プロローグ
今回から新章になります
「ふむ、今年は全体的に豊作だったおかげか、民の暮らしぶりも良いようでなによりだな」
資料を片手に家臣からの報告を受けると、極東の島国を支配する奥羽国の国主である源義國は満足そうに一つ頷いた。
「左様ですなぁ」
喜ばしい吉報に、返事を返した常なら気難しい家老の声もいつになく明るい。
「出来れば来年もこの調子で豊作が続いてくれると有難いものだが、それもまた天の采配次第というものか。まあ贅沢は言わん、せめて去年のような酷い不作にさえならなければ良いと思っておくことにしよう」
「そうですな、昨年の天候は本当に厳しゅうございましたからな、ははは……」
しみじみとした口調で言ったじいは、遠い目をして乾いた笑いを浮かべた。
本当に今だからこそ笑い話にも出来ようというものだが、昨年の初秋に立て続けにやってきた野分に起因する記録的な不作は本当に厳しいものであった。
特に収穫間近で壊滅的な被害を被った稲については、荒れ果てた田んぼを前にした時、義國はその場に泣き崩れる農家たちとともに呆然と立ち尽くすことしかできなかった。
甚大な被害が出た後の厳しい冬を乗りきるために義國は国の備蓄を全て被害地域の民に開放し、更に年貢を大幅に軽減することで対応した。
その甲斐あってか、何とか民たちの中から飢え死にが出るような最悪の事態だけは免れることができた。
しかし、その代償として蔵はすっかりからっぽになってしまっていた。
蔵が空になったこと自体は別に構わない。
ただ、国庫に全く余力のないそんな状態で、もし今年も昨年のような最悪の天候になってしまっていたなら、大事な民たちの中からどれくらい飢えによる被害が出てしまうのか想像することもできない。それが何より怖かったのだ。
昨年の野分が義國の心に遺した傷跡は想像以上に大きく、特に昨年野分が来たのと同じ秋口を迎えてから無事に刈り入れが終わるまでの間、それこそ毎晩のように野分に関連する悪夢にうなされていたのだ。
正直、今年の収穫が豊作に恵まれたことで、今この国の誰よりもほっとしているのは義國自身であるのかもしれなかった。
「これで今年も平和なまま無事終わってくれれば最高なのだがな……」
安堵のためかつい口を滑らせてしまったその一言。
もちろん時間軸を深く突き詰めて考えればその言葉との因果関係など全くない分かることが分かるのだが、結果として今この場においてはその言葉が凶報を引き寄せた形になってしまった。
「殿ぉ! 殿ぉ~~~っ!! 大事にござる! 大事にござる!」
「時隆か、お主ともあろうものがそのように取り乱して、いかがしたのだ?」
弓術と天狗術の達人であり常日頃から冷静さを欠かさないはずの時隆のそのただごとではない様子に、義國は主君である自分の執務室にいきなり飛び込んでくるという彼のその無作法を一切咎めることなく、まずは彼が慌てているその理由から問いただすことにした。
「殿! たった今大陸を見張らせている草の者から知らせが届きました。大陸において今急速にその勢力を広げつつある件の大雅帝国を名乗る新興国家が、いよいよ我が国へと兵を差し向けてくるようです」
「なにっ! それは真か?」
「はっ、大陸に送り込んでいる複数の草から同じ報告が上がってきているのでおそらくその情報は間違いないかと思われまする」
「そうか……。いや、分かった。しかし、くそっ、思っていたより侵攻速度が早いな……」
「それについては、かの国との間で北方で抵抗を続けていたはずの阮が陥ちたのが予想よりも速かったのが原因かと」
「依然として南方の天仁国とは激しい争いをくりひろげている筈なのだが、それでもなお海を越えて我が国に戦力を送り出す余裕があるということか……」
「それで、民の避難は済ませたのか?」
「現在最優先で進めております」
「布陣の状況は?」
「現在至急兵を動員しております。その戦力で暫くは何とか押さえ込めると思われますが、残念ながら先々を考えると現状の戦力では少々厳しいかと……」
「そうか……」
時隆の分析に、義國は苦い表情を浮かべる。
「やむを得ないでしょう。そもそも配備している鉄砲の性能、そして動員している兵の数そのものが我が国のそれとは桁違いですからなぁ……」
「うむ。悔しいが敵の鉄砲の命中性能、射程距離、連射性、どれを取っても我が国のそれを遥かに上回っている。間違いなく流れ人の業であろう」
「……でしょうな。今まで鉄砲を配備していたのは我が国だけでしたが、我が国に流れ着いた鉄砲職人よりも新しい知識を持つ者、あるいはその集団が敵方に付いたとしか考えられませぬ」
「我が国でも代々鉄砲の改良は進めておったが、残念ながら敵の鉄砲はそれをしてなお我が国のそれの数段上をいっておる」
「個々の兵の実力では決して劣っている訳ではないのです。いえ、むしろ単体で見れば我が国のサムライの力はかの国をふくむ近隣諸国の兵の実力に比して抜きんでているといってもいいでしょう」
「ただし、それも接近戦に持ち込めればという前提がつけば、だがな……」
「はい……」
義國の指摘に、じいは悔しそうにうつむく。
「それでも初代様が我々にもたらした天狗術を行使可能な剛の者ならば易々とは遅れは取るまい」
「はい、それに我が国の陰陽師の実力も大陸の者どもに比べれば大きく優っておりまする。第一級秘匿事項ゆえ敵はそれを知らぬでありましょうから他の敵と対するのと同じと思うておるようならその隙に痛い目に遭わせてやりましょうぞ」
「我らには玉藻様の加護があるからな」
「然り」
「問題は、天狗術を使える者も陰陽師も数がそれほど多くないということか」
「ええ、それに比べて敵方は圧倒的な数とその人数全員に配備できる高性能な鉄砲を備えておりますからな」
「天狗術、陰陽術それぞれの使い手も易々とは遅れは取るまいが、それでも一度消耗してしまえば我が国の戦力は減る一方だ。しかし敵は数だけは無駄に多い雑兵に高性能な鉄砲を持たせて次々と送り込むだけでいいのだからどう考えても割に合わん」
「それに草からの情報ですとかの国は北方の戦線で空から敵陣に発破の雨を降らせたとか。しかも幻術の類も簡単に突破されたと」
「空からか、また厄介な……」
「加えて少数ではありますが鉄製の巨大な戦艦の存在も確認しております」
「まったく、次から次へと……」
時隆の口からもたらされた更なる凶報にじいが驚きを通り越して呆れた表情を浮かべる。
「して、彼奴らめが戦を仕掛けてきた名目はなんなのだ?」
「亜人の排斥と親亜人国家の撲滅を訴えております」
「ふん、馬鹿馬鹿しい。大雅の皇帝め、西の邪教にでもかぶれたか」
そもそもこの極東地域は西方の邪教の影響で住処を追われた亜人たちが逃げ込んだ挙句苦労の末に開拓した地。
そんな地域においてなおヒト種の優先性を訴えるなど常軌を逸している。
「いえ、皇帝の人となりを伝え聞く限りでは目的のために何でも利用する類の者、決して宗教に溺れる手合いの者ではありませぬ。おそらくは単なる支配欲。結局のところそれらしい理由さえあれば実際の名分など何でも良いのでしょう」
「ちっ、大人しく大陸の中だけで争っておればよいものを……なんと傍迷惑なる者か」
時隆の分析した皇帝像に、じいがいまいましそうに吐き捨てた。
「いずれにせよ、この地に流れ着いた我らが初代義経様一行を排斥するどころか温かく迎え入れてくれた玉藻様はじめ亜人の方々たちへの大恩。それに仇為すかのように彼らを差し出すような形で敵方に恭順することなど、たとえ我らが一族ことごとくこの地に屍を晒すことになろうとも絶対にあり得ぬ」
「もちろんでございます」
「御意」
「うむ。ゆえに問題はいかにこの難敵を退けるのかなのだが……。まず兵器の質で大きく劣っている以上平地で正面からの決戦では我らに不利なのは明らか。である以上、敵軍を大きな森か山の中に上手く誘い込んでから物陰や闇に紛れての襲撃で敵を確実に削っていくしかないであろう。空からの攻撃については現状部隊を細かく分けて固まらず広く展開することで一度に受ける被害を減らすしかあるまい。問題はその先をいかにするかだが、何か良い考えはあるか?」
「出来れば敵の武器を鹵獲し。あわよくばこちらでもそれを複製したいところですが……」
「鹵獲はともかく複製に関してはすぐには難しいかもしれぬがな。とはいえ武器で劣らぬなら質で優る以上数で劣ろうが恐れる理由はない。鹵獲は積極的に勧めるべきであろう」
「はい」
「他は?」
「「…………」」
時隆もじいもさすがにそうぽんぽん良案が出てくる筈もなく、共に口淀んでしまう。
重苦しい沈黙が室内を支配する。
それを打ち破ったのは、じいでも時隆でも、義國自身でもなかった。
「お兄様、いらっしゃいますか?」
部屋の外から耳に心地よい涼やかな少女の声が、静かに響き渡る。
「雪か、どうした?」
「失礼いたします」
言うと、彼女は音一つ立てず優雅な仕草で戸を開けた。
楚々とした仕草で姿を現した少女は、今年十五になる義國の実妹、雪乃。
透き通るような白い肌と長く艶やかな黒髪、可憐な大きな瞳、そして小柄な割に細く長い肢体を持つ優れた容姿の持ち主である彼女は、まるで天照大神が自らの姿を写して作り上げたのではないかと思われるほど繊細で美しい美少女で、そして女性の身でありながら若くして賢王と称えられる兄義國に勝るとも劣らぬ明晰な頭脳の持ち主でもあった。
そんな彼女の容姿の美しさは国内のみならず遠く大陸にまで響き渡っており、彼女の美しさに目を奪われた多くの家臣たちのみならず、名も知らぬような遠い国の王族からすら嫁にくれないかと打診が来たほどである。
そして今、戸が開いたことで明らかになったそんな彼女の出で立ちを見て、部屋の中にいた三人は揃って驚愕の表情を浮かべることになる。
いつもの見慣れた雅な振袖姿ではなく、まるでそこらの村娘のごとく地味な装いであったからだ。
「ゆっ、雪、その恰好はどうしたのだ?」
「そのようなことよりも、お兄様に伺いたきことがございます。大雅が我が国に攻めてきたという噂は本当なのですか?」
「そのようなこと……いや、大雅が攻めてきたのは真であるが……」
「そうですか。真でしたか……。それではいよいよ私が行かねばならないようですね」
「行く? お前が? 一体どこへ、何をしにいくというのだ?」
要領が得ず慌てふためく義國に、雪乃はその深く透明な瞳を向ける。
「西方から帰ってきた商人から聞いたのです。大陸西の端、いわゆる西方五国といわれる国々の中に最近亜人保護を訴える第六の国が生まれたと」
「それがどうしたというのだ。亜人保護は我らにとっても好ましいことだとはいえ所詮は大陸の東端と西端。今の我々には何の助けにもなるまい」
「商人の話によると、その国はたった2万で10万の敵の軍勢を退けたとのこと。更には、同時並行で敗北寸前の同盟国にも援軍を送り、20万もの敵軍を押し返すどころか逆に壊滅状態にまで持っていったとか」
「その国が強いというのは良く分かった。だが、それがどうしたというのだ? この奥羽とその国との間にどれだけの国々があると思うておる。我らの力にならぬのならば何の意味もないではないか!」
「せまる敵軍の飛龍をことごとく撃ち殺したと思われるのがその国の鉄砲だったとしてもですか? 20万の敵軍を相手取るのに彼らが連射式の鉄砲を使用していたと思われていてもですか?」
「飛龍を鉄砲で撃ち殺しただと? そんな馬鹿な! 遥か上空を駆ける飛龍を正確に狙撃できるその精度も信じられんが、そもそも命中したところで鉄砲の弾程度であの飛龍の硬い装甲を打ち抜けるものなのか?」
「ことごとく……と表現されている以上は一匹二匹ではないということなのでしょうな。つまりはまぐれ当たりや奇跡の一撃の類ではないと」
「それに連射式の鉄砲を実装している……か。雪乃よ、その話、間違いないのか?」
「私が聞いたのはあくまでも我が国の商人がその国の兵士と救援を受けた国の兵士から聞いた話の又聞きに過ぎませんので、絶対に間違いないかと聞かれると必ずしもそうとは言い切れない部分はあります」
「だったら……」
「しかし、飛龍の方は射手の姿こそ確認されなかったものの戦場に銃声によく似た音が倒された飛龍と同じ数だけ鳴り響いたという話ですし、同盟国へ救援に入ったとされる戦場の方では、おそらく人形遣いの鬼術(※湊たちの言う能力と同一の力の極東風の呼び方)によるものと思われる百体を超える人形が、先端から息もつかさぬ勢いで火を噴く金属製の筒を持っていたという目撃証言もあったそうです」
「むむっ、いくら鬼術といえど百体を超える人形を同時に操ることが可能だとは何たる術者……! しかし、聞いた限りではその謎の攻撃も含めて操られた人形の絡繰りという可能性はある。だが、同時に雪が言うように人形に鉄砲を装備させている可能性も否定はできない……か」
「はい。そしてもし彼らの所持している武器が私たちの思っている高性能な鉄砲であるのならば……」
「うむ。それを使えば大雅の鉄砲にも対抗することが出来るかもしれんな。両国の距離が離れすぎていることで国としての直接の援軍は期待できないが、高性能な武器を輸出してもらうだけならば応じて貰える可能性も十分にある……か。なるほどな」
妹の説明を受けて義國は納得したように大きく頷く。
「確かに姫様の言うように検討する余地はありますな」
「しかし、まだ問題はあるぞ。遥か遠き西の地まで赴き、しかも今まで縁もゆかりもない未知の国と一から交渉を始めるとなると誰にでも出来ることではない。一体誰にそのような大役を任せ……」
そこまで言うと、義國ははっとした表情で村娘の姿をした自分の妹を見つめた。
「まさか……!」
「はい、私が直接参ろうと思っております」
「駄目だ!」
「駄目ですじゃ」
「姫様、お戯れを!」
即座に三者三様の反対意見が雪乃の細身の体に突き刺さった。
しかし、穏やかながらも強い意志を宿した雪乃の瞳の色は微動だにしない。
「駄目だと兄さまはおっしゃいましたが、では他の誰がその大役を果たすことが出来るというのですか?」
「いや、それは……」
「相手は私たちの想像を上回る技術を持ち、二方面から同時に30万もの大軍の侵攻を受けてもそれを退けることができるほどの大国ですよ。中途半端な使者を送ったところで、込み入った話し合いになってしまえば自分では判断しきれないからと兄さまに案件を持ち帰って相談しようとするのは目に見えております。しかし、お家の大事がかかったこの状況で、ここと西方を何度も往復しているような時間的余裕などどこにもありません。となれば、最低でもその場に我が源家の裁決を下ろせる者が必要になるはずです」
「確かに、それは、そうだが……」
「となれば、父上も母上も亡き今、兄上以外となるとその責を果たせるのは私以外に存在しないではないですか」
ぐうの音も出ないほどの正論だった。
しかし、義國はそれが悪あがきだと知りながらも抵抗を続ける。続けざるを得なかった。
「し、しかし、ここから西方へ赴くためにはどうしたって大雅帝国の勢力内を通過せねばならんのだぞ。危険が大きすぎるではないか」
「ですから、私の護衛に七七を連れて行くお許しをくださいませ」
「七七………………黒鉄か。あやつならば確かに……。いやしかし、ううむ……」
義國は腕を組んで考え込んだ。
本音を言えば可愛い妹を遠い地へ遣いになどやりたくはない。
しかし、源家の人間以外ではこの大役が果たせないだろうという雪乃の指摘は、悔しいのだが間違いなく正しい。
道中は危険ではあるが、雪乃が七七と呼んで姉同然に慕っている葉山黒鉄は、『黒鉄』の称号を引き継いだ源家に仕える最強の忍だ。
彼女の実力は大陸基準で言えば『えすらんく』以上、大抵の危険は振り払ってくれるであろうし、なにより雪乃自身が玉藻様の加護を受けた強力な陰陽術の使い手でもある。
かさばる荷物や食料、それに鉄砲を買い求めるための金などは源家の家宝である『無限収納袋』に詰めて持たせてやれば旅の負担も大幅に軽減されるはずである。
しかし、それでもなお義國は妹の旅立ちを認めるのを躊躇してしまう。
おそらく妹は二度とこの奥羽の大地を踏むつもりがない。
いや、事実としてそうなるのかは分からないが、少なくとも雪乃はそれだけの覚悟を以て相手との交渉に当たろうとしている筈である。
雪乃の頭の中では相手方との交渉材料に最初から彼女自身の身柄も人質、最悪は隷属者として投げ出すことが含まれてしまっているであろうからだ。
そもそも高性能な鉄砲を相手国が持っていたとしてだ。
果たして金を積み上げたところで易々と輸出に応じてくれるであろうか?
現に流れ人によってもたらされて以降長き事鉄砲を配備してきた奥羽軍は、外つ国からどれほどの金を積まれようが売り渡すことはしなかった。
農民に鉄砲を与えて使い方を教えただけの部隊でも、上手く運用しさえすれば戦場においては毎日厳しい訓練を積んできたサムライの精鋭たちにすら打ち勝つことが可能になる。
そう、鉄砲のその威力と射程距離は、命中精度と効果範囲こそ狭いものの何の訓練も受けていないただの農民をあっという間に一端の陰陽師に変えてしまうのである。
下手に輸出したことでその技術を解析され、その上で実践に配備されたなら、今度はその脅威が自国の軍に向けられる可能性があるのだから迂闊に外に出すことなど出来るはずもない。
義國だってそう思うのだ。交渉相手の国の王がそれを考えないとは思えない。
唯一の希望は両国にまたがる長大な距離であろうか。
さすがに銃を輸出しても自分の喉元にまでそれが届くことはないだろうと相手方が考えてくれさえすれば、ほんの一かけらではあるが交渉に応じて貰える可能性が生まれてくる。
そして妹の雪乃は間違いなくその事実に気が付いている。
だからこそ雪乃は自分自身が交渉へ向かうことにこだわっているのだ。
近隣諸国にまで響き渡るほどの彼女の美貌。
その価値は金や宝石を目の前に大量に積み上げたよりも価値が高い可能性すらある。
つまり、雪乃のその類まれなる可憐さは、いわば黄金という前菜の後に出てくるとっておきの主菜。
国のために、民のために、そして源家のために己のその身すら冷徹に材料の一つとして数えることができる妹のその才覚と覚悟。
兄として、また一人の人間として空恐ろしさすら感じてしまう。
妹の身の犠牲による勝利など義國の望むところではない。
しかしながら、国主として多くの民の命を預かる身である以上、己の意思を曲げてでも行わなければならないこともあるのだ。
「…………やむを得ぬ……か!」
義國は断腸の思いで今生の別れになるかもしれない自分の妹を送り出すことを決定した。
こうして国民全てから愛された雪乃姫は、大雅側に気取られぬよう最低限の伴だけをともない、その名声に比して極めて少ない少数の見送りのみを受けて故郷である奥羽国を後にした。
◆◆◆
前回の後書きで、次話で最後の仲間が加わるようなことを書いてしまいましたが、今回の内容ではそこまで行くことが出来ませんでした><
申し訳ございません。




