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20話 そして、僕らは伝説に……?

 どういうことですか?

 とは、僕が一番聞きたい話だった。


 そう、僕はリオスターと共に、ドラゴンを倒した英雄として称えられてしまったのだ。


 嘘でしょ誰か嘘だって言ってよお願い。

 そうやって必死に思ったけど、三日三晩続いている喜びの宴はまだ終わらなくて、

 酒を飲まされ続けた僕は何回も大変な目に遭った。


 というか、もう今夜で宴が五日目に突入したけど、本当に終わってない。

 リオスターは裸で舞い踊っているし、すごくえっちな格好の女の人たちもくるくる回っている。

 あの人何なの裸がデフォなの。


 あああああリオスターのリオスターが、ぶらんぶらんしてる。ああああ誰か隠してあげて。


「何をしているのリオスター!」


 女剣士ダリルがリオスターの様子に気が付いて、悲鳴じみた声を上げた。

 脱ぎ散らかされた服を掻き集めて確保に向かう彼女は、なんというか、その、もはやオカンだった。


「やめろ! やめてくれ!」

「やめてほしいのはこっちだよもうっ、服を着て!」

「いいやっ、服などいらない! ありのままの姿でいたいんだ!」

「程度があるでしょうが!!」


 あれは素面なのか酔っているのか。

 パーティをクビになった当日にマッパになったリオスターを知っている僕には、いまいち判断がつかなかった。


 そう。僕はパーティをクビになり、それなのに勇者リオスターがついてきてしまって、今ではこの有様だ。

 勇者であるリオスターをパーティに引っ張り戻そうと、ダリルと、戦士のケビンが宴に参加している。

 が、もうリオスターは戻れないところにいる気がする。色々と。


 ああああ地団駄を踏むな踏むな踏むな、リオスターのリオスターがぶるんぶるんしてる!!


 何度か服を着せる着ないという攻防戦を繰り広げたあと、二人はダンスの輪から離れた。


「エルドーッ、助けてくれ!!」


 こっち来んな!

 と思ったけど言えるはずがなくて、僕はフルチンリオスターの盾になるしかなかった。


「エルド! あんたそこ退きな!」

「ええっ、無茶言わないでよ」

「そうだぞ、ダリル! エルドの動きの鈍さは知っているだろう!?」

「アンタの素早さが異常なんだよ! ゴキブリかアンタは!」

「いいや違うね!! ゴキブリと一緒にしないでくれ! 俺はもっと早い!」

「ゴキブリに張り合うんじゃないよ! あーもうっ、一枚! もうせめて一枚でいいから着な!」


 僕は軽くディスられつつ、リオスターはゴキブリ扱いになりつつ、騒がしさが続く。

 ケビンは少し離れた位置で僕らを眺めているが、もう諦めた様子でひたすら酒を飲んでいた。


 僕をパーティから追い出した聖女アーリィは、ここにはいない。

 どこにいるのかは聞いていないけど、いなくて正解だとは思う。

 勇者であるリオスターがパーティに戻らなければ旅を進められない、との主張は曲げていないらしい。


「エルド!」

「はい?」


 元気な大声に呼ばれて振り返ると、服を着たリオスターがいた。

 一枚だけ。

 譲歩の一枚だけ。

 一枚のシャツだけ。


 下はフルチンのままだった。


 完全にチョイスミスでしかない。


「さあ!」

「はい?」

「さあ! エルド、君もだ!」

「はい??」

「俺たちはまだまだこれから、どんどん人々の役に立ち、苦楽を共にするからな!」

「屈辱と羞恥を共にする必要はないですよね!?」

「はっはっはっ、恥ずかしがることはないぞーっ、人はみな裸で生まれてきたのだから!!」


 そう主張する勇者によって、僕は身ぐるみはがされた。


 まるでパーティを追い出された日のように。

 こうして勇者だったリオスターはパーティに戻ることもなく、クビになった僕と共に冒険を続ける気でいる。

 そのうち、勇者と共に旅をすることが信託だった、という解釈のもと、ダリルとケビンも僕らに合流することになったが、それはまだまだ先の話だった。

ずーっと放置しておくのも良くないと判断したので一旦締めました。

読んでくださった方々、ブクマしてくださった方々、ありがとうございました。

アホなノリで突き進みましたが、また続きが生まれましたら、そのときはお付き合いくださると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 勢い100%のアホ勇者の珍道中は読んでいて飽きないものでした。続きも期待しています。
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