第23話 ムハード平原の闘い
2037.6.4
リベールニア共和国
ムハード平原
09:55
ここリベールニア共和国にあるムハード平原はアーカイム王国とリベールニア共和国の丁度真ん中にある国境地帯である。まだ自衛隊は展開中な為、参戦していないが打ち上げている情報収集衛星からのデータ(書類)をNMRANA 各国に通知しているのである。
その為レムリア共和国軍の動きは限定的ながら判明しているのである。その為リベールニア共和国陸軍はムハード平原に防衛陣地を形成してレムリア共和国を迎え撃とうとしていた。
「日本からの情報によりますと後4時間ほどでレムリア共和国軍に発見されるとの事です。」
1人の軍人が日本大使館から提供された情報を作戦司令部に伝える。
「そうか、敵は6個師団の9万人、こちらは8個師団の12万人か、数では上回っているが、なんとも言えんな。」
「日本からの情報によりますと先に敵航空機部隊が爆撃に来るそうです。」
「果たして75mm対空砲20基と応援の空軍でどれだけ爆撃を食い止められるか、」
「あの兵器さえ見つからなければ敵に大打撃を与えられます。」
リベールニア陸軍司令官のノスタル司令は日本の書店に売ってあった戦闘時の防衛策としてある兵器とあるものを用意していたのである。
「俺達の役割はレムリア共和国軍を遅らせる事だ、あいつらが来たら祖国は守れる。今はそれしか手がない。」
「はい、十分わかっています。しかしニホンの助けが無いと我が国は守れないのが、、」
あまりの悔しさに部下は言葉を止めた。
「今後ニホンからの武器供与も行われる。今度はニホンからの応援がなくても自国に攻めてくるレムリア共和国軍から守れるようにしたらいい。俺達にはニホンという国がある。ニホンが居なかったらその希望すら無い。」
「分かっております。」
そして作戦司令室でリベールニア共和国の軍人が話している時にもレムリア共和国空軍の機は真っ直ぐ向かっていたのである。
ムハード平原から北に200km
上空3500m
その空に航空自衛隊では既に退役した、ベトナム戦争でそれなりに活躍したアメリカ空軍のF-4みたいな戦闘機が16機飛行していた。いやF-4より古っぽい感じであった。
その戦闘機はミサイルを搭載出来ずに(対空ミサイルそのものが開発できていない)25mm機関銃を2基と航空爆弾を4発搭載する初期のジェット戦闘機みたいであった。日本なら確実に博物館行きであるその機体はクリーパーMk.2ジェット戦闘機である。
レムリア共和国空軍の第2世代目のジェット戦闘機である。第1世代のジェット戦闘機はエンジンを翼下に吊り下げるタイプだった為機内に埋め込んだクリーパーシリーズは傑作機である。
もっともその傑作機もある航空自衛隊のT-8練習機を改装したFA/-8戦闘攻撃機にも負けるほどなのだが、日本以外なら異常な程の強さなのだ。
『隊長別の方面の戦闘機部隊が何機が撃墜されたって本当ですか?』
部下の1人が最近隊である流行っている噂の真意を隊長に聞く。戦闘に向かう機内は暇なのである。
「あぁ、その噂か俺もその事についてはよく知らんがどうだろうな、いくら技術格差があっても弾を喰らえばいくら最新鋭機と言えども簡単に撃墜されるぞ。」
『そうですね、気をつけます。最初の戦闘の時も何機か撃墜されてましたしね。』
「そういう事だ、お?もうそろそろ気を引き閉めろ、敵陣上空だ。」
『軽く見ても10万人はいますね。』
奇跡的に厚い雲のお陰でバレていない、しかしジェットエンジン特有の音でバレるのも時間の問題である。
「あぁ、そうだなしかし良かったよ雲が多くまだ見つかっていないようだ、爆弾を落とすなら今だな。」
『ん?隊長!敵部隊が対空砲を!』
そしてジェットエンジン特有の音を聞いた対空砲要員が75mm対空砲を発射し始める。しかしただでさえ400km/h程度のレシプロ機にもなかなか当たらないのである800km/h以上出ているジェット機に当たるはずもなかった。
しかしクリーパーMk.2ジェット戦闘機の周りで砲弾が破裂して黒い黒煙が出て振動が来る状況は当たる可能性は低いと分かってても怖いのである。
「ち!バレたか、各自爆弾を投下!食らったら終わりだぞ!」
そして隊長の指示通り各自機体に4発づつ搭載している500pd爆弾が全弾の計64発投下された。
そしてその投下された爆弾はリベールニア共和国陸軍陣地に落下し、そこで爆弾は爆発したのである。
そして爆弾投下後16機のクリーパーMk.2ジェット戦闘機は1機の損害も出す事なく基地に帰還し、リベールニア共和国空軍の戦闘機が駆けつける前に帰還した。雲が厚く機体の発見が遅れた為である。
しかしリベールニア共和国軍にも幸運な事があったがそれは事後判明する。そしてそのある物の為にレムリア共和国軍は予想だにしない被害を受ける事になるのである。
そして18:00の夜レムリア共和国陸軍部隊6個師団9万人が8個師団12万人の待つムハード平原に入ってきた。レムリア共和国陸軍兵達はトルガー戦車と言う40口径90mm砲を搭載し、最大速度60km/hというリベールニア共和国陸軍の保有する戦車より圧倒的な性能を誇る戦車を盾に進軍して来た。そして夜の20:00レムリア共和国陸軍はリベールニア共和国陸軍と衝突した。
当初はトルガー戦車により殆ど被害らしい被害が無かったが、リベールニア共和国陸軍が対空砲として使用していた75mm砲を向きを変えて対地用に使用し始めると流れが変わった。
リベールニア共和国は日本からレムリア共和国軍の兵器の予想スペックを受け取っており、75mm砲と言えどもトルガー戦車の装甲を破壊するのは難しいと伝えられ、足回りを狙う事にしたのである。足回りなら正面装甲ほどの装甲も無い。
そしてこの作戦が功を奏しトルガー戦車は次々と足回りを破壊され動かなくなったのである。しかし各兵が装備している小銃からして性能違う為、結局始めるレムリア共和国軍に突破される。
リベールニア共和国側陣地
前線司令部
19:11 現地時間
「司令、前線部隊が徐々に押され始めました。このままでは何処からか突破されます。」
部下が現在の状況をノスタル司令に伝える。ノスタル司令は少し考え命令を部下に伝える。
「砲兵部隊に連絡を入れ砲撃を開始させろ、その間に地雷を仕掛け前線部隊は撤退、ここも撤収させる。」
「了解しました。」
ノスタル司令の命令を聞いた部下は急いで準備に取り掛かる。
旧アーカイム王国側
レムリア共和国陸軍司令部
同時刻
「くそ!蛮族め、卑劣な手を使いよって!」
レムリア共和国陸軍東進軍大将のアリエスタ大将は怒りに震えていた。ここに来る途中の山道で土砂などにより道を寸断され遅れに遅れた進軍をやっと工兵に終え、このムハード平原に来たら敵が戦車の足回りを狙って来たのである。お陰で40両用意していたせんしゃの内24両が足回りを破壊され侵攻不可能に陥っていたのである。
「しかし司令、その原因の砲はほぼ全て破壊しましたので問題は無いかと。」
部下が怒り心頭のアリアスタ大将をなんとか落ち着かせる。
「ふん、まぁいい破壊されていないなら修理も出来る。蛮族ながらそういう知恵だけは一人前だな。」
「司令、敵が撤退していきます。」
「ん?撤退、そうかやっと我が軍の強さに気づいたか。」
これで終わったと思った時司令室の扉が勢いよく開けられ、伝令兵が入ってきた。
「し、失礼します。アリアスタ大将、緊急事態です!」
「なんなんだ一体!」
「敵の砲撃により部隊がかなりの被害を受けています!」
「ほ、砲撃だと!?」
「空軍の奴らからは砲兵部隊などいないとの報告がきているのだぞ!空軍連中の無能め!今すぐ空軍に連絡して機を飛ばさせろ!」
「そして伝令兵は急いでアーカイム空軍基地に連絡しに行った。」
実はリベールニア共和国陸軍は日本製兵器の導入には時間が掛かるとして短時間で出来る方法、偽装に目をつけたのである。用意していた砲兵部隊に偽装の日本が提供したネットを被せたのだ、その効果は抜群であり事実偵察部隊は砲兵部隊に気づかなかったのである。
地球でも第二次大戦後から急速に普及し始めた事を考えるとなんら不思議な事では無い。そしてレムリア共和国軍も偽装など考えてもいなかったのである。その為効果抜群だったのだ。これが自衛隊なら赤外線やら、熱探知機など色々見破る方法はあるのだが、レムリア共和国軍はそんな物持っていなかったのである。
偽装ネットによりますと隠されていた砲兵部隊によりレムリア共和国側の上から砲弾が降ってくる20門もの砲の攻撃は抜群な威力を誇った。レムリア共和国陸軍兵士がまるで紙切れのように千切られ倒れていく。レムリア共和国陸軍兵士は大混乱であった。
しかしその後連絡を受けたアーカイム空軍基地から飛び立ったレシプロ爆撃機が爆撃をすると破壊されリベールニア共和国軍は撤退。レムリア共和国軍はムハード平原の闘いに勝利したのである。
結果リベールニア共和国陸軍の死傷者は1万3756名でその内7156名が死者である。一方のレムリア共和国陸軍も負傷者が8125名でその内4951名が死者である。その内3000名弱は砲撃により死亡したのである。
結果的にレムリア共和国軍が勝利したがリベールニア共和国の当初の侵攻を遅らせるという目的が完了した為リベールニア共和国軍の戦略的勝利である。もっともレムリア共和国軍はそんな事気づくわけないのだが。




