の低さも、笑うときの目尻の下がり方も、そっくりだった。


「ここでは“社長”なんて呼ばなくていいからね。」


「え? でも……」


「凪(なぎ)も柊(しゅう)も名前で呼んでるよ。環(たまき)もそうして。」


「わかりました……じゃあ、柊真(とうま)さん。」


「うん、それでいい。」


横で凪(なぎ)が少し神妙な顔をしていた。


「環(たまき)さん、ひとつ言っておきたいことがあるんです。」


「え?」


「僕……あの時、環(たまき)さんのこと助けられなかった。

 真犯人を見つけた時には、

 もう環(たまき)さんが会社を辞めてて……遅かったんです。」


凪(なぎ)の言葉に、環(たまき)は首を横に振った。


「そんな……凪(なぎ)くんが悪いわけじゃありません。」


柊(しゅう)がその隣で静かに頷く。


「凪(なぎ)が見つけてくれなければ、俺たちも真実にたどり着けなかった。

 それに――俺は最初から、環(たまき)がそんなことをする人じゃないって思ってた。」


「え……」


「クロノスにいた時、一度だけ環(たまき)に事務作業を頼んだことがあるんだ。

 その仕事が丁寧で、報告書の書き方も完璧だった。

 だから、絶対に違うと思った。」


凪(なぎ)が笑顔を戻しながら言う。


「柊(しゅう)先輩、あの時ずっと言ってましたよ。

 “三浦(みうら)環(たまき)はそんなミスをする人じゃない”って。」


柊真(とうま)が穏やかに言葉を添えた。


「そうやって真実を見つけ出すのが、うちのやり方なんだ。

 “おかしいな”と思ったことは、見過ごさない。」


環(たまき)は胸がいっぱいになって、言葉を探した。


「……ありがとうございます。

 なんだか夢みたいです。

 “信じてくれる人がいた”って、今でも信じられなくて……。」


柊真(とうま)は優しく微笑む。


「信じることは簡単じゃない。

 でも、信じないと始まらないんだ。」


環(たまき)はその言葉を胸の奥に刻んだ。


そして心の中で思う。


(やっぱり、声も、話し方も、笑い方も……どことなく如月(きさらぎ)さんに似てる)

“信じてもらえる”――そのことが、どれほど心を救うのか。

この章では、環(たまき)が初めて「信頼」という温かさに触れました。

柊真(とうま)、柊(しゅう)、凪(なぎ)。

それぞれの想いが交わり、

彼女の世界に少しずつ“光”が戻っていきます。

アークシステムズという新しい場所で、

環がどんな未来を紡いでいくのか――

次の章で、その扉が開きます。

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