ロマンのない世界
別サイトに掲載していたものを大幅に改訂したものを連載していく予定です。
ロマンが足りない。ずっと、そう思っていた。
例えば、それは人生。所謂「普通」とされる人生。生まれ育ち、保育園、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学。塾に通ったり、習い事をさせられたり。高学歴とされる大学群の入学試験に合格し、単位を取って卒業し、ジャパニーズ・トラディショナル・カンパニーに入社する。大きな仕事に関わったり、小さなミスから成長を得たり。そうして出世し、稼ぎ、世のため人のために貢献し……死ぬ。普通の人生とは、そんなところだろう。
そんな人生に対して私は思うのだ。人生というか、社会。社会というか、世界に対して。
つまらない。
世界は普通で、普通な世界に私は居る。こんな世界は、つまらない!
パパもおじいちゃんも、警察という組織の人間だった。彼らは敵だ。つまらない世界を守ろうとする、私の敵だ。そんな一家に私は生まれてしまった。しかし、私の一族は怪盗の血筋であるはずなのだ。……曾×10くらいのじいちゃんは、田舎の部落でスリをしていたらしい。それだけなのだけど。
テレビの向こうの怪盗たちは、みんなカッコ良かった。そこにはロマンがあった。スタイリッシュで、賢くて、その生き様はロマンに満ち溢れていて。だから私はその世界に憧れた。
しかし、現実に彼らは居なかった。警察なる悪の組織が彼らを駆逐したのだ。なんと哀れなことだろう。何が哀れかって、こんな世界に住んでいるみんなが。こんなロマンのない現実で、生まれ、生きて、死ぬ。そんな世界を、私は許せなかった。私がみんなを救ってやらねば。これは私にしかできない。私がやるしかない!
私は大怪盗になる。怪盗になって、世界にロマンを与えてやるんだ!




