図書室で君を
「君、本が好きなのかい」
確か夜桜先輩との出会いは中学校の図書室でだった。もともと本を読むのが好きだったから中学校の図書室は毎日通っていた。
そして毎日、夜桜先輩はそこにいた。
窓際の席にすわり、すらっとした足を組んで本を読んでいる夜桜先輩の姿が目に浮かぶ。先輩が中学3年生のころだったから今の私よりも幼いはずだ。でもあの頃はとっても大人に見えたなぁ。今もそうだけど。
放課後のチャイムが鳴ると走って図書室に向かってた。来るたびに新しい本を借りて、本に囲まれながら読書をしてた。その時間が私には最も幸せな時間だった。
何日か通っていると大体、どんな人がよくいるのかがわかってくる。
勉強してる人もいたし、夜桜先輩に近づきたくて通っている男子もいたぐらいだ。まあ私も人のことは言えないけど、、、
それぐらい先輩はみんなの憧れだった。そしてちょっとミステリアスなところもいい!背も高くてかっこいいし。
初めて先輩を図書室で見かけた時はなんか綺麗な人がいるなあと思ってたぐらいだったけど、何回も見てる内に段々憧れの度合いが高まってきた。
そして私の願いがついに叶う日がきた。とってもヘンな形で。
ある日いつもの様に息を切らして図書室まで走っていく途中、廊下で先輩を見かけた。どうやら先輩も図書室に向かうところらしい。
自分から話かけようかとしたけど恥ずかしかったからやめた。
片手に本を持って歩く先輩の後ろすがたを見る。長い髪が優雅に揺れる。スカートから伸びる長い足に憧れる。
どんなひとなんだろうな。なんて想像してたら急に先輩が歩みを止めた。
「ひょええっ」
突然のことだったもんだからぴったり後ろを歩いていた私はぶつかりそうになる。なんとかよろめいた体を取り直して前を向くと先輩がこっちの方を向いていた 。
「あ、すいません」私はすぐに謝って立ち去ろうとすると先輩はニヤッとわらって
「いやあ君、尾行ならもっと上手にやってくれ」といった。
その声が低めでカッコよかったことと、尾行がばれたに衝撃を受けたが、先輩はわらっている。
そして何も言えない私の目線に合わせる様に少しかがんで
「君、本か好きなのかい」と先輩は尋ねてきた。
話が飛躍している。頭いい人なんだろう。私は頭がグルグルして何がなんだかわからなくなってきた。
ともかくこの日から私と先輩との関係は始まる。




