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第5話 小さなこのパーツは集めないとダメな気がする。



 光って浮かび上がるフレーバーテキストから出てきた宝箱からの中身。

 おもちゃのロボと思われるパーツ。

 これは集めないとダメな気がする。

 せっかくうちの敷地にできたダンジョンだし。

 ウィル兄さんがいうところの、五層の小さなダンジョンだっていうし。

 でも、いつ潜ろう?

 やっぱり牛の放牧の時間かな。


 ウィル兄さんに抱っこされて、マリアお姉さんとボスと一緒にダンジョンから出てくると、お兄さんお姉さん、お婆ちゃん、あと牛達がダンジョンの入口の柵のところに集まっていた。

 みんな僕とボスを心配してくれてたみたいだ。


「ジャック――!」

「よかった、大丈夫だったか?」

「ボス、俺っちが柵を作った意味ないべ?」

「ジャック、おいで」


 最後にお婆ちゃんが僕に手をのばす。ウィル兄さんは僕を下ろして、お婆ちゃんの方へ行くように背中を押した。


「お婆ちゃん」


 叱られるかなと思って俯いていたら、しわしわの手が僕の頬を包む。


「怪我はしなかったかい?」

「うん」

「声をあげたのはえらいよ、でも、ウィルが行くまで待ってないとダメだろ?」

「はい……ごめんなさい」

「ボスも大事だけど、お前も、大事なんだよ」


 お婆ちゃんはそういって、僕を抱きしめる。

 前世なら、こういった場合、頭ごなしに叱られて、ぶん殴られた……。


「おなかすいたろ? デイジーとマリアが夕飯の準備してくれてたんだよ」


 僕の無事を確認して、優しく諭すなんてこと、されたことはなかった。

 五歳の子供になった僕は、お婆ちゃんにしがみつく。


「ごめんなさい」


 その様子を見たウィル兄さんはボスに牛達を牛舎に誘導させようとしたけど、ボスは牛達に舐められていた。

 物理的に。

 ボスはさすがにその状態から逃れたかったらしく、いつものように吠える。

 そのボスに追い立てられるように牛達は牛舎へ向かっていく。


「なんか、牛の様子、おかしくない?」


 ボスとは仲良しとは言わないけれど、ボスの傍に近づいて舐めるとかしないのに。

 仔牛が僕の傍に近づいて、僕の手を舐めようとする。

 そしてまた別の仔牛がマリアお姉さんに近づく。


「え?」


 マリアお姉さんもびっくりして、デイジーお姉さんを盾にするけれど、仔牛はマリアお姉さんに寄っていく。


「水かもな」


 ウィル兄さんがそう言う。

 そうだ、ボスが戻るように、水を汲んでた。

 だってあんまり美味しそうに飲んでるから……、美味しかったけどあのお水。


「これは早目に冒険者ギルドに連絡入れた方がいいか」

「何かあったのか? 俺とウィルが潜った時は何もなかっただろ?」

 アーサー兄さんが小首を傾げる。

「隠し部屋がでてきた」

 ウィル兄さんの言葉に、アーサー兄さんは顔をしかめる。

「出来たばっかのダンジョンはどうなるかわからないからな」

「そうだな……ステラ婆ちゃんもジャックもいるから……」


「ダンジョンおおきくなったら、おうちのほうはどうなっちゃうの? せっかくユジン兄さんがなおしてくれるのに」


 僕がそう尋ねるとアーサー兄さんが僕の頭を撫でる。


「ジャックは賢いな~そういう心配もするのか~優しいな~ダンジョンはね、別に土地がどうこうってわけじゃないんだよ。異空間だからねダンジョン自体は」

「入口が広がったら?」

「大きく入口が広がっても、家にまでは届かないさ。ただ……そうなると、深い階層を作り始めるからな……ウィルが言うように、冒険者ギルドに正式な依頼を出した方がいいだろうな……なんだ、ジャック、手をぎゅーってして」


 アーサー兄さんがぎゅーって握りしめたままの僕の手をとる。


「たからものなの、文字がぴかーって光って、宝箱になって、そこに入ってたの。ウィル兄さんはゴミ? とか言うけど、宝箱に入ってたから、たからものなの」

「へ~」

「僕、これを集めるの」

「え?」

「このダンジョンに残りがあるの。集めるの。集めて、くっつけるの。そしたら何かが完成するの」


 しゃがみこんで僕の手をとっていたアーサー兄さんがウィル兄さんを見上げる。


「ジャックが手にしてるそれがなんなのかわからないけど、その件もあるから、やっぱりな」

「……ジャック……その手の中にあるたからもの見せて、大丈夫、見るだけだから」


 アーサー兄さんにそういわれて、僕はそうっと、手のひらを開いて、握っていたものを見せる。


「……アーサー兄さん……これ何かわかる?」

「……ユジン、わかるか?」


 アーサー兄さんの横から、ユジン兄さんが顔を覗かせて、僕の手のひらのパーツを見る。


「わっかんねえなあ……でも、キレイだな~ジャックが宝物と言い張るの、俺っちはわかるよ~素材ミスリルだろ~」


「ユジン兄さん! わかる!?」


「部品だっていうのはなあ~これは集めんとな~」


 ユジン兄さんは何でできているのかわかるんだ!

 やっぱり、職人さんだから、いろんな建築素材を見いてるからだよね?


「僕、集めたいの! ダンジョンにある残りの集めて、完成させないとダメなの!」


 だってフレーバーテキストには時空神の祝福ってあったんだもん。


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