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夜明けのレシピ

最新エピソード掲載日:2026/06/23
海が見える坂道の途中に、深夜二時から早朝八時までだけ明かりを灯す小さな食堂がある。名前は、朝星食堂。

店主の佐伯凪は、都会の星付きレストランで心を擦り減らし、故郷へ戻った元料理人。彼は客の顔色や声の揺れに合わせ、「過去を煮詰めるのではなく、一番良いところだけを掬い取る」料理を作る。

ある夜勤明け、新米看護師の藤代湊が店を訪れる。母が倒れた朝に嗅いだ「煮詰まった味噌汁の匂い」がトラウマとなり、朝食を怖がっていた湊は、凪の透明な一番出汁に触れ、少しずつ朝を取り戻していく。

亡き祖母の味を探す少年ハル、厳しさの奥に孤独を抱える先輩看護師・沙耶、町を支えるタエさんと源造、家庭に悩む少年・陸、そして凪の過去を知るライバル・須藤。朝星食堂に集う人々は、湯気の向こうで傷をほどき、新しい一歩を踏み出していく。

やがてその温もりは、ハルと陸へ受け継がれ、夕暮れの食堂「宵星キッチン はるのりく」へと繋がっていく。これは、朝食が人を再生させ、世代を越えて誰かの夜明けを照らし続ける物語。
第一部 夜明け前の食堂
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