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まだ見ぬ未来へ駆け抜けて!【改稿版】  作者: 小林汐希
32章 高校最後の夏休み
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126話 今日はお祭りだからね




 あの春の修学旅行で私の身体の事情を知った千景ちゃんの計らいで、整骨院の先生でもある彼女のお父さんが定期的に診てくれてリハビリやアドバイスも担当してくれている。


 千景ちゃんは私でもできる簡単なテーピングを教えてくれたり、先生がお風呂の後にマッサージやアイシングをしてくれたりと協力をしてくれて、少しずつだけど長く歩けるようになってきた。


 走ることも日常生活の範囲で、全力でなければ以前ほど怖くなくなってきた。


 だから学校がない日はいつもバスで15分の珠実園まで、歩きでは2倍の30分を歩いて通うことに決めたの。


 まだ涼しい朝とは言っても、夏休みの時期では全身汗だくになってしまう。


 早めにお家を出て珠実園でシャワーを浴びさせてもらって、着替えをしてからお仕事に入るようにしている。洗濯物はお仕事中に乾いちゃうから、リュックの底に入れて持ち帰れる。




 そして、今日はそんな中でも特別な日だったんだよね。


「おはようございます」


「花菜ちゃんおはよう!」


「今日は天気も大丈夫そうですね」


「その代わり昼間も暑いわよ?」


「ですよねー。晴れるのは夜だけでいいのにです」


 茜音先生や結花先生も朝から園庭にテーブルや荷物を運んだりテントを用意したりと大忙し。



 今夜は横浜市でも夏休み後半に行われる鶴見川の花火大会があるの。


 もともと観光ホテルがあった場所にある珠実園は高台にあって、横浜港から川崎までの夜景が一気に見渡せる。もちろんその景色の中に鶴見川も含まれているから、花火を見るには絶好のスポットなんだよね。


 毎年夏祭りと称して、夕方から児童センターにいつも遊びに来てくれる家族連れや珠実園の卒園生にも園庭を開放するんだって。


 そのための模擬店の準備を朝から進めることになっていたんだ。



 もちろん入所している子どもたちの生活もあるから、それに影響が出ないようにだけど、みんなも毎年楽しみにしていると聞いていた。


 先生たちだけじゃ足りないから、手伝いたいメンバーの立候補を募ったり、先生たちのご家族やいろんな知り合いを総動員してこの準備をするとのこと。一番の戦力は実は卒園生なんだって。私も来年には卒園生組となるけれど、それはそれで面白そうだと思っている。



 今年は珠実園の現役高校生組の一員でもある私もそんな模擬店班をやらせてもらうことにしていた。


 とはいっても、高校生の私たちに刃物や火を扱わせることはないようにと、かき氷の担当を割り当ててくれた。これなら私たちだけでも危ないことはない。調理室にある製氷機のストックを多めに作っておけばいい。


「これが花菜ちゃんだけなら私も何も心配しないで預けちゃうけど、他はそうもいかないじゃない? 来年は分けちゃおうかな?」


 もう結花先生。分かり切っているというか、やっぱりこの数年の人生経験の差は大きいなぁと笑うしかなかったっけ。



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