↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
3/27

第3話 ボスがダンジョンに入っちゃった。



 トントントンと、軽快な木を打ち付ける音が放牧場に響く。

 三男ポジションのユジン兄さんが僕が気にしたダンジョンの周りに柵を作ってくれたところだ。


「おーし、こんなもんだろ」


 おお~すごーい! 早ーい。

 ちゃっちゃと柵とか作れちゃうんだ。ていうかユジン兄さん手際いい~。


「俺っちはサンクレルに勤め先があるから、牛の世話とかできないからな~」

「ユジン兄さん、さくつくるの、はやい!」


 小さい手でぱちぱちと拍手してそう言うと、ユジン兄さんは照れた。


「そうかあ~? ま~俺っちの取柄といえば、木工スキルがめちゃ高いってことだからよ、牛の面倒とかも見れないし……こういう牧場の家畜は最後はやっぱ食肉になっていくじゃん? それを思うとさあ、なんかなあ切なくてさあ、ガキの時はいちいち泣くもんだから爺さんも「お前、向いてねえ」ってさあ」


 ユジン兄さんは優しいんだな。

 でも、ユジン兄さんだけじゃなくて、ここの人はみんな優しい。


「でも、あれなんだろ? ボスも、牛も、このダンジョンに入ろうとするんだって?」

「うん」


 そうなのだ。放牧の時に見ると、ダンジョンの周囲に牛が集まってくるんだよね。

 それを見たウィル兄さんとアーサー兄さんが柵を作るかって話していたら、ユジン兄さんが「なんだよ~そんなの、俺っちがやるよ~。なんて言っても俺っち本職よ?」っていってくれて、今日はユジン兄さんのお仕事の現場がこのヴァイデドルフに近かったから、現場から直帰してきたんだ。

 なので帰宅してすぐに、柵を作ってくれたんだけど、今は太陽が傾き初めて、ほんのり空はオレンジ色だった。

 前世じゃ、空の色がキレイだとかしみじみ思うこともなかったのに……。

 異世界転生の定番はチートハーレムなのに、僕は小さな子供で、今のところ何の力もない。

 それどころかお爺さんに命がけで守ってもらったぐらいに、なんの力もないんだ。

 せめて、家族の役にたてるようになりたいな。


「ユジン~!」


 デイジーお姉さんが声をかける。


「決まったよ、2番目の間取りの図案で改装してだってー! おばあちゃんもいいよって!」

「だよな~やっぱあるもの使わねえとさあ~」


 お爺ちゃんが亡くなって、僕とお婆ちゃんだけになったお家に、いままでこの家にお世話になったお兄さんとお姉さんが戻ってきた。

 一気に大人が5人増えたから、僕が住んでる家の横に、倉庫っていうか納屋みたいな建物がある。

 これは元々、お爺ちゃんのお爺ちゃんが住んでた家なんだって。

 ユジンお兄さんがそこを改装してくれることになって、お兄さん達が住む話になったんだ。

 今のところ、新しいお家が、改装? 増築? するまでは、今、僕とお婆ちゃんがいるお家にお姉さんたちは一人一部屋なんだけど、お兄さんは三人で一部屋とか……なので、現在、代わりばんこで、テントで寝てる……。

 そういうこと聞くと冒険者だなあって思った……。

 そしてお兄さんたちの私物はアイテムバッグに突っ込んでるとか……。

 異世界だなあ……。

 新しいお家は、その家屋を改装増築して、外廊下とかつけて、今の家と廊下でつながる形にするみたい。

 リビングやキッチンなんかも新しい感じになるんだって。

 お婆ちゃんはそこまでしなくていいって言ってたけど、お兄さんやお姉さん達は、養父養母をやってくれたお婆ちゃんとお爺ちゃんの為に、いろいろ貯金してて、「今それを使う時!」なんて言ってる。


「ボス、ユジン兄さんがお家の方へ行くから、もどろ」


 僕がそう言うと、いつものなら、言うことをきいてくれるボスはフンフンと鼻を鳴らしてダンジョン入口に入ろうと、柵の下の方をかなり強引に潜り抜けてしまった。

 ユジン兄さん……ボスはすごいよ、下を潜ったよ。

 僕もボスの真似をして、柵を潜る。


「だれか~ボスが~ダンジョンにもぐっちゃうよおー!」


 一応声を上げてみる。ユジン兄さんが家にいる他のお兄さんとお姉さんにも知らせてくれて、僕を見て慌てて、マリア姉さんとウィル兄さんがやってくる。

 でもボスがダンジョンの中に入っていく方が速い。

 仕方ない。

 僕が止めないと。

 五歳児と大型の成犬だとパワーはどっちがあるだろうか。

 でも、止められないまでも、ボスは守らないと。

 だって、ボスは、はっきりいって、五歳児の僕よりも、この牧場の運営に大きな役割を担っているんだから。ダンジョンに潜って、モンスターに襲われて死んじゃったらやだ!


「待って、ボス、ぼくも行くから!」


 僕の言葉を理解したのか、ボスはフリフリと尻尾を振って、僕が階段を下りていくのを待ってくれた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。