第21話 レムリア共和国軍進軍開始
2037.6.1
日本国 神奈川県 横須賀市
陸上自衛隊 横須賀駐屯地
07:31 JST
ここ横須賀駐屯地は在日米軍撤退に従い陸上自衛隊の駐屯地が新たに置かれた場所である。第20旅団の本部でもあるこの駐屯地は同じく広島に本部が置かれている第18師団、長崎の第19師団と共に外征の為の部隊だと言う事が分かる。
現在、横須賀駐屯地の食堂では所属する自衛官達がテレビに釘付けであった。
『日本がこの星に転移してきて2年、新たに戦争が起きる事になりましま。
忍田官房長官の発表によると1年前に転移してき、ロシュ共和国とアーカイム王国をいきなり攻撃し、2ヶ国を占領したレムリア共和国が日本を含むNMRANA各国に参戦を布告してきました。これを受け政府は自衛隊に国防出動命令を発令しました。』
前々から日々のニュースでレムリア共和国が覇権国家であり植民地をとる国の為危険だと毎回毎回聞かされているので皆いつか戦争になるだろうと思う考えていた為、想像していたほどショックは小さい。
しかしもしそうなったら行くのは自分達である。自衛官達はその覚悟は出来ていた。
『防衛省は第5師団、第15旅団、第18師団、第20旅団の派遣を決定しました。この部隊は先に進出している第19師団と共にレムリア共和国軍に対抗すると見られています。今回の派遣戦力は過去最大であり、事の重大さが見て取れます。』
第5師団は陸上自衛隊で唯一機甲師団であった第7師団と同じく2025年に戦車を多数配備する機甲師団となった。それにより人員は約1万2000名を有している。
第15旅団は第14旅団と共に機動旅団であり、機動力を重視した旅団である。16式機動戦闘車を多数配備し、ヘリコプターの数が多いのが特徴である。
『レムリア共和国は日本の1960年代頃の技術レベルと推測され、日本以外のNMRANA加盟国では苦戦が予想されます。
レムリア共和国は帝国主義であり植民地からの利益により成り立っている16世紀のイギリスのような国家です。技術的に核爆弾を保有している可能性もある為、防衛省は細心の注意を払っています。』
一応日本も核爆弾を保有し、撃たれたら即撃ち返せる能力は有しているが、やはり怖いものは怖いのである。北朝鮮と違うところは弾道ミサイルで落ちてこないという事のみである。
「なぁ、お前の所にもメール届いているか?」
そう言ったのは清水 康成三等陸尉、年齢は21歳。防衛大学を卒業し陸上自衛隊を選択した。別に家は貧乏ではないが父が海上保安官な為、影響を受けたからである。
「あぁ、やはり心配しているのかなぁ、他の奴らにも親や彼女から結構きているからな。」
彼は宮井 紀彦一等陸士、年齢は20歳で清水の部下である。彼も防衛大学を卒業後陸上自衛隊を選択した。
「あら、やはり始まったのね。」
彼女は山本 亜美三等陸尉であり、年齢は21歳で清水の同僚であり同期であり、そして同級生でもある。彼女は女性初の装甲歩兵試験に合格したエリートである。
「なんだ山本、今来たのか?」
「ええ、トレーニングルームで走ってたのよ。」
「第20旅団全出動かな?」
第20旅団は4個連隊の計4800名で構成されている。しかし実際部隊を動かす時は連隊規模では無く大隊規模である。清水達の部隊が所属しているのは第1大隊である。
「先輩、全出動は流石に無いでしょう?」
「さぁ、どうかしら、前世界みたいに国も陸地も多く無いから全出動もありえるんじゃ無い?」
山本三等陸尉は転移を快く思っていた。前世界が複雑すぎて歴史の苦手な山本にとって悪夢だったのである。
そして話をしていると館内放送がかかった。
『第1〜第4大隊隊長は直ぐにミーティングルームに集合せよ。繰り返す第1〜第4大隊隊長は直ぐにミーティングルームに集合せよ。』
「マジかよ、俺ら第2大隊出動か、まぁ俺たちは自衛官であり軍人でもあるからな。国の駒として動かないといけないのか。」
「大隊長殿は南•東シナ海戦争に参加してるから実戦経験あるだろうがな。」
「そういうものは実戦で積み重ねるものじゃ無いの?」
「そうかもな。」
そしてその後清水らの第2大隊は第1大隊、第3大隊、第4大隊と共に航空自衛隊のC-2輸送機によりレアリスタ大陸に派遣される事になったのである。
2037.6.3
アルガス市
12:46 現地時間
ここアルガス市は元々アーカイム王国との国境近くにあり、レムリア共和国軍に占領されてからは対レムリア共和国戦の最前線基地となっていた。人口は30万人程の日本で言えば中堅都市程度であるが今は20万人程である。
主力産業は工業であり中小規模の工場が各地にある。製造しているのは軍が使用する武器屋弾薬などであり、からしてみれば絶対に失いたく無い都市の1つである。
そんなアルガス市にレムリア共和国軍の魔の手が近づいて来ていた。
上空3500mにその戦闘機は編隊を組んでまっくずアルガス市に向かって飛行していた。その戦闘機はレムリア共和国空軍の最新鋭ジェット戦闘機であるクリーパーMk.2ジェット戦闘機である。最大速度は925km/hとレシプロ機では出せない速度を出せる。武装は25mm機関銃2基と、航空用爆弾4発である。
クリーパーMk.2ジェット戦闘機を運用している第1航空団第302飛行隊の16機がアルガス市空爆の為飛行している。レムリア共和国軍情報局は敵にジェット戦闘機はいないと判断し、パイロットにもそう伝えている。
『隊長、さっきから全く敵が来ませんね、蛮族とはいえ相手がいないと虐殺みたいで嫌ですよ。』
「諦めろ、数十年の技術格差なら仕方がない、給料を貰っている以上しっかり働けよ。」
『はい、はい分かっています。しかしアーカイム空軍基地は本国より広いですね。』
アーカイム王国を占領したレムリア共和国軍はアーカイム王国あった空軍基地を拡張し、空軍基地を建設していたのである。それがアーカイム空軍基地である。
アーカイム空軍基地は戦闘機や軽爆撃機など計200機を超える収容数を誇る巨大な空軍基地である。ちなみに航空自衛隊で1番広い基地は嘉手納基地であるがそれでも160機程度しか収容出来ないのである。
『間も無く目的地上空です。』
「よし、航空爆弾投下よーい。」
「投下!」
隊長の合図と共に各4発、機器の不具合で投下されなかった2発を運用除く、計46発がアルガス市に向かって投下された。
「攻撃成功です。」
アルガス市のあちこちで爆弾の爆発による火の手が上がっていた。
「よし、引き揚げるぞ……」
隊長がそこまで言った時だった。突如クリーパーMk.2ジェット戦闘機12機編隊のうち1機が突如爆発し、そのまま火達磨になって地面に激突したのである。
『な、なんだ!攻撃か!?』
『隊長!太陽の中に敵戦闘機が!』
「なに!?」
隊長は部下に言われた通り太陽を見る。するとそこにはレシプロ戦闘機4機がいたのである。
「か、回避!各自それぞれ敵を撃墜せよ!」
確認されたとあってはレシプロ戦闘機がジェット戦闘機に敵うはずも無い。その後はワンサイドゲームの如くレムリア共和国空軍機に攻撃を加えた空軍機は6機全て撃墜された。
隊長はアーカイム王国にあるアーカイム空軍基地に戻り上司から話を聞いて驚いた。なんとレムリア共和国空軍最新鋭のクリーパーセンターMk.2ジェット戦闘機や他のジェット戦闘機が他の隊でも敵による攻撃により7機撃墜されたのである。技術的に圧倒的に優っているレムリア共和国軍が蛮族にもやられるなど夢にも思っていなかった。
隊長は今後我がレムリア共和国軍が負ける事はないだろうがそれに至るまでの過程での犠牲が多大な物になるかと思い、今まで以上に気を引き締めた。しかし今現在レムリア共和国軍より遥かに強い軍が東から向かって来ている事にレムリア共和国軍の誰もが気づかなかった。




