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優しさをライズで騙す 「思考不全と身体麻痺」 その8

 あの日から一週間、ユイちゃんが作った秘薬を飲ませたアスカちゃんはあまりにも不味さに気を失う程だった。


 効果は日を跨ぐほど強くなりあまり負担を掛けないように会うことを減らして過ごしていると丁度朝からユイちゃん、サナエちゃんが依頼に付いて話しているとアスカちゃんが部屋に入ってきた。


 記憶が失った時はおどおどしてたり誰かに話すことを控えて私にだけ話し掛けたり怯える部分や迷惑を掛けないような立ち振舞いで少し不安だった。


「おはよう、ユカリちゃん」


 早く治りますようにと願っていた今日、その日はついに訪れた。


「アスカ・・・」


 サナエちゃんは内心物凄く傷付いていた、家族とも呼べる人が急に拒絶したり怖がったりして一人でお菓子を爆食してたり悩んでいる期間も少なくなかった。


「ただいまって言った方が良いのかな・・・“サナエちゃん”」


 また怖がられると思ったサナエちゃんは恐る恐る名前を呼ぶとアスカちゃんはにっこり笑った。


「私のせいで迷惑掛けてごめんなさい・・・少しだけね・・・思い出したんだ、サナエお姉ちゃん♪」

 

 アスカちゃんは自ら歩みサナエちゃんの胸に飛び込む、片腕は大木のように動かないがサナエちゃんは肩の力が抜けて我が子を抱くように思いっきり抱きしめた。


「おかえり、辛いことはもう思い出さなくていい、私達のあの時の日常だけを思い出してくれればいい、それだけで私は身体を張れるから」


 まだまだ不安定でアスカちゃんは全部は思い出せないと朗らかな笑顔をする。


 また三人で生活できるなんて夢にも思わなかった。


 今度は仲間達皆で幸せな思い出を作ろうと計画を立てようとしたのにサナエちゃんは大人気なくボロボロと泣きじゃくってそれどころじゃ無かった。


 十年以上苦楽を共にしたサナエちゃんは私達の前では厳格で勇ましい姿を演じていた。

 

 私は最初は苦手だったけどサナエちゃんが手塩にかけて育ててくれた特別な思いに尊敬して私も立派な優しいお姉さんになりたいと心に決めた。


 結果的には現実から目を背けて逃げて冒険者になったけどサナエちゃんは咎めることも言及する事もせず「生きる意味を持ったならそれでいい」と悪態を吐きながら許して貰えた。


 勿論真実も話した、ユイちゃんが指名手配の犯人で冒険者になると決めた話も全部嘘だと謝るも答えは変わらないと断言した。


「・・・?」


 私達はアスカちゃんとの生活してきた事だけを吹き込んだ。もう誰にも穢されないように“いじめ”なんて存在しなかったと言い張りその日は沢山思い出してくれた。


 一人は何故か疑いの眼差しを向けていたがその答えを聞く事を忘れて本当の意味でアスカ・フューリーハートは仲間になったんだ。

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