一層
この国には常に不変の価値観がある
食うか食われるか
私は一ノ瀬リョウ。
26
茅野商社の役員を勤めている。
いわゆるエリート
仕事はそつなくこなし、同僚との関係も良好。いや、あれは私に取り入っているだけだが。
終業後は後輩や新人の女を騙して侍らせ性接待。
役得というものだ。私に取り入れば相応に昇進するからな。
血筋、学歴、収入、全てがエリートな私にのみ許された特権。
休日前の夜には女を肴に酒を飲む。
朝までには家に帰り、昼頃まで寝る。
起きる頃には細君が飯と風呂を用意しているので身支度をし、適当に月の生活費を渡しておく。
まさにエリート
まさに強者!社会的強者!!
それにこの会社は順調だ。業績も右肩上がりだし、同業他社は右肩下がり。
要は生存戦略により、我々の会社は勝ったのだ。
法整備もまともにできないこの国で、私は無敵。
あの会社は未婚の男が多かったからだ。
女をあてがえばすぐに吐いてくれる。
「最高の人せ…
パチパチと蛍光灯の明滅音が聞こえ
ドブネズミと腐ったピザをミキサーでかき混ぜ掻き出し皿に載せ3日放置したような、吐き気を催す匂いが辺りから走る
「頭がガンガンするし、全身の筋肉が悲鳴をあげている…飲みすぎたか…?。
「おいっ起きろ。仕事の時間だ。」
「う〜ん…」
バシンッ
「は?」
「オイオメエいつまで寝てんだよオメエ。工期に間に合わねえとヤベエぞ?オイ」
「工期…?今お前…私に何を…?」
ちぢれた小汚いリーゼントの輩のようなやつ。阿呆みたいな馬面に話しかけられた。
しかもコイツ、年は25ほどに見えるが服のセンスが壊滅的だ。
小学生のような英字TとヤリラみたいなGパンを着ている
落ち着け、私は勝利者だ…こんなやつ理性的に…
「私は労働者ではなく管理者だ。貴様まじゃりもんだろ。これを委員会に報告したら」
バシィィィンッッッボゴッ
「俺に指図しやがってよぉ。いけすかねぇヤロウだなオメエ。純血か?よぉ。結局テメェも落ちてんじゃねぇか。この、裏S区によ。」
表情は何とか堪えたが、頬は無情にも赤く腫れる
「クッ...裏S区…?どこだ?そこ…」
「あん?オメエ、ンなことも…そうかwオメエ純血だもんなwお高く止まってる純血様は知りもしないってこった。」
「ここはよあれだ。何つーか...奴隷みてーに働かされる場所だな。」
「違う。抽象的なことじゃなく、具体的な地名だ。」
「ん〜どこなんだろなぁ...俺ぁここから出たことねぇからよくわっかんねぇけどよ、みんなは裏S裏S言ってんぜ」
裏S...S...か。Sのつく地名ならクソほどあるが...
「まぁんなこと気にすんなよぉ、それより仕事の時間だ。早く行かねぇとオメエも叱られっぞ。」
「あぁ...わかったよ...」
何が何だかまるでわからないが、まずはこいつに着いて行ってみるか。コイツはみるからにバカだし昔から住んでいるのなら利用価値がある...




