保存食
「ここで少し休みましょう」
魔法で降らせた雨でずぶ濡れになった私達。
とっくに霧と雨の降る範囲からは離れているけれど、秋終盤の夜は流石に冷え込み、ずぶ濡れのまま歩くには少々辛い。
魔法で体を温かくするウォームスキンがあるけれど、濡れた服の不快感や、張り付いて動きにくくなっているのはどうしようもない。
このまま無理に歩いたとしても、体力を無駄に消耗しかねないので休憩を提案する。
「そう……ですね。今のうちに体勢を整えておきましょう」
ともえさんがほんの一瞬考えこんだけど、さくやさんを見て休むことを受け入れたようだ。
「テントを立てますので、着替えを済ませてしまいましょう」
「あの……私達着替えなんて……」
「あ、私達の服をお貸しします。しらゆきさんの服なら未だしも、さくやさんのその服は移動に適してませんからね。靴もお貸しします」
「まあガラクにはないデザインだから、かなーり目立つけどね」
話しながらテキパキとテントを組み立て、焚き火の準備をする。
何度も繰り返してきたことだから、私達はもう慣れっこ。
そんな私達をしらゆきさんとさくやさんは物珍しそうにまじまじと見ていた。
「何もない所からそんな大きさの荷物が出てくるだなんて……」
「魔法って便利ですね」
「さ、テントの中に入ってください」
早速立てたテントに中に、濡れ鼠二人を招き入れる。
私も入ってパパっと服を脱ぐ。
「下着までぐっしょり……」
空間収納から出した籠に、脱いだ服を入れて行く。
「お二人も、早く脱いでください。脱いだらこっちの籠にいれてくださいね。ルーリが綺麗にしてくれますから」
「……はい」
一瞬ためらったものの、しらゆきさんはすぐに全裸になる。
「う……うう……。恥ずかしい……です……」
さくやさんは私の視線が気になるようだ、
外に出てもいいんだけれど、どうせ着替えの服を空間収納から出して渡すのは私だから、どちらにしろ裸を見ることになる。
「さくや様、他の方が着替え終わるのを待ってくれていますので……」
「――! そうでした。すぐに脱ぎます」
しらゆきさんに手伝われて、着物をぱぱっと脱ぐ。
「えっと少し小さいと思いますけど……」
温かめの衣装を見繕って二人に渡す。
「あ、着心地がいいですね……」
「うっ。このスカートとやらは、ひらひらしすぎじゃないですか?」
さくやさんはブラウスの着心地が気に入ったようで、しらゆきさんは膝丈のスカートが落ち着かないようだ。
「まー油断してると見えますね」
私がそう言うと、二人はスカートをバッと押さえた。
「しばらくはそれで辛抱してくださいね」
「ありがとうございます」
「何から何まで、本当にすみません」
「……いえいえ。とりあえず外に出ましょう」
テントの外に出て、他の人達と交代する。
「ルーリ、中の籠お願い」
「はーい任されたわ」
テントの外に出ると、しっかりと焚き火と料理ができるよう準備が整えられていた。
急いでいるけれど、軽く何かお腹に入れておきたいし、温かいものが食べたい。
「パンがあればパン粥にするんだけど、ガラクに来てからパンは手に入ってないからどうするか……」
ご飯を炊いている暇も……。
「あ、生米から雑炊をつくるか。出汁とってる暇がないけど昆布水があるから……」
材料を取りだし、手早く作り始める。
「あの……お手伝いしましょうか?」
しらゆきさんがそう申し出てくれるけれど、
「これぐらいすぐにできるので大丈夫ですよ。焚き火で温まっていてください」
「……はい」
調理をしていると、全員の着替えが終わる。
「瑪瑙、手伝うことある?」
「あ、じゃあそこに入れてあるポットでお茶を入れて。みんな体冷えてるだろうから」
「はーい」
私の代わりにルーリがみんなに温かいお茶を入れてくれた。
「お姉ちゃん、お腹すいた。何作ってるの?」
「雑炊だよ。えっと、パン粥のお米版みたいなの」
「おー! 甘いの?」
「ううん。お味噌で味付けするから甘くないよ。でも、美味しいから待っててね?」
「ん!」
煮立てている間に、座って休んでいるみんなを見る。
さくやさんが酷く疲れているのか、しらゆきさんの肩にもたれかかって寝入っているようだった。
土鍋の蓋を開ける。
仕上げに溶いた卵を入れて混ぜ合わせ、刻んだネギをふりかけて……。
「よし、これで……完成。できたよー!」
器に入れてみんなに配る。
「「「「「「いただきまーす!」」」」」」
「いただきます」
「い……いただきます」
「あー美味しいー! 温まるー。え、いくらでも入りそう」
「米と味噌と卵だけでこれほどか。シンプルじゃが、これは美味い」
「美味しいっハルルこれ好き!」
「御替わりは沢山あるから、しっかり食べて温まってね」
「はーい!」
「メノウさんありがとうございます」
みんな美味しそうに食べてくれている。
「……あ、美味しい……」
しらゆきさんもどうやら気に入ってくれたようだ。
「……」
だけど、さくやさんは一切口をつけていなかった。
「食べれませんか?」
「――っ! いえ、あのっ! ……すみません」
スプーンで雑炊を掬い上げ、口元に運ぶ。
だけど、すぐに手がカタカタと震えて、器に戻してしまう。
「さくや様、同じ鍋で作られているので毒の心配は……」
「そ、そうよね?」
……。
無理もないのかもしれない。
ついさっき、自分が飲もうとしていたお茶に毒を仕込まれていたのだ。
見ず知らずの私が作った食べ物など、怖くなって当然だろう。
「さくやさん。ちょっとごめんなさいね?」
「え? ――あっ」
さくやさんの器から雑炊を一口掬って私の口に入れる。
「――あっつ! お水お水」
「はいはい、お水」
「んくっ。ありがとうルーリ。どうです? 大丈夫でしょう?」
私の突然の行動に、眼をぱちくりしていたさくやさん。
だけど――。
「ふっふふふ」
少し笑った後、雑炊を一口食べた。
「美味しいです!」
「! お替わりは沢山ありますから、しっかり食べてくださいね?」
「はい、ありがとうございます」
ともえさん、しらゆきさん、さくやさんの三人には休んでいてもらって、私達はすぐにテントや焚き火を片付ける。
「流石に焚き火の痕跡は残りますね……」
しらゆきさんが不安げに焚き火の跡を見ていた。
「これはじゃな……。リクエファクション!」
サフィーアが焚き火跡に手をかざして、周囲を液化させる。
「炭の液化は無理じゃが、沈めてしまえばいいのじゃよ」
そう言ってサフィーアが拳ほどの石を投げ入れると、ザポンと飛沫を上げて、残った炭や灰などが沈んでいった。
「これで魔法を解けば、元通りじゃ。ほれ、違和感なぞ無いじゃろう?」
「驚いた。魔法ってこんなこともできるのね。それにしても、あなたまだ子供なのに凄いわ」
「ああ、妾はこの中で最年長じゃぞ? まあ見た目はそこのハルルと同じで十歳前後に見えるのじゃろうが、実際は二百を超えておる」
「なるほど、あなた亜人なのね? 長寿の亜人はしってるけれど、見た目が幼いままの亜人って初めてだわ」
「まあ宝石族は珍しいじゃろう。どうじゃ、これなら痕跡はわからんじゃろう?」
「そうですね。これなら追手に気づかれることはないでしょう」
しらゆきさんとともえさんがサフィーアが魔法をかけた場所を確認し、頷いている。
しっかりと痕跡を消して、私達は再び目的の場所へと歩き始めた。
「追手はかかっていると思いますか?」
途中、ルーリがともえさんに聞く。
ともえさんはしばらく考えた後、
「そう思うのが妥当でしょう。第一皇女暗殺なんて大それたことをしたんです。ここで手を引くなんてことはしないでしょう」
「……」
ともえさんの話に、さくやさんは悲しそうな表情を浮かべる。
「気掛かりなのが、霞が一枚岩なのかと言う所です」
「そう言えば墨染の一部も協力しているって言ってましたけど、本当ですか?」
「ええ、静のお頭様がそう言っていたもの。間違いないわ」
「よく聞きだせましたね?」
「元々私はさくや様派なのは皆知っていたからね。助けに行かないように引き留められたのよ。その時に色々と話してくれたわ」
「……えっ!?」
「お頭様を含めて、その時に何人か同胞を殺すことになってしまったわ……」
「それは……。よくご無事で……」
ともえさんの話を聞いて、しらゆきさんは複雑そうな表情を浮かべている。
「皆さんが近くに来てくださっていたから、生きて逃げることが出来たのよ。それに、あなたとさくや様の二人を助けることもできた」
「そうだったんですか」
「そう言えば、皆さんは私の後を尾行していたって事ですよね?」
「ん。ともえの様子が変だったから」
「……あははは、私も未熟だったんですね……」
ともえさんは一瞬悲しそうな表情を浮かべるけれど、すぐにどこか晴れ晴れとした表情に変わった。
「ともえ?」
「いえ、やっぱり所詮経験が伴っていない、上っ面だけの暗部の組織だったんだなって思いまして。改めて、さくや様の桜花衆解体を支持して良かったと思っているんです」
晴れ晴れとした表情を浮かべたともえさんを不思議に思ったのだろうハルルに、ともえさんは今の心境をはっきりと言って見せた。
「……どうでしょうか? 結局は反対され、暗殺されそうになってしまいました。私がこれまで育んできたものが、全部無駄になってしまいました」
さくやさんはそう言って唇を噛み、俯いてしまった。
「……さくやはもう諦めたの?」
「――っ!?」
ハルルの一言に、さくやさんは眼を見開いて硬直する。
相変わらずこの子は、物事の本質を良く見ているというか、容赦がないと言うか……。
「私は……。もう……私には何の力も、権限も……ありません……。追手から逃れるなんて私一人では……」
「……」
しどろもどろになって狼狽えているさくやさんを、ハルルは何も言わずにじっと目を見つめていた。
「しっ仕方ないじゃないですか! 私一人では何にもできないんです! 逃げることも! まして戦う事も!」
さくやさんの語気は次第に荒くなり、涙交じりに私達にそう訴えた。
「……力があれば、戦うんですか?」
ともえさんがさくやさんの瞳をじっと見つめて言う。
「それは……勿論です!」
少し躊躇はしているようだけれど、それでも瞳は強く輝いていた。
「弟君と対峙することになってもですか?」
「――っ。……とうやが次期天皇となれば、この国は数百年以来の乱世となるでしょう。私はそんな国は嫌です! ただの姉弟喧嘩ならば負けたとて、それで命を落としたとて、許してあげましょう。ですが、国の行く末を賭けた殺し合いならば、是非もありません!」
「……」
はっきりと戦うと言ってのけたさくやさんを、リステルはどこか悲しそうに見ている。
リステルはハルモニカ王国の王族。
本名はクリスティリア・グラツィオーソ・ハルモニカ。
とある事件がきっかけでリステルは名前を捨て、逃げた。
さくやさんのように戦おうとしなかった。
リステルの事だ。
きっと自身と比べて、辛くなってしまったに違いない。
そっとリステルの手に指を絡ませる。
「瑪瑙?」
不思議そうな表情を私に向けるリステルに、
「リステルとルーリがいてくれたから、今の私がいるんだよ?」
「……うん。そうだね。ありがとう、瑪瑙」
「どういたしまして」
未だに私がどうしてこの異世界に放り出されたのか、理由は定かではない。
それでも……。
目覚めた遺跡で最初に出会ったのが、リステルとルーリで、助けてくれた人が、リステルとルーリで良かったと、心から思っている。
「どうするかは、ともえのいう霞とやらの拠点に行ってからで良いじゃろう。今この疲弊した状態で考えても、碌な案なぞ浮かばんよ」
「……そう……ですね……。皆さんに救っていただいたこの命。無駄にしたくはありません」
流石に四日五晩歩き通すわけにもいかず、特にさくやさんは旅慣れていない事もあり、予定よりペースは少し遅くなった。
食事に関しても近くの街に補給をしに入るわけにもいかず、少しずつ質素になっていく。
「久しぶりにこの干し肉食べたけど、かったいしょっぱい!」
「美味しくない」
別に食べ物がなくなったわけではなく、ハルモニカ王国とガラク皇国の保存食の違いの話になって、そういえばまだあったなと思い出しついでにみんなに渡したのだ。
「歯が……折れそう……」
「塩味がきついですね……」
「私はちょっと噛み切れそうにないです……」
元々ハルモニカ王国でも不人気だった干し肉だけれど、やっぱりガラク皇国の人達からしても美味しくないらしい。
「私が持っている物を食べてみませんか?」
「しらゆき!? 持っていたならどうして出さないんですか!?」
「そのっ! ほんの少ししかないのでおかずにすらならなくてですね……」
「そうね、ちょっとだけ渡されてもメノウさんも困るわよね」
「はい、中々渡し辛くて……」
しらゆきさんから渡されたのは、白くて丸い塊と、干したお魚。
「あっお餅!」
「そうです! よくご存知ですね?」
とりあえず、おもちは少ししかないので小さく切って、干した魚と共に網に乗せ焚き火であぶる。
「美味しいのかしら?」
「ガラクの保存食、楽しみ」
ルーリもハルルも興味津々だ。
その横で、私はせっせと準備をする。
「わっ!? えっ!? なにこれ!?」
「おっおお!? これは愉快じゃのう!」
あえて一つ切らずにそのまま焼いていたお餅がぷくっと膨らんだ。
他の小さく切ったお餅も膨らみかけはするんだけれど、やっぱりある程度大きさがあった方が綺麗に膨らむ。
まずは味をつけずにそのまま……。
「……干し肉よりずっとこっちのほうがいいわ」
「ハルルもお餅の方が好き!」
小さくて物足りないけれど、噛めばしっかりとお米の風味と甘味を感じ、干し肉なんかよりずっと美味しかった。
そして、私がコソコソと作っていたのは砂糖醤油。
「これを……刷毛でちょちょっと……。はい食べてみて」
「瑪瑙がまた何かしると思ったら……んっ!? 甘じょっぱい! 美味しい!」
「メノウさん、通ですね? 砂糖醤油ですか」
「私、砂糖醤油なんて初めて食べました。お腹いっぱい食べたい……」
「ハルルももっと食べたい……」
さくやさんとハルルがひもじそうにしていた。
魚の干物も、焼けば香りがふわりと立ち、脂が滴り実に食欲をそそる。
「保存食はガラクを見習ってほしいのう……」
「そうね……」
保存食はガラクが圧倒的に美味しかった……。
「……磯辺焼き食べたいなぁ」
「いそべやき? 聞いたことないですね?」
何んとなしに呟いた言葉をともえさんに聞かれてしまった。
「あれ? 名前が違うのかな? 焼いたお餅に醤油を縫って、海苔を巻いたものですね」
「あー海苔巻きの事ですね。特に名称がある訳じゃないんですが、私の周りでは海苔巻きって呼んでますね。他だと、醤油餅って呼んでる人を見たことあります」
「……美味しそう」
「お餅もっと食べたかったなぁ」
昼食後のちょっとした雑談だったのだけれど、既に小腹が空いているようだ。
メニューは確かに若干質素になってしまったけど、量はそこまで減っていない。
ただ、やっぱりずっと歩き詰めな事もあって、どうしても体の疲れがちゃんと取れていない気がする。
要するに、味の濃いものがみんな食べたくなってきているのだ。
「何か……お腹に溜まって、美味しい食べ物……うーん」
そこでふと今食べたお餅と、空間収納にジャガイモとサツマイモがあるのを思い出してピンときた。
「いも餅!」
いも餅は北海道の郷土料理。
ジャガイモやサツマイモを蒸して潰して片栗粉を混ぜて作る食べ物。
簡単にできる割に食べ応えもあって、アレンジも結構きく。
チーズは流石にないけれど、タレを色々作って塗って食べれば美味しい……。
「いも餅……ですか? また聞いたことのない食べ物ですね」
さくやさんが、大きな声をあげた私をきょとんと見ている。
「えっとね……」
簡単に説明をすると、みんな想像したのかお腹をさすっている。
「今すぐ作る?」
ハルルは私の腕に噛みつきそうな勢いで私に寄ってくる。
「今日はだめ。山の麓に着いたら作るよ。山を登るのに体力いるからね」
「……はい」
一瞬でしょぼんとしてしまったハルルの頭を撫でる。
「もうちょっと我慢してね」
元々お肉はなかったし、さっぱりした料理が続いている。
追手が来ると予想してかなり急いで移動しているけれど、それにも限界がある。
追い掛けられている思うと、体力だけじゃなくて精神も擦り減ってきてしまう。
実際さくやさんは旅慣れていない事もあるのだろうけれど、顔色が少しずつ悪くなって疲労が見え隠れしている。
気丈には振舞っているのだろうけれど……。
「この調子なら明日の夜には麓に到着します。そこで一度休んで、拠点のある中腹まで一気に登ります。さくや様、もう少しだけ頑張ってください」
「はい!」
ともえさんの計画では五日目には霞の隠れ家に到着している予定だったらしいけれど、今日がもう五日目。
ともえさんの表情にも、どこか焦りを感じるようになった。
六日目の夜、私達は追手と遭遇することもなく、無事に山の麓へと到着した。
かなり質素になった夕食も終わり、いつもなら寛ぎタイムに入るのだけれど、みんながソワソワして私を見ていた。
「それじゃあいも餅作り始めるかー!」
ジャガイモ、サツマイモを皮を剥いて適当に切って鍋に放り込んで茹でる。
茹で上がった二つをそれぞれ水気をきり、ボウルに移し綿棒でしっかりと潰す。
つぶしたジャガイモとサツマイモに片栗粉と塩を入れて、なじむまでしっかりと混ぜこねる。
しっかりとこね終わったら、円柱状に形を整えて輪切りにする。
フライパンにごま油を敷き、輪切りにした生地を蓋をして焼く。
しっかりと火が通ったら完成。
「ずいぶん簡単にできましたね?」
「このまま食べてもいいけど、やっぱりいろいろしないとね!」
水、醤油、砂糖、片栗粉を混ぜた調味液をフライパンで火を入れる。
すぐに醤油のいい香りがあたりに漂ってくる。
「わー良い匂い!」
少し煮たたせるととろみがついてくる。
これに、ジャガイモで作った方のいも餅を入れてしっかりと絡める。
「はい、みたらしいも餅!」
まだまだ作る!
味噌と味醂を混ぜていも餅に塗り、焚き火で炙る。
砂糖醤油を塗って軽く焚き火で炙って、海苔を巻く。
「味噌いも餅と磯部いも餅! 完成!」
さっそくみんなで食べる。
明日の朝食と昼食分もあるから全部は食べないけどね。
「んっ! お餅ほどじゃないけど、もちもちほくほくしてる!」
「このみたらしいも餅、私凄く好き!」
「サツマイモの方は、このままでもすごく美味しい。甘いものが食べれて幸せだわ」
「お前さん、相変わらずよく覚えておるものじゃのう。こういう派手さはないが滋味で腹に溜まる料理、妾は好きじゃよ」
「美味しい、美味しい!」
よっぽど甘い物に飢えていたのか、みんな夢中になって食べている。
ともえさんもしらゆきさんも、とても嬉しそうに食べてくれていた。
さくやさんはと言うと、お腹いっぱいになったのかウトウトと舟を漕ぎ始め、すぐに寝入ってしまった。
無理もない。
この中で一番体力的にも精神的にも疲れているだろうから。
静の隠れ家についたら、少しはゆっくり休めるだろう。
あと少しだから、私ももうちょっと頑張ろう……。




