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するべきこと

すみませんでした!予定掲載と言う形でいつも保存しているのですが、それを失敗してしまいました。

今回から第2章を始めたいと思います。よろしくお願いします。

 「シフォン様、出発のご用意が出来ました」

 「はーい」


 レイスが私を呼びに来た。もう王族じゃないのだから「様」はいらないと言ったのだが、主を呼ぶのにそのようなことはあってはならないと譲らなかった。


 「シフォン様、参りましょう」

 「うん、いこっか」


 レイスに倣ってか、何気なく手荷物を持たせてくれないセレナも「様」付で結局、平民になっても何も変わっていないように思える。


 というか、2人の従者(その内片方は大貴族)を連れた平民って怪しすぎる……


 どうやって不自然さを誤魔化していこうか考えながら、外に出ると…


 「………」

 「こちらにお乗りください」


 見た目から最高級といっても過言でないほど立派な馬車が10台、並んでいた。


 「………レイス?」

 「はい」

 「これは…違うと思う」

 「お気に召しませんでしたか?足りないものがありましたら、すぐにご用意いたします」

 「いや……むしろ多すぎかな…」

 「…申し訳ありません」

 「僕も一緒に頑張る、急いで減らそう」

 「申し訳ありません、すでに時間が押していますので、一度王都を出てからにしましょう」

 「時間?えっ、制限時間があったの?」

 「はい、門の方を時間単位で貸し切っているので遅れるのはあまりよろしくありません」

 「時間!?貸し切り!?」


 迷惑!?


 「わかった、とりあえずそうしよう」

 「申し訳ありません。ではこちらの馬車に」


 僕たちは客用の馬車に乗った。


 中は想像以上に広く、向かい合うように置かれた椅子の分を除いても大の大人が3人横並びに寝ることも出来そうくらいの広さだった。


 そういえば、この馬車だけ4頭の馬で引いていたが、果たして4頭で足りるのだろうか?


 そんな心配とは裏腹に馬車はゆっくりと進み始めた。


 窓がついていたが、レイスに外を覗かないように言われていたため、僕は実際の王都の街並みを見ることはなく、これまで4年間ちょっと過ごした場所を離れた。



 といっても、途中でうつらうつらしてしまい、レイスが起こしてくれた時には草原と森以外、大きな一本道しかない場所で停まっていた。馬車も僕が乗っていたのも含めて2台しかなく、外側の細部の装飾も取り外されていた。


 「あれ、他の馬車は?」

 「他の馬車は別の道を通ってセントオール領へと向かいました」

 「そっか。ごめんね、手伝うって言ったのに寝ちゃって」

 「いえ、元々私の不手際ですので、お気になさる必要はございません」


 レイスはそう言うと別の話へと切り替えた。


 「まだ王都とフォニオン領の丁度中間に位置する場所で、もう少し進むとそこそこ大きな村が見えてくると思います」

 「僕達が向かっているトルバネイル領までどの位?」

 「あそこはご存知の通り、最西下端に位置するためあと1ヶ月と十数日で到着する予定です」

 「…まだまだ、先は長いね」

 「別の場所に向かいますか?」

 「いや、いいよ。そこの領主はレイスの友人なんでしょう?」

 「はい、と申し上げましてもここ1年は音沙汰ないですが」

 「僕もその人に会ってみたいし行ってみよう」

 「わかりました。では、向かいましょう」


 もう、窓を開けても大丈夫だと言ってレイスは外の行者台に腰掛手綱を握った。


 そういえば、もう一つは誰が動かしているのだろう?



 よくあるシーンとして馬車の中がかなり揺れてお尻が痛くなるというのがあるが、良い方に予想を裏切って、ほとんど揺れが無かった。大きな理由としては僕が座っているふかふかな椅子と徹底的な道路整備にあるらしい。曰く、道を整えるだけの単純かつ労働的な仕事があるのだとか。流石にそのような職に就くのは遠慮したい。


 外は草丈が30cmほどのイネ科らしき雑草がだだっ広い草原を覆っていて、遠くには、深々と緑に塗りつぶされた山が見える。むしろ、それしか見えない。そんな車景でも飽きることなく見続けられてしまうのは嬉しいような寂しいような複雑な気持ちになってくる。


 こういうのは感情になるのはあまり好きではない。



 日が沈みかけた頃に村が見えてきて、そこで僕達は一泊することになった。


 村とは言っても王都に近いだけのことはあって、まともな宿泊施設が整っていてその中で上から3番目のグレードの寝床を借りた。1泊するだけなのでどこでも困ることはない。というか、一人一部屋借りてあったのでスペースを持て余している。


 「さて、ここの食堂にでも向かおうかな」


 レイスたちと話し合って、自分は商人の子供でお供を付けて旅をしている、一人前になるまで親の名前を名乗ることは許されていない、という設定で行くことになった。普通の平民とはいかないが、この位で妥協すべきだろう。


 「よ!坊主」

 「あれ、ロウルさん、どうしました?」


 部屋を出ようと思ったらロウルさんが部屋に入ってきた。もう一つの馬車の行者は彼がやっているらしい。「あの執事におど…頼まれたからな。坊主の(王都脱出)計画の途中で放り投げるのもなんだし」ということらしい。


 「いや、坊主に話しておきたいことがあって」

 「?なんですか?」

 「坊主の結末として、刺客を仕向けたアグラド家の当主は公には自ら家督を第一後継者に譲ることとなり世代交代。坊主の下にいた王族は女しかいなかったから元々後継者の資格をもつものもいなくて変化なし。坊主の侍女だった彼女は不問とされたが自ら王宮を出た。そして従者だったあの青年は坊主を護れなかったが、ちゃんと刺客を捕えたということで王都から条件付きで追放ということになった」

 「そ………っ!」


 手を強く握り締めて怒りを抑える。


 「それじゃあ今朝あんなに馬車を用意したのは…」

 「主を護り切れなかったレイステッド・K・セントオールが王都を離れますっていうアピールだろうな」

 「っ………!」

 「あいつは隠しておこうと思っているらしいが、これは坊主の計画の結果で坊主が負わなくてはいけない責任だからな…。それじゃあ、俺は言っておくべきことも言ったし、この村の美食探しにでも行ってくるわ」


 ロウルは部屋を出ようとして、そこで丁度レイスがこちらに来た。


 「あれ、ここで何をしているのですか?」

 「いや、ちょっと坊主とおしゃべりをな」

 「坊主ではなく、シフォン様と呼びなさい」

 「俺は権力には屈しないのさ」


 そんなことを言ってロウルは何処かへと行ってしまった。


 「シフォン様、顔色が優れませんがどうかなさいましたか?まさか、あの不作法な男が何か」

 「いや、彼とは世間話をしただけ。大丈夫。ところでどうしたの?」

 「はい、お食事をご用意が出来ましたのでお運びしてもよろしいかと」

 「わかった。じゃあ…今から持ってきて。3人で食べよう」

 「かしこまりました」


 レイスは一礼して部屋を出ようとする。それを僕は呼び止めた。


 「レイス!」

 「はい」

 「えっと……」


 謝ろうかと思ったがレイスは僕の話を一言一句漏らさずに聞こうと「主」を見ていた。



 ……僕の為にレイスは不名誉を受け入れたんだ


 「レイス」

 「はい」

 「ありがとう」

 「……いえ、私はシフォン様の従者ですから」

主人公「レイス、ありがとう!」

レイス「シフォン様の為なら顔に泥を塗るくらい、喜んで行います!」

ミナ「………」さっ


レイスの前に置かれるバケツに入った泥


主人公・レイス「………」

ミナ(わくわく♪)

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