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第69話 幼馴染みの二人

 剥ぎ取りそのものは素早く終わった。唯一長かったのは、ゴブリンの飛んで言った頭が予想外の所にあって、ありゃ? と言いながらアギトさんとカイトさんが探す一幕があった時だ。茂みの中に埋まっており、見つかってしまえばこっちのものとあっさりカットして終了である。


 のだが。

 

「……あの、先ほどから何か?」

「……何でもねぇよ」

「それにしてもずっと見てますよね」

「何でもないってんだろ!」


 とまぁこんな感じで再びアランから視線を貰ったりしている状態である。

 もう今日で何度この視線を感じたことか。出会ってからこうも何度も睨まれるとそろそろうっとうしい。

 

 ゴブリン耳カットからの間に何があったかというと、次のゴブリン戦である。 

 次の魔獣の集団を探すも、そこらで虫を探すかのようにあっさりと見つかり、アタシとジェラルが対ゴブリン戦闘をやったのだ。

 ジェラルに配慮してか、一対一に出来るよう数を調整してもらっての安全な戦いだった。光栄宮学園の授業でも見ないぐらいの安全さである。

 あの学園は水魔法のベテランの保険医がいるからといって魔獣と戦ったことが無い学生でも躊躇無く放り出しすぎな気がする。

 怪我をしても破傷風さえ気にする必要無いというのは本当にこの世界の水魔法は強烈すぎる。でもこれぐらい強烈じゃないと滅ぶぐらい魔獣が驚異なんだよねぇ……。


 それはともかく、ゴブリンとの戦闘時は、いつでもアギトが介入出来るような状態での取り組みだった。

 ジェラルはここまでの間でもゴブリンと戦ったことはあるようだったが、見ていてとても危なっかしい。力みすぎだ。

 相手が走ってくるゴブリンに動揺して、剣の長さを見誤って振りかぶり、致命的な隙を晒していた。

 といっても相手はゴブリンである。

 爪を振りかぶられても身につけている防具、またハンター向けの服を破ることは中々出来ない。

 隙を作った自分に驚いたように剣を引き戻してゴブリンの一撃を受け止めた後、ぐっとゴブリンを押し込んでよたついた所を袈裟斬りにして決着であった。

 

 アタシはというと、ゴブリンは以前の実習で放置プレイされて飽きるほど戦えたので、踏み込み一刀で首をはねて終了である。

 飛んでいくゴブリンの顔と視線があった時、乙女ゲーって何だろうという虚無みたいな感情に支配されかけたけれど、あくまで神楽やゼン様達が乙女ゲーの中で生きているのであり、アタシは別に外れてもいいのだと無駄に悟った。

 早く神楽に会いたい。神楽のあの優しい表情と穏やかな心を思い出す。ベッドの上で話し合ったのは楽しかったなぁ。直ぐに寝落ちしてしまうとは不覚以外の何も出も無かったと思う。こんなむさ苦しい所でアタシは何をやっているのか。お金稼ぎだった。切実だ。


 で、そのゴブリン退治時に流石だというアギトさんからの言葉と想像以上だなというカイトさんからの言葉を貰ってから、アランくんの敵意が爆発した次第である。若い。


 その後は、ひたすらゴブリン狩りとなったわけだけれど、途中でアギトさんが見張りとなり、カイトさんが先導で戦うなど、3時間ほどだろうか、それぐらい魔森林の中を散策したことになる。

 前世の人間なら、合間合間に激しい動きがあるハイキングなど、訓練していないと体力的に厳しいことこの上なく、脱落もあるはずだが、多少なりとも魔獣と戦うこの世界の人々にとっては、ベテランではない人であってもなんとかなる程度だ。見えぬステータスの恩恵は何処までも強い。

 アランとジェラルも疲れは見えるが、何も出来ないと言った程では無い。恐らくこの後も戦えと言われれば戦えるだろう。

 まぁそもそも、ゴブリンとの戦闘自体はアギトさんかカイトさんか、どちらかが多数を一度に相手どって比較的短期間で終わるというのもあるが。

 幾つもの屍を気づき、数個の平原や林を経過した時、アギトさんがふと空を見て、胸元から何かを取り出して確認する。

 と。


「ま、今日はこんな所か」


 と声を上げた。

 思ったより早い上がりだ。


「え? まだまだ時間があるじゃないですか、俺らはまだいけますよ!」

「いけます!」

「慣れてねぇ時はさっさと上がる事も大切だ。それに、元々このクエストで長いするつもりはねぇから、今日はもう戻りだ。数は狩れたしな」


 アランとジェラルが声をあげている。あれは憧れの人と一緒にいる時間が短すぎると思っているのかもしれない。

 今日は一日、ゴブリンしか目にしてない。あまりに地味すぎる。やっていることは命の取り合いなので地味でも何でもないけれど。ゴブリンでも数で押し込まれると怖いというのは教科書で読んだ。

 近くにいたカイトさんに声を掛ける。

 

「でも、本当にゴブリンしかいませんでしたね。ジェリーフェイカーが出てきたらどうしようって思っていたんですが」

「ここは特にゴブリンが多いのです。前々からそうでした。あまり他の魔獣は出てこない場所です。そういう所をアギトが選びました。新人向けの良い場所です。今日はジェラルくんが居ましたからね」


 カイトさんが二人を見る目は優しい。

 

「ジェラルくんはアランくんの友人……であってますか?」

「そう聞いています。幼馴染みのようですね。アランくんの方がハンターとしては適正があり、一足早く仲介所の面々からゴーサインがおりた、という所です。二人でハンターとして名を上げたい、とは聞いています」


 やはりそうなのか。

 そういう話を聞くとついほんわかした気持ちで見てしまう。

 意地っ張りで強気な幼馴染み。そんな相手から一緒に夢を目指そうと誘われたのなら、相手に負けないよう、そして並び立てるよう、自分も頑張らないと思いながら気を奮い立たせて前へと向かう、みたいな? 違うか、違うよね。

 俺ならまだ余裕なのにな、みたいな顔をしてジェラルと共に気を抜いて歩いている姿を見ていると、ついよからぬ妄想が出てきてしまいそうだ。アタシは別に腐っては無いのだが、シチュとしてはきっと悪くない。

 思わず指でカメラフレームを作ると、二人を枠に入れてしまう。不思議と似合いそうだ。

 アランがむっとした様子でこちらを見て、ジェラルがきょとんとした表情で枠の中に収まった。いいね、いいよ。


 妙な仕草でうむ、と頷くアタシに、カイトさんが不思議そうな表情をしていたが、幸か不幸か、アタシには見えていなかった。

 

次の更新は来週の土曜です。

作中2週間を早く終わらせないと学園を忘れてしまう! という危機感が日に日に強くなってきます。

次は三連休ですが連チャンはナシです。プロジェクトが炎上しているので三連休かどうかも怪しいところですね(遠い目

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