第十八話 説得 リーシア
町と町の間を旅している間、道中は野宿になる。
全員で寝てしまうとモンスターの襲撃に対応できないので必ず二人は起きているのだが、今日は俺とリーシアの当番の日だった。
リーシアはすぐにエッチなハプニングを起こすが、俺もいい加減パターンを把握していた。それはリーシア自身が動かなければハプニングはほとんど起きたことがないということだ。見張りならほとんど動かないから、ちょうどいい機会だ。
俺はまずリーシアを説得することにした。
「アリッサの怪我、本人は問題ないと言っているが、実際のところどうなんだ?」
「強がりだと思います。まだ相当痛むハズです。このまま治療を続けても完治には10日近くかかるでしょう。」
「リーシアの回復魔法を用いてもか・・・。かなりの深手だったようだな。」
「はい・・・。」
しばらく無言の時が流れる。
リーシアはすぐに治せないことに少なからず責任を感じているようだ。
「・・・今回のことを受け、俺は一つ考えたことがある。」
「なんでしょう?」
「これから先、敵の攻撃は激しくなっていくだろう。もう自分の身を自分で守れない者を連れていくことはできない。・・・ドヤネンは・・・、もう無理だろう。」
「それって・・・。」
「ドヤネンにはこのパーティーを抜けてもらうべきだと、俺は考えている。」
「そんな・・・。」
「今回アリッサが負傷したのはドヤネンを庇ったからだ。もしアリッサが動いてくれなければドヤネンは死んでいたかも知れん。・・・気持ちはよくわかる。ドヤネンがいなくなるのは俺だって辛い。身を引き裂かれるような思いだ。だが、俺は真の意味であいつを失うことが怖いのだ。」
俺は胸の内を正直に打ち明けた。この期に及んでの小細工は意味を成さない。真摯に伝えることこそ近道だと考えたからだ。
「それは・・・。確かに。一理あるかも知れませんが・・・。」
「ドヤネン追放、同意してくれるか?」
「皆さんはどう言っているのですか?」
「皆にはまだ聞いていない。」
「私が・・・、そうですか・・・。・・・私が一人目・・・。では他の皆が同意するようなら、私もその考えに従いましょう。もし何か協力が必要なら言ってください。」
何?思っていたより話が早い。というか早すぎる。まさかこんな簡単に同意を得れるとは。
嬉しい誤算ではあるが。
「ありがとう。正直なところ同意してもらうのは難しいと覚悟していたから、わかってもらえて嬉しいよ。」
「それは・・・。私も、テスタスさんと同じ気持ちですから。・・・あの攻撃、受けたのがアリッサさんだったからよかったものの、私たちでは腕を失っていたでしょう。ドヤネンさんが抜けるというのは悲しいですが、感情に甘えて犠牲を出しては悔やんでも悔やみきれませんから。」
何?そんなに凄い攻撃だったのか・・・。
名も覚えていないが、かなりの強者だったのだな、あのナントカという奴は。
リーシアの同意を得ることにあっさりと成功した。
思ったより簡単だったのは、やはりエッチなハプニングを起こさずに済んだからだろう。魅力的な肉体を持ってドヤネンにエッチなハプニングを起こしている時、俺は心の内で彼女の事を痴女と罵ってしまったがそれは撤回しよう。
しかし、皆薄々と感じていたのだろうな。人間性においては比類なき聖人であるドヤネンも、こと戦闘においては足手まといだという現実を。
もうすぐ神聖騎士団のいる国に着く。
後の皆はそこでの説得になるだろう。到着前に一人同意を得られたのは僥倖だった。
次は、誰にするか。
アリッサは気が重い。ジャスティーンには皆の総意として伝えるべきだ。
ということは次はノコだな。
・・・となると、あのことに触れないわけにはいかない。気が重いが、仕方がない。
今まで不誠実にも先送りにして誤魔化していたツケだ。自業自得だ。




