魔女なのに2
ドスッと、音を立て木に止まったそれは矢だった。
「全く、人の住処に無断で来るなんて、あまりに無礼がすぎるんじゃないかー」
森に響くように声をあげるも、かえってきたのは静寂。
ため息を吐きながらも、矢を木から引き抜く。
「魔術の残留がない。となると、ただの弓兵かもしくは───────」
次の瞬間、アルカの影に別の人影が重なる。
「もらっ───────」
「もしくは、冒険者のパーティか」
その人影の正体は剣士の赤髪の青年だった。
既に振りかざされた剣。
アルカはそれを矢先で軽く受け止めつつ、右に流した。
「なんの用かな」
「……話す必要は無い! この悪魔め!」
「悪魔……ねぇ…」
アルカは軽く頷くような仕草を見せながら、剣士から目を逸らす。
「お前を殺せば、俺達も一躍有名になれる」
「たかだか、その程度の理由? しょぼい」
「お前だって、富と名誉のために沢山殺してきただろうが」
「……何も知らないくせに」
アルカは走り出す。
向かう先は剣士の懐。
近づけば、致命傷になりかねないと、普通は考える。
「血迷ったか!」
パンッと、乾いた音が森に響く。
アルカは剣士の目の前に来た途端に猫騙しをしたのだ。
剣士が目を閉じ怯んだ瞬間、少し離れたところで光が反射した。
視界にそれが入った瞬間、一歩後ろへ下がる。
すると、目の前を矢が通過して行った。
「二人目見っけ」
「こっちに集中しやがれ!」
「なら、出てきなよ」
「何が!」
「君、一人で来てないでしょ」
「……」
「沈黙は肯定と受け取る」
剣士は息をつく間もなく、連撃を叩き込んでくる。
息を切らさないアルカに対し、剣士は既に虫の息。
武器を振り回しているというよりは、武器に振り回されている。
武器もあまり良いものではないし、防具も安い革製。
この剣士、金が無いか初心者だと、アルカは思った。




