始まるリハビリの日々
車椅子の先の段階を見据え本格的にリハビリ開始
車椅子に移乗してのリハビリを始めはや数日、身体機能の状態について一通りの検査を終えた狸氏は、現状の確認と今後のリハビリ計画について説明を受けた。
現状、脳神経機能としては、平衡感覚の失調で上手くバランスがとれないこと、視神経の失調で眼球の動きが制限されていること、上手く立体視が出来ていない、左側の視野が狭くなっていること、周囲の騒音によってはひどい耳鳴りがすること、身体機能としては身体全体の痺れ、特に左腕部の麻痺が強いことなどがわかった。
上記の状態について、脳機能の回復度合いは、個人差があるのではっきりとしたことは断言できないこと、リハビリによって失調している機能の補完、特に寝たきり状態だったために落ちた筋力の回復や平衡感覚を補完するためのバランスの訓練を今後のリハビリの軸とすることとなった。
車椅子にやっとのことで乗っている現状、先ずは掴まり立ちを当面の目標に据え、四肢の運動、特に腕で物を掴む訓練を中心にし、腕の筋力の回復を重点にリハビリしていくこととなった。
物を掴む訓練といっても、細かい動きがまだ痺れで上手く出来ないため、幼児用の大きなブロックやボールを掴んだり左右に動かすような動作から始める形だった。
並行して上体を起こした状態に身体を慣れさせる訓練も行っていくこととなった、有り体に言えば、車椅子に長時間座ることで、眩暈が起きにくくなるように身体を慣れさせるという中々に体育会系なリハビリだった。
車椅子に座っている間はむしろ眩暈が改善されると感じていた狸氏は、出来るだけ車椅子に座って過ごすこととし、数日で日中はほぼ車椅子の上で過ごし、食事も車椅子に座ったままのまま摂るようになっていた。
流石に長時間座ったままの状態でいることに対し、狸氏は痔の気配を敏感に察知したため合間合間にベッドに遷移することとした、そうして車椅子で過ごすことにも慣れてきた狸氏だったが、大事な目標を忘れかけていた。
食事である
通常の食事を摂るためにはまだ、口腔内の筋肉の麻痺や衰えをリハビリで改善する必要があった。
そのためおじさんが大きく口を開き舌の体操や辿々しい発生練習を行うと言う、傍から観ると大変シュールなリハビリを日々行っていった。
それでも食事の為、自力で立つ為には少しづつでも直向きにリハビリをこなしていく狸氏であった。




