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まだ見ぬ未来へ駆け抜けて!【改稿版】  作者: 小林汐希
27章 運命のくじ引き
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101話 修学旅行の班分けを渡したのは…




「先生! 本当にこの班分けでいいんですか?」


「逆に異論のある方はいますか? まだ直せるので調整はできますよ」


「いや、それは全然ないんですけれど、ここまで自由にしていいんでしょうか……」


 高校生の最大のイベントのひとつとして修学旅行がある。うちの学校は、2年から3年へは持ち上がりが基本だから、4月頭の春休み中に行われてしまう。そうすれば、授業日数的に響くこともないし、受験モードに水を差すこともないという判断なんだって。


 担任の先生はいろいろな事情で変わってしまうこともあるけれど、この旅行まではそのまま引き継がれるとのこと。



 2年生終盤の学活はそのグループ分けが最大の焦点だったのだけど……。


 普通なら名簿順とか、ある程度の割合で無理に組まされたような班分けがあってもおかしくない。


 でも最初に長谷川先生が提示した《《案》》として配った名簿にはみんな驚いた。


 教室の中でいつも一緒に行動しているメンバーを基準に班分けがされていたから、もめる理由が全く見あたらない。



 人数も多いところもあれば、私なんか千景ちゃんと二人だけだ。本当にいいの?って心配になっちゃう。


 この班分けの原案というか、クラスの交友関係をみんなに内緒で先生に渡したのは……、もちろんこの私。


 冬休みの間に、「せっかくの修学旅行なのだから、教師側から適当に決めたくない」という相談を受けて、思い出せる限りに振り分けた。


 もちろん男女別という条件はあるけれどね。そこは学校行事となる修学旅行ということで「ごめんなさい!」と心の中で手を合わせる。


 同じお題での学活が済んでいる別のクラスでは、班分けにいろいろ不満がでたという話も伝わっていたから、ほぼ原案どおりの班分けに、私を除いた生徒側の方が面食らったというのが今日のみんなの反応というわけ。



「今年の行き先は九州ですから正直あまりパッとしませんよね。沖縄とかもっといい場所があるでしょうが……、そんなこと言ったら歴史の津田先生から怒られますね」


「引率の先生がそれ言っちゃう?!」


「長谷川先生もワルだよなー」


 クラスに笑いが広がる。先生も約1年をかけてすっかりこのクラスに馴染んでいる。


「自由行動のハウステンボスは最後にありますけど、それまでの長崎市内探索も僕個人的にはあまり興味ないと言ったら校長先生に怒られますのでこっちもオフレコでお願いします」


 またクラスの中に笑いが起きる。


「こういう時間って、先生は何してるんですか?」


「本当はチェックポイントなどで見張り役もあるんですが、僕はどこかの班と一緒に動くことになると思います。連絡役は事件が起こる現場にこそ必要ですからね」


 まったく……。そのセリフのドラマとか映画ってずいぶん古いネタだと思うんだけど……。


「先生、うちの班に来てください!」


「えー、ずるい。うちだよ!」


 当然のことながら、そんな声があちこちからあがる。


 やっぱり何だかんだ言いつつ人気なんだろうな。


 私はそんなクラスの騒ぎを受け流しながら、つい先日のバレンタインの日を思い出していた。


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