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18話

2020年8月20日暁前、対馬上空

6機のC-2輸送機が12機のF-15J/DJ+(スーパーイーグル)F-2(ゼロ・ファルコン)空自戦闘機及び6機の”しょうかく”所属のF-35BJ(ライトニング)戦闘機の護衛の元、この空域に到着したのである。


C-2輸送機機内

「後部ドア解放の準備は出来ているな?」

このC-2機長で輸送部隊の指揮官である山村二佐がそう言うと「はい、スタンバイOKです!!」と部隊の先任ロードマスターである川田空曹長がそう言う。

すると山村は「よし……………ドア開放までのカウントダウンを開始する!!」と続き、それはカーゴ室にも機内放送で伝わる。


30秒後、カーゴドアのハッチが開くと6名の屈強な第1空挺師団の完全武装の隊員たちが「いくぞ、野郎ども!!」と隊長の島田健二佐の掛け声と合図に飛び降り、しばらくは自由落下であったが、ある一定の高度に達すると背負っていたパラシュートが開く。


旋回離脱する6機のC-2や24機の4個中隊の戦闘機の操縦士たちは隊員たちの背負っているスモーク発生装置から発生する36もの鮮やかなスモークを見ながら多くのモノが(頼んだぞ…………)と心中で呟いたであろう。


そして5時30分、鹿児島県沖に展開する海上自衛隊の艦隊が攻撃を開始した。

”ずいかく”揚陸打撃群所属、第3護衛隊群旗艦護衛艦”ながと”

この船は鋭くスマートな船体とステルス性に配慮しつつもかつて七つの海に君臨した鋼鉄の怪物、戦艦(レヴァイアサン)のような構造物を持つ巡洋艦だ。

そしてその由来はかつて太平洋戦争でマリアナ、レイテを転戦し、終戦まで生き残り、生き恥を晒す事無くクロスロード作戦で散った日本の誇りと謳われた戦艦長門、そしてその名を継ぐ船である。


同艦戦闘指揮所(CIC)

「目標対馬島内、人民連邦軍司令部施設もとい旧陸自対馬駐屯地」

砲雷長で副長を兼務する北田浩太二佐がそう言うと自らその情報をコンソールに打ち込む。すると砲術員がそれを復唱し、システムをチェックする。

「いつでも発射出来ます!!」

砲術員のミサイル担当の一士がそう言うと艦長の大野多喜夫一佐が「北田君、いつでも撃てるよな?」と北田に聞くと北田は「はい。いつでもご命令を」と続く。


やがて大野から命令が下ると北田はコンソールのスイッチをいつでも押せる様にする。


(すまない。許してくれ…………)

北田はそう思いつつも「発射用意ー!!ってぇええええ!!!」と叫ぶ。


すると最新鋭VLS、Mk-57から4発のSCM-3(※1)が放たれる。


5時40分

福岡県上空・航空自衛隊対地作戦統制機EP-1

アルファ・ウォッチャー1機内

「海自”ながと”、巡航ミサイルを発射しました!!」

「わかった。”ながと”と情報を共有しつつ、衛星とのリンクをつなげ!」

そう主任分析士官の加田1尉が言うと分析員がそれらの情報を長門や衛星、そして防衛相、首相官邸などへ転送する。

挿絵(By みてみん)

↑EP-1対地作戦統制機と護衛のF‐15戦闘機

(下は機内にあるスクリーンのイメージ)


5時50分、済州島沖合

潜水艦”うんりゅう”艦内

「艦長、時間です!!」

ある下士官がそう言うと艦長は「コマンド(潜水艦隊司令部)の命令書によると6時前に人民連邦(PF)の人民第1駐屯地に対してハープーン(※2)攻撃を行えか…………」と続き、魚雷発射管へハープーンミサイルを装填するように命じる。


「発射管に注水!!発射用意、ってぇえええー!!」

艦長がそう言うとハープーンの入ったカプセルは勢いよく海面に飛び出し、モーターに着火し、飛翔していく。


数分後、戦果を確認するよりも生存が重要である”うんりゅう”は舵を翻し、呉へと離脱していく。


同時刻

人民連邦第1航空基地

「レーダー反応あり!!不明潜水艦より対艦ミサイルです!!」

レーダー管制兵がそう言うと指揮官代理の士官が「動ける戦闘機は全てミサイルの迎撃に当たれ!!対空ミサイル部隊及び国民に伝達、それに大統領閣下に報告急げ!!」と叫び、命じる。

すると管制兵は「了解!!」と言い、伝令兵たちは放送準備に入る。


数秒後、第1駐屯地内の地対空ミサイル部隊が”うんりゅう”の放ったハープーンミサイルを撃墜したが、彼らにとって衝撃的であったのは日本側が自分たちの領土の近くまで攻撃出来る能力を保持していることであった。


6時ごろ、各地で放たれた巡航ミサイルが対馬各地の人民連邦施設と思しき施設を次々と破壊したのを皮切りに棟内に5時ごろから潜んでいた第1空挺師団が突撃を開始したのである。


「日本軍の奇襲だ!!」

ある見張りの人民連邦兵がそう叫ぶとAK(カラシニコフ)を第1空挺団の狙撃兵が射撃して来た方角にパニック状態になりながら連射するが、次の瞬間であった彼の体は81㎜迫撃砲により粉砕され、カラシニコフ機関銃も一緒に粉々になり、他の見張り兵がその音を聞いてこちらに向かってきたのである。


「…………角度、風速良し…………って」

草陰に隠れていた空挺団の狙撃兵がそう言うと彼はトリガーを引き持っていたライフル銃が火を噴く。数秒後、走ってきた見張り兵の頸椎を銃弾が撃ち抜き、その見張り兵は一瞬で絶命したのである。


ミサイルの着弾とほぼ同時に行動を開始した空挺団に対処しようとする人民連邦占領部隊の残存兵たちが混乱状態に陥る。


その頃、対馬の沖合に到着した”しょうかく”揚陸部隊のV-22(オスプレイ)が飛び立ち、対馬へと向かっていた。


対馬上空

在日米海兵隊・偵察型F/A-18C

「大尉。サウスツシマは日本軍が奪還したみたいですけど、我々が向かっているのはノースツシマ…………まだ日本軍の攻撃は一回しか行われていないみたいなのでどこに地対空ミサイルの陣地があるかわかりませんよ…………」

そうこのF/A-18(ホーネット)の操縦士であるジェームズ・ウォーリス大尉に射撃管制員で偵察員も兼ねたタケオ・カワセ中尉が言うとウォーリスは「心配することはねぇ。なにせこいつにはチャフとフレア、それに電子妨害装置もある。そんな心配している暇があったらお前もちゃんとみとけよ」と続く。


暫くして…………

「こちらブロー1。ノースツシマのPF(人民連邦)軍の施設は自衛隊の攻撃で甚大な被害を受けており、機能しているようには…………」

この機体の操縦桿を握る岩国基地の米海兵隊パイロットのウォーリスがそう基地に報告すると次の瞬間、警報音が鳴り響き、後席に座る火器管制員カワセ中尉が「大尉、ミサイル警報です!!」と叫ぶ。


ウォーリスはすぐに機体を急旋回させ、チャフをばらまくと基地に「我、攻撃受く。ツシマアイランド上空、至急応援願いたし!!」と無線に向け叫ぶと岩国のオペレーターは『了解!!10分以内に護衛のF-18を送る!』と続くがすでにウォーリスたちからは何も聞こえてこない。


岩国基地

「ウォーリス機、レーダーから消失。地対空ミサイルで撃墜された模様です!」

レーダーオペレーターがそう叫ぶと主任オペレーターが「地対空火器が健在なのを日本側にも伝えろ」と叫ぶ。すると隊員たちは「了解!」と続く。


その頃、厚木からはE/A-18(電子戦攻撃機)が、三沢からはF-16戦闘機が飛び上がり、方や米海軍の給油機から、もう方や航空自衛隊の給油機から給油を受けて北対馬島に対するSEAD任務を始めようとしていたのである。

※1 SCM-3

3自衛隊で共同でASM-3対艦ミサイルを改造した巡航ミサイル。

射程470㎞、最大速度 約マッハ2.9(2.87)、陸海空、どのプラットフォームからも運用出来るが、大きさ故に運用できる艦艇はあきづき、あたご、こんごうに加え、むさし型の4タイプと限られている。次世代護衛艦のしらつゆ型にも発射能力は付与される予定である。航空機はF-2、F-35、P-1などに搭載。

陸上でも4連装型発射機を採用している。


※2 ハープーン、西側のスタンダードな対艦ミサイル。現用モデルは対地攻撃が可能となったBlock2のことを指す。ただし作中のタイプは史実には存在しないBlock3で、このモデルは中露戦争の拡大が切っ掛けとなってパッシブレーダーホーミングによるレーダー攻撃が可能になっており、カナダ、スペイン、ポーランドなどNATO諸国も対露作戦時に備えて導入している。

なおドイツやフィンランドでは地対地ミサイルとしても導入された。

作中では潜水艦発射型以外に航空自衛隊が空対地・艦用として運用している。

(水上艦から発射されるのはSCM-3天山巡航ミサイルである)

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