初めての車椅子
車椅子に乗ることで拡がる世界
車椅子に乗ること、これがリハビリ生活を送る上での最初の課題であった。
その前段階として先ずはベッドに腰掛ける事を目標に訓練に励む狸氏であったが、やはり背中側に支えがないと上体を起こすこともままならず介助付きで起きるのが精一杯であった。
それでも数日訓練を続けることで支えられながらではあるがベッドに腰掛けられるようになった、相変わらず上体をまっすぐ支えられずに前後不覚になる様な状態ではあるが車椅子へ移乗する前準備は整ったので次回のリハビリでチャレンジすることとなった。
翌日、はじめて車椅子への移乗をする事となった狸氏だが、ベッドに腰を掛けているだけで眩暈がしているような現状で、果たして無事に移乗することは出来るのだろうかと胸中穏やかではなかった。
リハビリの時間となり、車椅子への移乗の為、いざベッドに腰を掛けると、目の前に横付けされいる車椅子への僅か数歩の距離が途端に遠く感じられた。
車椅子へ移乗するために介助されながら腰を浮かし、身体を捻って座る、ただそれだけの単純な動作が、難解な舞踊を舞う様な難易度でありふらつきながらもなんとか着座することが出来た。
自分の身体なのに言うことを聞かず、平衡感覚も異常をきたしている現状に只々悪態を吐きたくなる狸氏であったが先ずは車椅子への移乗成功を喜ぶこととした。
はじめて座る車椅子は、想像よりも安定感があり、背もたれがあるからなのか目眩もベッドに腰掛けていたときよりも幾分マシになっていた。
車椅子に座すること数分、目眩も安定をみせ、車椅子に座した状態ならば、ベッドに腰掛けるよりも遥かに安定して行動できることが分かり周囲と喜びあったが、今度はベッドへ戻るために立ち上がることに四苦八苦し今回のリハビリを終えることとなった。
兎も角、車椅子に座ることで様々なリハビリを始められる可能性を感じ、移乗を多くこなして早く慣れなければと決意を新たにした狸氏であった。




