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綺麗な言葉とその理由

性格はふとした時言葉に出ると思う

その時改めて感じるのだ

この人は綺麗だと

彼は今日昼間から外を歩いていた

理由は特にないのだが

部屋の中にいる事に少し疲れていた


「最近少し涼しくなってきたな」


近くの公園で休む

平日の為

子供より大人とすれ違う事が多かった


「昔はここまで来るのに

もっと時間がかかった気がするが」


子供の時の記憶と照らし合わせる

歩幅が違う事もあるのだろう

なぜ大人になると

昔通った道を歩きたくなるのだろう


「この時間に1人で公園は寂しいよ」


聞き覚えのある声に振り向く


「君も仕事はどうしたんだい?」


あの子がいた

ジャージ姿で買い物袋を持っている

家が近いのだろう


「私のお店は火曜日にお休みなの」


「それは知らなかったよ」


この間連絡先の交換するのを忘れていた

そして少しこの子を忘れていた自分もいる


「連絡先教えてよこの間忘れてたでしょ」


「積極的な女の子に育ちましたね」


彼はおちゃらけたように言葉を返す

話しかけた彼女はふふっと笑いながら

携帯を操作する


「今交換を忘れたらもう会えない気がしたの」


なぜそう思うのだろう

そんな事を聞きたくなった


「また会えると思うよ俺は君の料理が好きだし」


彼女は彼に言う


「今から試作品作ろうと思うの味見お願いできる?」


持っているビニール袋を少し上にあげた

断る理由なんてなかった


「お邪魔しようかな」


彼女は昔と変わらなかった

他の人間とは違う

綺麗な言葉や話し相手に対する態度

全てが綺麗だ


「後これは持つよ」


彼女の持っていた荷物を

彼は自分の手で持つ

女性が持つには少し重いこの荷物

沢山の食材が入っていた


「大人になったね偉い偉い」


彼女は自分より身長が高い彼の頭を撫でた

昔から彼がなにか出来たら彼女は頭を撫でるのだ

不思議と嫌な気持ちではない


「何歳だと思ってるんだ」


彼は笑いながら彼女に言う


「私と同い年でしょ私より大人のふりしないの」


彼女も彼もいい大人だが

彼女の中では時が止まっているのかもしれない


「昔みたいに手は繋いでくれないの?」


彼女は本当に変わらない

見た目は昔より大人びているが


「いい大人が手を繋ぐかな?」


彼がそんな言葉を使うと

彼女は少しムッとした


「手を繋ぐのに年齢は関係ありません」


そう言うと僕の右手を握る

彼女の笑顔は裏表のない

素敵な笑顔だった


「すぐそこに住んでいるから一緒に歩こう」


そう言うと彼女は

長い髪をなびかせながら歩き出す

腰まである手入れされた黒髪

光のある綺麗な目


「普通の男なら君をすぐ好きになるだろうな」


彼女に彼は言う

すぐに返事が返ってきた


「今の言葉は褒め言葉としては0点だよ」


女心は難しい

少し怒っている彼女に戸惑っていると

彼女は続ける


「100点満点の答えは昔と変わらないねだよ」


そうなのだろうか

確かに彼と彼女の関係としては

それが満点なのかもしれない


「そうなのかそれは悪かったよ」


彼女は笑う

綺麗な家の前で立ち止まる


「今は実家を出てここで1人暮し」


鍵を開けると

綺麗な部屋に通された


「ゆっくりしてて料理してくるから」


彼女はキッチンに向かう

彼はソファーに座り

煙草を吸おうとした


「灰皿はそこにあると思うの」


そう言われて気がつく


「君は煙草を吸っていたっけ」


彼女は吸っていなかったはず

記憶の中では1回も見た事がない


「職場の子と試食会をする時に使うのよ

お店よりここが近いの」


彼女は野菜を切りながら

そう答えた


「なるほどなあ」


灰皿の中身は空っぽだったが

彼女の事だ試食会が終わり次第

すぐ捨てているのだろう


彼女は料理をする時

髪の毛を後ろで縛る

ポニーテールというのだったか

そんな事を思いながら

手際よく料理を作る彼女に見とれていた


「感想聞かせてね」


目の前に出てきたのは

食べるのも悩むような綺麗な食事だった

普通に並べるだけではなく

物語があるような配置だ

そんな事を思わせる


「やはり君は天才だね」


彼女は昔言っていた

人の喜ぶ顔が近くでみれるから

料理を学びたいのだと


「味の方も感想欲しいな」


1口食べると

口の中で溶けるような

そして歯も使わなくても食べられる

そんな柔らかさの品だった


「それ付けて食べてみて」


彼女の言う通りの食べ方をしてみる

次はまるで味が変わる


「手品みたいだね」


彼女は笑った


「お店でメニューとして出せるかな?」


「皆驚くと思うよ」


笑顔で答える

彼女の笑顔は中毒性がある

また笑顔が見たいと思ってしまう


食事を終えると

彼女は彼の隣に座る


「ねえ煙草吸ってよ」


とても変なお願いだ


「どうした?」


「君の煙草を吸っている横顔が好きなの」


彼女はやはり変な子だ

そんな事を思い煙草に火をつける

彼女は笑顔だ


「やっぱり君は可愛くてかっこいいね」


そんな事を言う

恥ずかしくなった彼は

彼女の目が見れなかった


「今日はご馳走様また連絡してよ」


「今日は付き合ってくれてありがとうまたね」


彼女の家の前で別れる

彼女は彼が見えなくなるまで見送った

家のドアを閉め部屋に戻り

ソファーに横になる


「やっぱり好きだなあ」


彼女は1人霞む視界で

天井を見上げるのだった

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